第四部 意外な終結
「あれ?ヒノガ?なんでここに?」
ライトはそう話しかけるが、ヒノガは全く聞いていない様子だった。彼の若草色の瞳にはパキラしか映っていなかった。
「パキラ、一体、何があったんだ?」
パキラは全く反応を示さない。さらに、火の玉を飛ばし始める。ヒノガは元々憂げな顔をさらに悲しげにし、飛んで来た火の玉はヒノガの目の前で散った。
(相手の技を散らす事なんて出来るのか?)
ライトはヒノガの戦闘技術の高さに驚きを隠せなかった。
「……操られている様だな。ならば、俺に出来ることは一つしか無い。許せ、パキラ」
ヒノガは一瞬で移動し、ヒノガが動いたのだと認識する頃には既にパキラは倒れていた。
「俺には操られているのを解除する技が無いからな……。だが、まさか再び会えるとは思わなかったな」
(ヒノガってこんなに独り言多い人だったっけ?)
唯一以前戦ってヒノガを知っているアインは違和感を覚えた。ヒノガはパキラを抱えると去って行った。
「これ、報酬貰っていいやつなの「貰わなかったら破産するよ?現実はそんなに甘くないんだから」
咄嗟に善意が働いたライトだったが、アインの反論に固まってしまう。アインはどこかへと行った。
(戦士って割と稼げやんからなぁ。報酬も人それぞれやし。この前なんか妖獣討伐しても『今はちょっと手持ち無沙汰だから』って報酬ゼロやったしなぁ)
スインはぼんやりとそう思っていた。ちなみに、妖獣は妖力を持った動物の事であり、この世界の住人と動物の中間となる存在だと言われている。
「はい、帰るよ。報酬も貰ったし」
そうしている内にアインが封筒を人差し指と中指で挟んで持ち戻って来た。こうして見るとアインが守銭奴の様に見えるかもしれないが、六人が生活して行くのはそれ程に大変なのである。そして、猫の国まで歩き、ギーヨ様に再び送って貰って帰った。
一方、出発した時点まで時を戻し、氷猫の討伐に向かった三人は、目的地だという山の高さに驚いていた。その高さ故に、もう夏だというのに、頂上には雪が積もっている。
「成程、だから氷猫が住処にしてるんだね。氷属性の人って基本的に暑さに弱いし、寒い所だと戦いが有利になるしね」
ソウマがそう言うと、残りの二人は納得した。
「でも、これって頂上まで登るのにどんだけかかるんだよ?」
「侵入者が来た時点で襲ってくる可能性はあるかもしれないがな」
不安になったエントにフウワはそう言う。
「誰か瞬間移動出来そうな人がいるといいんだけどね」
ソウマはそう言いながら登山道を地図で探していた。
キャラクター設定⑩ シャラト
シャラトは自由奔放な姉を見守るしっかりさんのイメージです。改訂版では随分早く登場してきました。
次回はまだ未定です。




