プロローグ チーム分け
七月。梅雨も開け、任務も少しずつではあるが来るようになった。アイン曰く『ほとんど冷やかし』だそうだが。しかし、時にはしっかりとした任務も来るものである。
「ライトさーん」
アインが二枚の便箋を持って歩いており、丁度近くにいたライトを呼んだ。
「任務か?よしじゃあ準備を「二つなの」え?「任務が同時に二つ来たんだけど、どっちも緊急の任務なの。だから、どうしようかなって」
ライトは考え始めた。しかし、すぐ答えを見つけたようだ。
「じゃあ、二手に分かれればいいんじゃないか?」
「大丈夫かな?国からの依頼だけど」
「でも、ちょっと背伸びしないと強くはなれないだろ?」
アインはしばし考え、結論を出した。
「そうしてみる。みんなに伝えて来るね。ライトさんは準備をお願い」
アインが去っていくと、ライトは自分の部屋で準備をし、リビングへと下りて行った。ちなみに、アインがタメ口になっているのはライトが『仲間なんだし、敬語なんて使わなくていい』と言ったからである。
「チーム分けはこんな感じでいいか?」
フウワがペンを持ったまま歩み寄って来る。ホワイトボードを見ると、ライト、スイン、アインが火鼠、エント、フウワ、ソウマが氷猫の任務をこなす事になった。ライトはスインと一緒だと分かり一瞬戸惑ったがアインがいるから大丈夫だと自分に言い聞かせた。
「なんでそんなにスインが苦手なんだよ?」
フウワは呆れつつ尋ねる。
「……マイペース過ぎて調子が狂う。本人に悪気がないのは分かってるんだが」
「まぁ、頑張れ」
フウワはライトの肩をポンと叩くとエントとソウマのいる所へ行った。
「一緒に頑張ろうなぁ、ライト君」
スインはライトの近くまで来た。
「行こかー」
かと思えばすぐに出発しようとした。
「いや、ギルド様待って瞬間移動で飛ばしてもらう方が早くないか?」
ライトがそう言って引き留めるが、スインはニコニコした顔のまま、
「でもギルド様そんなに早く来る訳やないやん。やったら先行っといた方が早いんちゃう?」
ライトは溜息をつきながらもスインの言う事に従った。
「ごめんね。姉さん、割と周りの事気にしてないから」
「まぁいいぜ。こんな感じになるだろうって最初から思ってたし」
そのまま鼠の国までの長い長い道のりを歩いて行く……かに思われたが、猫の国に入った途端、ギーヨがやって来た。
「送りますよ。目的地はどこですか?」
スインが答えている中、アインが口を開く。
「でも、姉さんの言う通りにしてみると運良く上手くいく」
キャラクター設定⑨ コウ
コウは家事をしてくれる人がいたらいいなと思い、面倒見のいい女性をイメージしていたのですが、なんだかハマらず、男にしてしまいました。なんだかいいキャラになって良かったです。
次回は本当に命名秘話の方です。




