第三部 実技と昼食
「では、順を追って説明して行きましょう。まず、二人一組でペアを組んで下さい。この時、なるべく自分と遠い属性の人と組むようにして下さい」
結局、ライトとアイン、スインとエント、ソウマとフウワのペアとなった。
「妖気は常に出ているものですが、感情の昂りに比例して大きくなります。普通は試合をするのですが、近年の練習により、もっと効率的な感じ方が発見されました。それは……」
一同は唾を飲む。
「連続でジャンケンをしまくる事です」
一同は危うく典型的なこけ方をする所であった。
「それに何の意味が?」
ソウマが拍子抜けした様な顔で尋ねると、ギーヨは大真面目に
「ジャンケンは勝利の喜びや敗北の悔しさなど、互いに様々な感情を簡単に作り出すことが出来ます。それを連続して繰り返す事により、自分や相手のオーラの違いを僅かですが読み取れる様になり、それが段々とくっきりしていくのです。今までの統計では最少でも八十八回すれば完全に感じられる様になると言います。飽きたら駄目ですよ。ではどうぞ」
それから昼時までの間、猫の国の宮殿内に六人の『最初はグー、ジャンケンホイ』という声と奇声が鳴り響いたらしい。
「ふぅー、疲れたー」
宮殿にて驚く程豪華で上品なフレンチを頂きながらエントが呟く。
「ジャンケンしてただけだろ」
フウワはそう言うが、本人も随分と疲れ果てていた。
「まぁ、お陰で妖気を感じれるようになったしええやん。美味しいランチも食べれとるし」
一方で意外と疲れを見せていないのはスインだった。それはソウマも同じようで、
「だから子供時代先生とかくれんぼしてすぐに見つかったのか」
と独り言を溢していた。
「……とりあえず食うか」
エントがそう言った後食べ終わると、ギーヨが顔を出した。
「あっ、ギーヨ様、美味しいランチをありがとうございました!貴重な授業も!」
アインがギーヨに近づいてそう言いながらお辞儀をすと、ギーヨは一瞬固まった。すぐに気を取り直すと、彼らにとって絶望的な言葉を告げた。
「では、二限目を始めましょうか」
授業中ギーヨに注意された兄弟二人は硬直する。フウワはそんな二人を引っ張りながらギーヨに付いて行った。他の三人もそれに倣う。
「次の授業は特殊能力について深掘りしていきます」
授業をしていた部屋に戻ると、ギーヨは話し始めた。そして、黒板には『二限目 特殊能力について』と書く。ジャンケン疲れと満腹のせいで既に寝かかっている兄弟だった。
キャラクター設定⑥ ギルド
とにかく怖い上司、をイメージしました。しかし、色々な設定を作り込みたくなってしまい、かなり重要人物になりました。
次回もこれです。




