プロローグ 近づく
エヴェルの攻撃を防ぎながら、皆は話し合っていた。
「そろそろケリをつけたい所だ」
とシンが上空で言うと、それを聞いた同じ上空にいるセレンが、
「では、全員で力を合わせてはどうでしょうか?」
と返した。
「合わせると言っても、こんなバラバラの集団の息が合うとは思えんが」
とシンは訝しげだったが、セレンは地上に降りて皆に広め始めていた。それを聞いた皆も、どうやって合わせるのかという所で悩んでいた。悩んでいるうちに、ライトに向かってエヴェルの技が飛んできた。
「エレキアロー!」
ライトは雷の矢を飛ばして防いだ。その様子を見ていたアインが、
「じゃあ、そのみんなで作って合わせるのはどう?」
と提案した所、皆が合意した。
「とりあえず、私がエヴェルの攻撃しのいどくわ」
とスインが透明になり、皆は矢を作り始めた。
「こんな感じ?」
とアルガの見せた矢は金属の塊だった。それを見たレイナは既に出来ており、
「もっとエネルギー体にしなきゃ」
と言って呆れていた。アルガは険しい顔で何度も何度も作り変えていた。もちろん元々流動性に富んだものの属性は容易にそれのエネルギー体の状態が作り出せるが、固形のものは難しい。別にアルガが基本的なことも出来ない様な間抜けである事の現れではない。
「配置も考えなきゃ」
とチーナが言うと、パキラが地面に木の枝で小さな丸で大きな円を描き始めた。
「人数的には、こうかな?」
そう、これはパキラなりの設計図である。
「えーっと。火属性と水属性、雷属性と地属性は隣接出来ないから……」
と呟いていると、アインが
「私も火属性とは無理かな」
と言って来た。パキラは唸りながらも丸の中に人の名前を書き入れて行った。全て埋まった所で、パキラが手を叩いた。
「皆さん!ちゅうもーく!この通りにやれば、多分行けるよ!」
皆はその図を囲んだ。しばらくすると散らばり、ライトからエントへ、エントからアルガへと言った塩梅で自分のものと受け取ったものを横につけて行った。その作業はサクサクと行われて行ったが、エヴェルもその動きを勘付き、丁度矢を持っていたレイナを攻撃した。しかし、フウワがエヴェルの横腹に蹴りを入れた。
「助かったわ」
「戻って来て良かった」
エヴェルはフウワと一対一でも倒せない程に弱っていた。もちろん、フウワ自身の成長もあるが。
「よし!あとはスインだけだ!」
と急遽加わったフウワがライトと交代して矢を付けた時、エヴェルはライトを押しのけフウワに向かって突進した。




