第四部 混乱戦線
ライトはやって来たフェルクを目ざとく見つけ、近寄った。
「フェルク!久しぶりだな!元気してたか?」
「ああ!親にも会えて、店手伝ってるぞ」
と一言二言交わすと、二人はエヴェルと戦い始めた。ライトのスピードは失われたままだったが、それでもライトはエレキアローなどの中距離攻撃でエヴェルにダメージを与えて行った。フェルクも得意の火の玉を発生させ、どんどん飛ばして行った。
一方、街の方は身分の垣根を超えた大混乱だった。銭湯を営んでいるアロンも、表に出て人々を落ち着かせようとしていた。
「逃げるのはこっちや!そっちは山が崩れて来るかもしれへん!」
逃げようとしている人々は通りに溢れかえって進行が滞っていた。それを見た銭湯の従業員の一人が、
「アロさん。どうするんです」
とアロンに尋ねると、アロンは溜め息を吐いた。
「しゃーない。強引やけど、押し込もか」
アロンは銭湯の屋根に登ったかと思うと、屋根を飛び移りながら戦場の近くまで来た。そして、こちら側に向かっている人を説得し始めた。
「おいちゃん!こっち来たら巻き込まれんで!」
「だが、ここには墓が「先祖さんもあんたが自分の為に死んだら悲しむに決まっとるやろ!」
という調子で、人の流れを一方方向にしていき、アロンはどんどん後ろから人々を歩かせた。その時、カメラを持っている人々が戦場に向かうのが見えた。
(本当は止めたい……やけど、この人らをどう流すか分かったもんやないし……)
アロンは彼らから背を向けた。
丁度その頃、ケトクと記者たちが押し問答していた。
「お引き取り下さい」
「十分に安全に配慮しますし、皆様のプライバシーも保証しますので」
「邪魔なので、お引き取り下さい」
「むしろ、私たちがいることで増援が来「それでは困るのです。この戦いを知らせたく無い人がいるので。私はどんな条件でもここを通しません」
とケトクは止めていたが、やはり一人では限界があり、どんどん通って行ってしまった。しかし、マスコミの目の前を炎の渦が横切った。
(何が起こったのか分からないけど、利用させてもらおう)
「言ったでしょう。通さないと」
それでも諦める様子がないのを見たフウワが来た。
「だから、来るなって言ってるんだよ、私たちは。許可は私たちの上司にとってからにしてくれ」
といいながら払いのける様な仕草までしてみせた。
「これ以上文句言うんだったら、問答無用で追い出させてもらうが」
フウワは記者たちを睨んでみせた。




