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フォニックス 〜戦士たちの物語〜 運命の始まり(改訂版)  作者: ことこん
第三十五章 エヴェルの持つもの
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プロローグ 再かい

 エヴェルは姿を現したかと思うと、紫色の炎を大量に放って来た。その炎は一面に広がり、スインとレイナの二人がかりでも追いつきそうに無かった。

「みんな!とりあえず逃げて!」

とソウマはグラスシールドを張りつつ叫んだ。皆は蜘蛛の子を散らした様に逃げて行った。しかし、ソウマの背後から、大きな炎の塊が迫って来、ソウマが避けるとそれは紫色の炎と衝突し、打ち消しあった。ソウマが背後を見ると、ヒノガ、ナノガ、パキラ、エントの四人がいた。

「まだこんな力が残っていたか」

エヴェルはそう言いながらソウマに歩み寄った。ソウマはグラスシールドを張り直した。

「無駄だ。お前は今から、灰になるだけだ」

とエヴェルは指先を動かそうとしたが、動きが止まった。戸惑うソウマを追い抜かしながら、ライトが「シンの影撃ちだ」と耳打ちした。他のメンバーも次々にエヴェルに近付き、攻撃をし始めた。

「……行くか」

ソウマも同様に走り出した。


 それから、絶え間なくエヴェルを攻撃し続けたものの、傷一つつかなかった。その様子を、スインは遠くから見ていた。

「なんか、変やなぁ……」

スインは一発エヴェルの頬に当てたが、やはり傷は付かなかった。その時、動けない筈のエヴェルから紫色の炎が再び放たれた。今度は塊になって降り注ぎ、周辺に燃え移った。スインはそれを急いで消していった。

(この妖気……。どこかで……)

スインは急にエヴェルに近づいた。

「出て来な!ソウマ!」

ソウマがスインを見たが、スインはそれを気にも留めずにエヴェルを見詰めた。すると、ぼんやりと人陰が現れた。

『……』

段々と輪郭がはっきりとし、そこにはあの狭間の世界からやって来たソウマがいた。近くにいたソウマは彼に駆け寄った。

「また……利用、されてるの?」

『メイレイサレタカラ。キミタチヲコロセッテ』

ソウマは一度息を吐き出し、彼を睨んだ。

「いつまで、そんな事言ってんのさ」

『デモ「それじゃあ変わらないじゃないか!君は過去に囚われたままだ!いい加減目を冷ませ!君は道具じゃない!僕と同じソウマだ!」

彼は言葉を失った。

「それでもって言うなら、僕はもう知らないよ」

『……ヤメテ』

彼の声は掠れていた。

『オイテ……イカナイデ……ボクハ……マダ……シアワセ、シラナイ……』

ソウマは彼の頭に手を置いた。

「よく言えました。これで君は自由だ。幸せは、狭間の世界で探してごらん。きっと、見つかるから。その為の、場所の筈だから」

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