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第五部 矛盾だらけの人生

 作戦会議が終わり、椅子の背もたれに体を預けていたライトに、ウーベイが手招きした。

「ライトさん、ちょっと良いですか?」

ライトは「ああ」と答え、ウーベイの後ろについて行って小さな部屋に入った。ウーベイは中から鍵を閉めた。

「単刀直入に申し上げます。ライトさん、姉の事好きですよね?」

ライトは肩をビクンと震わせ、ウーベイから目を逸らした。

「そっ、そ、それは」

「ここに来てから一日でなんとなく分かったのでございます。僕は別に姉と付き合うなとは言いません。姉は向こうでは幸せになれませんし」

「?」

「ご存知の通り、姉は憑依させる能力があります。しかし、それが仇となる事がありまして。姉は暴走しました。知らない猛戦士を憑依させ、目に留まったもの全てを破壊しようとしました」

「それで?」

「僕は自分の体の一部と引き換えに姉を元に戻しました。なので、僕のこっちの足は義足です」

ウーベイは自分の義足を見せた。ライトは固まった。

「まぁ、生活はなんとかやりますが、畑仕事は出来なくなってしまって。それでも姉の役に立ちたかった僕は、ハッカーになりました」

ライトはウーベイの両肩を掴んだ。

「ウーベイ……お前はそれでいいのか?」

ウーベイは微笑んだ。

「僕はそうやって生きてきましたし、そうでもしないと自分の存在意義が無くなってしまう様で……」

ライトは肩から手をどけた。

「と言う訳で。ライトさん、あなたは良い人でございます。しかし、姉は危険です。それでも、愛せる自信があるのなら、僕は何も口出ししません」

「……ウーベイは、どうしたいんだ?」

「矛盾してる、って事ですか?まぁこれは、僕なりのお礼です」

「お礼?」

「姉を助けて頂いた事です。本家にいた姉は、どうにも辛そうでしたから」

ウーベイは右手を握り締める。

「……ウーベイ?」

ウーベイの妖気が急速に高まっていき、ウーベイは倒れた。ライトは急いでドアの鍵を開け、ウーベイをおぶって廊下を走った。その途中、イネイが付いてきた。

「弟はっ、感情が昂ると妖気が急に、上がって、処理しきれずに倒れて、しまうんです」

走りながら説明したイネイに、ライトは頷くとさらに速度を上げて外へ出て、通りを突っ切った。


 「すみません、お世話掛けしました」

三時間後、ウーベイは戻って来たが、顔色は悪かった。

「今日はゆっくり休め」

フウワはウーベイに使い捨てのホットアイマスクを投げて渡した。

「……ありがとう、ございます」

ウーベイは少し微笑んだ。


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