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プロローグ 殺人観

 イネイとライトがそんな時間を過ごしている間に、スイン、エント、そしてムルルの三人はブラックスの支部に向かっていた。

「僕たちだけで大丈夫なのかな?」

ムルルは俯いていたが、

「大丈夫やろ。私らも強なっとる」

「技も戻って来たしな!」

と二人は言い切って見せた。ムルルは僅かに微笑んだ。支部まではかなり距離があり、妙な沈黙が訪れた。そんな中、エントは口を開いた。

「……兄者、多分、トルキを殺してないだろうな……」

二人は頷いた。エントは続けた。

「兄貴が人殺しの一線を越える訳無いだろうし」

ムルルは顎に指を当てた。

「うーん、僕は、階段だと思う」

エントは首を傾げた。

「復讐心とか、嫉妬とか、そういう思いが原動力になって上って行って……気付けば戻れない所まで上ってそう」

エントは、「成程なぁ」と同調していたが、スインはまだ考えている様だった。

「私はむしろ、人殺しをする意思が、鎖で繋がれて抑えられとる感じやと思う。それを外すのは、その人次第、みたいな……」

「……難しい……」

エントの頭から煙が立ち昇っていた。

「とりあえず」

スインは手を叩いた。

「越えるにしろ上るにしろ外すにしろ、やらんければええ話やろ?」

スインは二人の手を握った。

「だな」

「そうだね」

三人は軽い足取りで支部へ向かった。


 一方、フウワ、ソウマ、アインは病院へ向かっていた。

「本当に大丈夫?」

しかし、フウワもソウマも満身創痍の様で、アインは病院への道を確認しながら二人をチラチラ見ていた。

「大じ「ソウマさんの大丈夫なんてアテにならないから!」

「足は大じ「足『は』って何!」

二人の発言をことごとく遮って心配しているアインもくたびれ始めていた。

「それより、ライト君の心配をした方がいいと思うよ」

ソウマは左足を若干引き摺りながらも歩いていた。

「「なんで?」」

女子二人は見事に同時にソウマに尋ねる。

「僕は、やってはないけど『知ってる』から。ライト君には、ライト君のままでいて欲しいんだけどね……」

ソウマの事情をよく分かっているアインでさえ静かになった。ソウマの背をフウワが叩いた。

「大丈夫だ。あんなすぐ騙されそうなお人よしが殺人なんて、出来る訳無いだろかその前にあいつのメンタルが折れるだろうよ。あの弱虫」

しかし、ソウマは前につんのめって倒れた。

「あ」

ソウマは力尽きて眠ってしまっていた。

「……だから言ったのに」

アインは呆れながらソウマを見たが、フウワは平然とおぶった。

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