第三部 このメンバーなら
トルキは痺れながらもエレンに向かって巨大な岩を落とした。不運にも、その瞬間エレンはイネイに戻ってしまった。無情にも迫り来る岩に、イネイは怯えてしまった。そのせいで足もすくんで動かなくなってしまった。そんなイネイに、オレンジ色の稲妻が横切った。
「まだ動けたか」
ライトは全身オレンジの電気に包まれているのに、イネイには感電させていない。イネイは気を失ったが、ソウマがグラスヒールで全員を回復させたので、安全な所にアインが連れて行った。
「こんな石ころで俺たちは倒せねーよ」
炎の舞を使った後らしいエントもトルキの前に現れた。
「そうか」
トルキは再び大量の石を飛ばしたが、二人は軽々と避けていく。石が当たった木の幹は切れてしまった。
「まずいな」
フウワは腕を組みながら二人の様子を見ていた。隣にいたムルルが首を傾げたので、言葉を続けた。
「おそらくトルキは、二人の妖力切れを狙っている」
「じゃあ、このままだと」
「そうだ。今の状態がトルキにとって一番有利だ。だが、あの二人のスピードについて行ける気がしないな……」
「僕のシールドじゃあの技を防げそうにないし……」
二人は唸った。そんな時、スインがやって来た。
「危なかったわぁ。流石にまた脱出できやんやろうし。二人の援護は任せとき。フウちゃんの出番はまだや」
と一気に言って透明になった。
「『まだ』……?」
とフウワが呟くと、ムルルも首を傾げた。
スインは石を完璧な狙撃で次々と破壊していった。そのおかげで、ライトとエントはトルキに少しずつ近付いて行くことが出来た。
「この程度で俺と戦えると思うなよ」
トルキは大量の石をくっつけて人を作った。その人は二人を爪で引っ掻こうとした。
「石なら手加減しなくてもいいか」
とライトは易々と破壊したが、小さい者がそこから大量に生み出された。しかし、アインがそれらを凍らせた。トルキは岩で剣を作った。
「仕方ない。俺がやるか」
そこからはフウワも加えた三人とトルキの目にも止まらぬ技の応酬が続いた。しかし、お互い攻撃を命中させられていない。
「この速さじゃ、シールドもどこに張っていいのかわからない」
とムルルがアインに言うと、アインは頷いた。
「私たちに出来る事って……」
と二人は俯いたが、イネイが二人の背中に手を当てた。
「イネイさん、い「大丈夫です!きっと!大丈夫です!あの三人なら、きっと!」
と大声で言ったイネイは、フレー!フレー!と応援し始めた。三人に見る余裕があるのかは別として。




