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第三部 複雑な思いに触れて

 一旦一同が別れて行った直後まで時を戻そう。アインもまた男に遭遇していた。こちらも赤毛ではあったが目は若草色で耳はエントと同じ赤だった。アインは緊張しつつも男を見つめる。男もまたアインを見つめていた。

「氷狐……初めて見たな……」

男は驚いた様にポツリと溢した後、手に炎を纏わせた。

「ヒノガだ。女を傷つけるのは少々気が引けるが……父の言う事は聞いてやりたいしな」

アインは慌てて氷の壁を作ったが、一瞬で溶かされてしまう。

(相性、最悪だ……)

アインが慌てて横に跳ぶと、ヒノガは冷静な顔で火の玉を作り飛ばして来た。アインはそれも反射的に避けたが、何と追尾して来た。アインは必死に逃げながら思う。

(初めての対人って事もあるんだろうけど、この人、もしかしたら姉さんよりも強いかもしれない……。技の質が段違いだ)

アインはなんとか火の玉を避け切ったが、目の前にヒノガがいた。

(誘導された!)

アインは慌てて距離を取ったが、時既に遅し。火の玉が至近距離から放たれた。しかも一度に三個である。アインは本気で死ぬかと思ったが、何故か逃げたいという思いとは裏腹に足が前へ進んでいた。アインの戸惑いを他所に、一気にヒノガとの距離を詰めていく。火の玉は追尾して来たがヒノガの目の前まで来ると当然消えた。アインがヒノガに飛び掛かると、ヒノガは刀を取り出しそれを受けた。両者が距離を取った。しかし、ヒノガは刀を鞘に戻した。

「やはり、こんな争いはやめるべきだな。紳士としても、父の息子としても」

ヒノガはそう呟くと道を開けた。

「行け。安心しろ、襲いはしない。どうしても信じられないのなら、特殊能力を使っても良い。……父を、止めてくれ」

アインはいつも通りになり、特殊能力を使っても嘘を感じなかったのでそのまま進んだ。ヒノガはアインが行ったことを確認するとアインが来た道を進んで行った。アインが振り返ってそれを確認した時、ヒノガが憂を帯びている様に感じたのだった。アインは複雑な気持ちになりながらも先へ進む。そうしているうちに、フウワと出会った。

「フウワさん!待ちました?」

フウワはアインを見る。フウワは普段より幾分優しい顔をしていた。

「いいや、今来た所だ。ここからは一緒に行動しようと思ってな」

「この先を進むと誰に会えるんでしょうね?」

「道的にソウマかもな」

フウワは立ち上がって歩き始める。アインもその後に続く。お互い道中では何も話さなかった。

キャラクター命名秘話⑪ ヒノガ

ヒノガはアルガに似せる事を目標にしました。

「火」+「ノ」+「ガ」

次回もまた初登場キャラクターです。

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