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第四部 狂咲

 視界が開けると、ミレイはまだ立っていた。アインは一瞬目を丸くしたが、すぐにミレイに駆け寄った。その様子を見て、皆は驚き慌てた。が、アインは必死そうだった。ミレイはスインの方を向くと、ニタァっと愉悦に満ちた笑顔を見せた。

「ふふふっ、ふふふふふふふ」

アインが近づくと、ミレイは、

「もっと、もっと、私を見て?」

と言い掴み掛かろうとしたが、その場に倒れた。

「……あーあ。これで終わりか。結局、誰も助けてくれなかった。声もかけてもらえなかった。必要としてくれなかった。ブラックスでも、誰とも交流しなかったし……私は、ずっとずっと……一人だった」

ミレイは空に何かを描き始めた。アインは慌てて離れた。

「だから……最後くらい……私を、主役にして。誰も邪魔して来ない、空で」

言い終わるや否や、ミレイの体が眩く光り、ヒュルルルル、と音を立てながら光が天へと昇って行き……大きな、花火が咲いた。気づけば、もう夜だった。皆は食い入るようにそれを見ていた。それらが散り散りになり、一粒の明かりも消え失せるまで。


 その後、大量の火の粉が降って来たが、鏡によって防がれた。

「ギーヨ様……」

アインは下唇を噛んでいた。ギーヨは頷くと、イネイをフウワに預け、ミレイのいた所へ歩み寄った。

「皆さんは、見ないで下さい。……後は、僕に任せて下さい。後日、報告します」

皆は一斉に瞬間移動させられた。


 本拠地に帰ると、顔に絆創膏を貼ったツーハが出迎えてくれた。

「みんな、どしたの?」

しかし、皆は俯いたまま、言葉を発しなかった。

「ねぇ、……」

静かに靴を脱ぎ、ライトはツーハの頭を撫で、奥に向かおうとした。他も同様だった。ツーハは尻尾をピンと立てた。

「……ねぇってば!」

皆は虚を突かれた様に立ち止まった。

「みんないじわる!もう知らない!」

ツーハは目に涙を浮かべながら走って行った。一瞬の間の後、ライトが慌てて追いかけて行った。他のメンバーはお互いの顔を見合わせた。

「おい。辛気臭せぇな。何があったかとか、そんな事は置いといて、飯食え。腹は減ってるだろ」

コウは右半身に包帯やガーゼが見られたが、テキパキと夕飯の支度をしていた。

「……ありがとう」

ソウマはそう言うと、食卓へ向かった。皆もつられる様に付いて行った。

「すまん。こんなもんしかなかった」

メニューはご飯、肉じゃが、サラダであった。

「今味噌汁、入れるからな」

コウは、何も聞こうとしなかった。ただ、いつも通り夕飯を用意しただけだった。

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