第二部 内野と外野の驚く事
ライトとカルロウがやって来た時、ミレイはこう言った。
「思ったよりもずっと早かったわね。瞬間移動持ちはいなかった筈だけど……。誰かを呼んだって事ね。誰かは知ってるわよ。どうせ、国王でしょ」
二人は目を見開く。
「ふふっ、私はあなたたちの事、ちゃんと知ってるから。あなた、今は私服だけど、警官でしょ?」
カルロウは赤の宝石を出した。
「まぁ、こんな事、知らなくても分かるけどね。重心が後ろの方の足にかかってるし、何より手錠を隠してるでしょ?」
カルロウは青の宝石も出した。
「別に関係ないけどね。相手が誰でも、彼女を餌にしてフォニックスを倒せれば良いんだから。あ、ちなみに、お仲間は―
気付けば、後続の者たちは部下に囲まれていた。
「すげぇ数だな」
フウワはテールハンドを出し、グググ、と音を立てながら握り拳を作った。
「やな」
スインは、既に水の弾丸を複数個作っていた。
「ここからでも、ミレイって人が相当強い事が分かるね……。急ごう」
ソウマはハエトリソウを出してからレッドと入れ替わった。
「……私も、出来る事はするよ」
とアインが俯きがちに言うと、
「何言ってんだよ!アインは氷の壁あるし!」
とエントが励ましながら炎の舞を使っていた。彼らは一斉に目の前の相手へ向かって行った。
一方、ライトのカルロウの二人はまだ戦っていなかった。ミレイが延々と話し続けていたせいだ。
(喋ってるのに隙がねぇ……)
とライトが思っている間に、とうとうカルロウが動き出した。
「あら、まだお話ししたかったんだけど……仕方ないわね」
ミレイは瞬時に右脚に炎を、左脚に水を纏い、突っ込んできたカルロウを迎撃した。幸い、カルロウは青の方できちんとガードしていた為、ダメージは受けていなかった。ライトは目の前に広がる光景に唖然としていた。
(二つの属性を同時に使うなんて……そんな事、出来るのか?)
カルロウは怯まず再び突っ込んでいく。ミレイはまた蹴り上げようとするが、上手く下へ潜り込んだ。
「お見事。でも、惜しかったわね」
ミレイは左脚一本で跳び上がり、カルロウの射程外壁へ逃げた。
(身体能力も、伊達じゃないみたいですね……)
一方、後続は既に部下たちをあらかた片付けてしまっていた。ソウマも、グレーに戻っていた。
「ソウマ、さっきの大丈夫だったか?」
フウワが尋ねると、胸を叩いてみせる。
「大丈夫だよ。“俺”が……」
本人は言葉を止め、フウワは目を丸くして固まった。今、僅かな異変が起ころうとしていた。




