プロローグ 見えた終わり
「全然減らねぇな……」
一方、フウワは一人で延々と死人を倒していた。キョウも近くにおり、フウワの言葉に反応した。
「やはり、ただ倒していては埒が開かないみたいですね……」
フウワは一人倒しながら返した。
「あの扉が閉じれれば良いんですよね?」
「まぁ、それが出来れば、良いのですが……」
その瞬間、扉に異常が起こった。一気に全開になったのだ。
「な……」
死人たちが一気に雪崩れて来る。フウワのテールハンドに大量の死人がしがみついた。
『おいで』
『いっしょに、あそぼ?』
『ガガッガガッ』
『きゃっきゃっきゃ』
「くっ……」
フウワはそれを地面に叩きつけ、追い払った。そして、すぐさま元の尻尾に戻した。
「危ねぇ……」
しかし、死人はジリジリと近づいて来ている。フウワが覚悟を決めて突撃しようとすると、真っ赤な龍が死人たちを焼き払った。
「ん?この妖気……」
煙が薄くなると、その技の持ち主が姿を現した。
「ヒノガ!?」
「別に助けに来た訳じゃない。畑が荒らされては困るからな」
ヒノガの手には刀が握られていた。
「思ったより多いみたいだな。纏めて片付けるか」
ヒノガはどんどん死人を倒して行った。
「すげぇ……」
フウワは思わず手を止めて見入ってしまった。
「フウワさん。余所見とは、随分と余裕そうですね」
背後には、ギルドがいた。
「えっ」
「少し、伝えたい事がありまして」
ギルドは岩に座る。
「あの扉、鍵で締めれるんですよ」
「えっ?」
「そして、その鍵がこれです。霊気の様子から作れるんですよ。覚えておいて下さい」
「は、はい……」
フウワが鍵を受け取ると、ギルドは瞬間移動でいなくなった。
「さてと、どうあそこまで行ったものか……」
皆が善戦しているとはいえ、あまり減っているとは思えない状況であり、無論鍵穴前には死人がたむろしていた。
「ん?ライトとエント?」
その時、丁度二人がこちら側に来ていた。
「すまん。時間かかった」
とライトが謝ると、フウワは首を振った。
「良いんだよ。……親父さんか?」
エントが返す。
「ああ。俺らの親父、クーライだった」
二人とも自分の足元を睨んでいた。
「ライト、ちょっと悪いが」
「ん」
「これであの扉閉じてくれないか?」
「……分かった」
ライトはフウワから受け取った鍵をしかと握った。
「行って来る」
ライトは走りながら、クーライの言葉を思い出していた。
『二人とも、随分と立派になったな。俺なんかとうに超えて、もっと強くなるんだろうな。がんばれ』