第五部 狙撃手のピンチ
休んでいたソウマは、ぶるりと震えた。
(なんだろう……。なんだか、呼び寄せられているみたい……)
体が勝手に立ち上がって走り始めた。知らない筈なのに、コンクリート造りの建物へ足が動いていた。
一方、スインは間一髪で反撃し、距離を取っていた。
『ヨケラレチャッタ』
「貴様か!また私の邪魔をする気か!」
『タダノヒトジャナカッタミタイ』
ソウマ?は瞬時にスインの目の前まで来、右肩を掴んでいた。
『デモ、ゼンゼンダイジョウブ』
スインは抵抗しようとしていたが、右肩を凄まじい握力で握られていた為、不可能だった。ソウマ?の手はスインの首に向かっていく。
『ヨユウダカラ』
しかし、ソウマ?の手が止まり、右肩も解放された。ソウマ?は通路の方を見た。そこには、息を切らしながら立っているソウマがいた。
『……』
「おい!どうし」
ソウマは気付けば科学者の近くにいて、つるで締め上げていた。
『ナンカ、フシギ』
「僕もだよ。気づいたら、ここに来てた」
『ソウ。デモ、メイレイサレテルカラ、ヤラナキャ』
ソウマ?はスインを見る。左手で右肩を押さえたまま壁にもたれていた。ソウマは科学者を締め上げる。
「分かった!取り消す!だから、このつる、取ってくれ!」
ソウマは科学者の言う通りにした。科学者は蜘蛛の子を散らす様に逃げて行った。
『ア、ジャアイイヤ』
ソウマ?はスインから離れる。反対に、ソウマがスインに近づく。
『コロシテハナイケド、ホネハオレテルカモ。ゴメン』
スインは気絶していた。
「確かに、折れてるかも……。運ぶの、手伝ってくれない?」
『ウン』
一方、皆は順調に死人を倒し、帰していた。しかし、新たに出て来た死人に、ライトとエントが足を止めた。
「「親父……?」」
『体が、勝手に……!』
彼は苦しそうに技を放った。しかし、二人には当たらなかった。
「親父!無理すんな!」
「俺ら避けれるから!」
『頼む……俺を攻撃してくれ……優しいお前らに、頼みたくは無いが……』
彼はそれきり普通に攻撃を始めた。二人も全力でぶつかっていった。
「姉さん!」
アインは二人のソウマが運んで来たスインを見て顔を真っ青にした。
『ダイジョウブ、イキテル』
「そういう問題じゃない!」
ギーヨが駆け付けて来た。
「大丈夫ですか?」
ギーヨは電話をしながら瞬間移動で去って行った。もちろんアインも付いて行った。
『……オワビニテツダウ』
「ありがとう」
二人も戦場へ向かって行き、未だに勢いが衰えない死人たちと戦い始めた。