第三部 別行動の後
「さてと。しかし、困った事に、その原因が掴めないそうでして」
とギーヨが言うと、キセキは土下座しようとするが、ギーヨは止める為にしゃがんだ。
「良いですって」
「しかし、これは私の力不足で……」
「いえいえ、霊気を感じられる人など、ほんの一握りですよ」
という終わりの見えないやり取りをしていると、フウワが徐に歩いて行った。
「こっちから変な感じがしますけど……」
ギーヨは思わず立ち上がる。
「本当ですか!?」
そして、フウワに詰め寄る。フウワはキョトンとしながら頷いた。
「セクハラです」
と、キョウはギーヨの横でネコジャラシを揺らした。すると、ギーヨは思わず飛びついた。
((猫だ……))
とその場にいた誰もが思った。
「さぁ、行きましょう」
と今度はキョウが言い、フウワを頼りに歩き始めた。
「ネコジャラシなんて、どこにあったんですか?」
とギーヨが若干息を弾ませながらキョウに尋ねると、キョウはソウマを指差した。ソウマはそんな事も知らずフウワと話していたが。
「お、なんかあった」
エントの言う通り、コンクリート造りの建物があった。
「多分、あの中です」
と、フウワもそれを指差す。
「でも、これは流石に定員オーバーやなぁ」
スインは人数を数えながら言う。おそらく、透明化の話をしているのだろう。
「じゃあ、とりあえずフウワさんと姉さんとライトさんだけで行けば?」
とアインが言う。
「なんで俺?」
「ヤバくなったら二人連れて逃げてくれるでしょ?」
アインがそう言うと、だんだんライトが行く雰囲気になって行った。
そして、潜入した三人だったが、予想に反して全く人がいなかった。
「本当にここなのか?」
「ああ。もうすぐだ」
すると、よく分からない機械が作動している広い部屋に出た。すぐさま、スインは機械の導線を撃って切り、停止させた。
「気付くだろそんな事したら!」
「すぐ解決した方がええやろ?」
「……おい、あいつって」
二人はフウワの指差す方を向いた。すると、そこには蛇の科学者がいたのだった。
「あいつ……」
「とりあえず、戻るぞ。嫌な予感がする」
フウワがそう言うと、二人もそれに従った。
「急いで戻るぞ」
三人は全力で走って建物を出たが、そこには誰もいなかった。
「あれ?」
「扉の所へ戻るぞ!」
フウワは焦ってスインから離れ、走り出す。ライトもそれに続いた為、スインも同様にしたのだった。
(もう、バレとるやろうな)
スインは後ろを気にしていたが、一向に来る気配は無かった。