第二部 フォニックスを客観的に見ると
「「キャラメルポップコーン!!」」
などと二人が歓喜の声をあげている間に、スインが着替えて戻って来た。
「ポップコーン好きなん?」
フェルクはスインの存在を認識すると、すぐに睨み始める。
「……」
「そんな警戒せんでもええよ」
スインはフェルクとすれ違いざまに、
「今はな」
と他の人には聞こえないくらいの小声で言った。
「ギーヨ様、すみません、こんな事に巻き込んでしまって」
アインはギーヨに頭を下げる。
「あ、頭、上げて下さい!アインさんの大切なお姉様とお仲間なのでしょう?」
「姉さんは、そうですね。……まぁ、エントも」
「それに、丁度良かったですし」
ギーヨはクリアファイルに挟まっている書類を取り出した。
「テルルさんの新しいご家族が見つかりました」
アインは書類を見テルルを目線で探した。
「テルルちゃーん、いるー?」
テルルは、はーい、と元気な返事をしながら駆け寄って来た。
「この話も交えて、頂く事にしますね」
「はい」
ライトが呼んだ事で、家事をしていたカルロウやイネイ、コウもやって来た。
「ほーら、フェルク、コウにイネイにカルロウだ」
しかし、フェルクの興味関心は完全にキャラメルポップコーンに奪われていた。そんなフェルクに、コウは話しかけた。
「飲み物何にするか?ジュース類はあんまねぇけど」
「へっ!?」
(ピアス開けてる!怖っ!)
「アッ……オチャデイイデス……」
「おー分かった」
フェルクの動きは古いロボットの様に硬かった。そのまま椅子に座ろうとすると、ソウマにぶつかった。
「あ……ごめんなさ「ソウマさん、紅茶もあるけど」
「ありがとう、でも、みんなと一緒で良いよ。紅茶、時間かかるでしょ?」
(????コウって人、今、さん付けしたよね?このちっちゃい人に?)
「なぁ、ライト」
「ん?」
「コウって人って」
「コウはうちの主夫だぞ?あ、あとソウマの言う事は割となんでも聞く。尊敬してんだとさ」
コウの頭から煙が立ち昇った。
「え?え?え?」
「ソウマはフォニックスの守護神?的な?」
フェルクは唖然とし、動かなくなった。
「フウワさん」
ソウマはフウワに話しかける。
「なんだ?」
「僕って、やっぱり、舐められ……やすい、のかな?」
しかし、会話を聞いていなかったフウワは、
「なんでだ?」
と聞き返したが、
「そんな訳無いだろ」
と励ました。
(う、うん、もう、何も考え無いでおこう……)
一方、フェルクは、ようやく動き初めて席に座った。
「いただきまーす!」
美味しい時間が始まった。