プロローグ 妨害?
ここは、『妖怪』と呼ばれる者達が暮らす不思議な世界。これは、そんな世界を舞台にした戦士と彼らに関わる人々の物語である。
”狐“の国。狐と言えども、私達が思い描く九尾の狐はそこにいない。見た目の上では人間との違いは狐耳と尻尾くらいだ。そんな妖怪が暮らしているこの国の町、ショボウ町の町並みを猛スピードで駆けていく者が二人。一人は茶髪でウルフカット、そして目も茶色で黄色い耳と尻尾を持ちそしてすらっとした体型の青年、そして隣にはそっくりだが髪型はナチュラルショートで耳と尻尾は赤、比較的がっしりとした体型という違いのある青年がいた。
「おーい、遅いぞー、エント」
黄色い方の青年が赤い方の青年をエントと呼んで急かす。そう、赤い方の名はエント。エントは黄色い方、ライトより少し遅れていた。
「兄者が速いだけだ!もう少し人のペースに合わせろ!」
そう、二人は双子の兄弟なのだ。エントは言い返すが、ライトに減速するつもりは無いらしい。しかし、ライトは突然急ブレーキをかけて止まった。エントも同じ様に止まる。彼らの目線の先には道を塞いでいる巨大な動物、象がいた。象は二人を見ると敵と認識したのかその鼻を振り回し二人を薙ぎ払おうとしていた。荒れ狂う象と人間ならば、人間は逃げるしかない。しかし、彼らは妖怪。私達が思い描いている様な事が出来る。
「エレキキック!」
ライトがそう言い放つと、彼の足が雷が纏った。そして、鼻を恐るべきジャンプ力で避けるとそのまま象の頭を蹴った。象はその一撃でよろけて痺れる。彼は雷を操る『雷狐』なのだ。その隙にエントが象の足と足の間に入り込んだ。
「ファイアパンチ!」
こちらは拳に炎を纏わせ象の腹を殴りつけた。彼は炎を操る『炎狐』だ。象は後ろに倒れ込んだ。つまり、彼らの勝利である。彼らは庶民だ。しかし、他の者とは違う。彼らこそが、今日始動する戦闘集団『フォニックス』の戦士に選ばれたうちの二人である。彼らは今フォニックスの本拠地に向かうために走っていたのだ。この世界には乗り物が無いからだ。二人は倒れた象と道の隙間を上手く通った。
「なんでこんな所に象がいたんだ?」
エントは心底不満そうだった。ライトは顎に手を当てた。
「フォニックスが集まるのを妨害したかった奴がいるのか、これも俺たちがフォニックスに相応しいか決める試練だったのか。まぁ、倒せたから別にいいじゃん」
楽天家な兄にエントは呆れた様にため息をついていた。
どうだったでしょうか?人生初の第三者視点の物語なので、拙い部分もあるかもしれません。これからよろしくお願い致します。