七話 オリバー とある一日
「オリー、わたくしに妹はいないのはずなのですけど、これはどういう事かしら?」
手紙のようなものを手に、僕の部屋を訪ねてきた姉様が問い詰めてきた。どうやら、こっそり仕立屋に出向いて、姉様が今仕立てているドレスとお揃いのドレスを注文したのがばれたらしい。
「『先日ご注文頂いたヴァイオラ様と同デザインの、妹オリヴィア様のドレスについてですが、リボンのお色についてお尋ねしたいことが……』って書いてあるんだけど、これについて説明してくれるかしら?」
やっぱり、ばれてる。ここは素直に白状した方が良いだろう。
「アニーとお揃いのドレスを作った時の双子コーデ、すごく楽しかったから、姉様とも姉妹コーデがしたいなぁ、って思って……」
「姉妹コーデって…あなたはわたくしの妹ではありませんよ」
「だって姉弟コーデだったら、僕、男の子の服になっちゃうもの」
「……とりあえず、あなたのドレスはキャンセルしておきましたからね」
姉様は優しいが、ちょっと頑固だ。きっと少々ごねても今回の結果は変わらないだろう。ここは素直に引いといて、代わりに別のお願いをしよう。
「じゃぁ、姉妹コーデはあきらめるけれど、姉妹としてお出かけするのは?一緒にお買い物して、カフェでお茶したりするの!」
首をかしげて、上目遣いに可愛いくおねだりする。効いてる!あとひと押し。
「13歳の誕生日プレゼントとしてでも、だめ?」
「うっ…(可愛い……)し、仕方ないわね。一度だけよ?」
「ありがとう、姉様!あっ、あと、できたらドレス姿の時だけでも、妹として…」
「あなたは妹ではありません」
「じゃあせめて、弟って呼ばないでくれる?」
「…まぁ、それくらいなら」
「ありがとう、姉様。絶対だよ!弟は無しね!で、お出かけはいつにしよう?」
「それは、わたくしの部屋から持ち出したドレスとアクセサリーを返してくれた後で、決めましょう」
(………そっちもバレてた…)