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十一話

 オリバーを何としても守ろうと決意した私は、アンドルー殿下が侯爵邸を訪ねる日すべてをヴァイオラ様から聞き出した。それはすでに週二日間となっていたが、一日も漏らさずオリバーの側で過ごすことにする。そして殿下が帰るまでは絶対側を離れないと決めた。


 予想通り、殿下は頻繁に私達のお茶に混ざってきた。東屋に私達が居るのを見つけると必ず来て、熱い視線でオリバーを見つめる。ヴァイオラ様という婚約者がありながら、なにを考えてるんだろう。


 侍女たちにこっそり聞いたところによると、一応殿下はヴァイオラ様とお茶を飲まれ、話をされるらしいが、すぐに「用がある、見送りはいい」と言って、その場を離れ、こちらに来ているらしい。最低だ。




 ***




「ヴァイオラは君にひどい事をしたりしてないか?例えば、ドレスを破ったり、ひどい言葉を言ったりされてないか?」


 ここ最近、殿下はやたらとオリバーに、ヴァイオラ様に対して不満が無いかを聞いて来る。


 これはおそらくヴァイオラ様、ひいては侯爵家の弱みを握り、オリバーを手に入れるための算段の一つだろう。


 オリバーは「姉様は優しい方ですから」と言って、ドレスをめぐる攻防戦や、ヴァイオラ様とお出かけした際のやり取りについて話をしていた。

どれもが私も知っている、たわいのない話なんだけど、何故か殿下は深刻な顔をして聞いていて、一人ぶつくさと呟いていた。

 これは、何かよからぬ計画をしているのかもしれない。




 ただ、あまりにも二人っきりになることが減ったことに気分を害していた私は、たまには殿下に邪魔されずに楽しもうと言って、オリバーに街のカフェに遊びに行くことを提案した。


 その日は二人で色違いのドレスを着て、最近人気だというおしゃれなカフェに馬車で乗り付ける。


「何にしようかなぁ。やっぱり一番人気の梨のタルトかなぁ。でも、リンゴのパイも食べたいし」


「いっそ両方たのんだら?もし食べ切れなくても、僕がもらうよ」


「じゃぁ、そうする。オリバーは何にする?」


「オレンジのパウンドケーキで」


紅茶とともに運ばれてきたケーキは、見た目も味もすごく良く、お茶も香りの優しい、ケーキに合うものだった。

久しぶりの二人っきりということもあり、とても楽しかったのに、


「やぁ、君たちも来ていたのか。偶然だね」 


 殿下が二人の友人を連れて、現れた。これにはさすがに気味が悪い。なにが偶然だ、白々しい。おまけに殿下の友人たちはやたらと私を睨んでくる。

 これはもしや、殿下の恋路を邪魔する私への威嚇かもしれない。



 やはり殿下は本気だ……




 しかし、たとえ王族相手でも、いつまでも手をこまねいてる私ではない!いざという時、オリバーを浚ってでも助けるために、侯爵家を訪ねる合間を縫って準備を始めた。


 全身の、特に腕とお尻の筋肉が痛くてたまらないし、薄くなってたタコが復活したけど、そんな事は大事なオリバーの貞操に比べれば、なんて事はない。


14歳の誕生日プレゼントには念願の物が貰えたし、お父様に頼んで、いざという時の別荘の使用許可も取りつけた。


 準備は整った!


 殿下、いつでもかかってきなさい!

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