人間が架空の人物に感情移入ができる理由
どのような作品のどのようなキャラクターに感情移入ができるかと言うのは、 読んでいる個人と作中の人物の生活や性格による差異の個人差が大きいのではあるけれど、感情移入というものが起きる理由は”人間の脳は主語を理解できない”からだったりします。
要するに小説の中の作中人物が発した”すごい”とか”好きだ”といった心地よい言葉をその作中の小説の人物に対して発したものではなく、読者に対して発したものだと脳は捉えてしまうのですね。
厳密に言えば主語を理解できないのは大脳古皮質で大脳基底核や大脳辺縁系に於ける快・不快に対しての情報処理ではあるのですが、ここでは大脳基底核や大脳辺縁系をあわせてわかりやすく「古い脳」と呼びますね。
「古い脳」は、性欲・食欲・などその他欲に基づいた生存本能に直結した情報をやり取りして、生理的な快・不快を仕分け、肉体に反射的行動をとらせるはたらきをします。
「情動行動は生存のための適応行動である」のですが例えば炎に対して”危険”という判断をすれば炎から遠ざかろうとするのが情動行動です。
それに対して炎をうまく用いれば役に立つと判断するのが大脳新皮質です。
この情動行動は「扁桃体」という脳の部位が要になって起こります。
扁桃体は、何かしらの感覚の入力があると、その感覚が自分の生命の維持にとって有益(快の情動)なのか、有害(不快の情動)なのか、どちらでもないのかという選別を行いそれを伝達します。
この選別によって、快の情動ならば「接近」や「獲得」の行動、不快の情動ならば「回避」や「逃避」、「攻撃」の行動が起こります。
食事における美味、不味い、他人からの好意、害意などを区別して対処するわけです。
まあ、なんでもできるチートキャラというのを現実の自分に重ね合わせることができる人は少ないですから、その間のクッションとしてトラック転生のような自分は死んで生まれ変わったというエピソードを必要とするのだと思いますけどね。




