表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物理職皆無の世界の聖剣伝説   作者: 十字路 ミノル
4/8

物理職皆無の世界の聖剣伝説Ⅳ

こんにちは、ミノルです!書きだめしていたのはこれが最後です‥。ゆっくり待っていて下さい!

第5話

賭けを成功させる方法


 俺は砂漠という所に生まれて初めて来た。

「ライ‥‥地図くらい渡してくれたっていいじゃねーか‥‥。」

「地図が必要になったのは生まれて初めてです‥。人がいないのでは魔力が感じられない。」

「あいつ北に向かえって言ってたよな‥?」

どうやらフラムスの北には砂漠が広がっており、そこを超えたらヴァイヤなのだそうだ。


砂に聖剣を突き立てる。小学生の時の自由研究で日時計をやったのを思い出した。

「‥‥ん。あっちが北。」

「あの‥フラムスとヴァイヤは戦争状態にあるのですよね?さっきから兵士1人見つけられませんが。」 

「‥‥俺が指揮官だったら間違えても砂漠に人を投入したりしないだろうな。」

俺たちはそのまま終わりのなさそうな道をあるきだした。


砂が足に絡み付いて鬱陶しい。

それは、俺たちを絶望に引きずり込むように、ゆっくりゆっくり心身を蝕んでいった。


暑さと、時々来る砂嵐で心が折れかけた頃だった。


「あぁっ!!オアシスですよ!水だぁー!!」

イオが駆け出す。そうだ、アンドロイドだから体力無尽蔵なのだ。


「俺には見えないけど‥‥心綺楼だろ。」

「でも!水です!!賢司郎様もお疲れでしょう!」

‥‥‥アンドロイドは心綺楼を見るのだろうか?

「‥だとしたら‥‥魔法か?」


イオが走っている方向に大きな窪みがある。窪みの中で、黒い何かがウゾウゾとはいずりまわっていた。

嫌な汗が頬を伝う。


俺はこの世界のことを何も知らない。

参考になるRPGと、アニメと、映画を知っている程度だ。


でも。理性と本能が同時に警鐘をならす。

あの子を止めろと。


「止まれぇぇぇ!!それは、それは罠だぁぁぁぁ!!」

叫んだところで、魔法は解けない。

イオは嬉しそうに、嬉しそうに窪みへと向かう。


気がついてくれ。届いてくれ。

聖剣の先端を持って窪みの方へと思いっきり投げた。

聖剣はおもちゃのブーメランのように縦回転で長く飛び、イオの頭上を越した。

「ちょ、賢司郎様ぁ⁈なんてことなさるんですか!!」

イオが反応した。

そのまま超人的なジャンプ力で聖剣をキャッチする。そのまま何回か中で回転してから優雅に砂の上に降り立った。

方向転換して俺の方へツカツカと歩みよる。

作戦成功のようだ。


「聖剣は投擲ナイフではありません!!」

イオは頬をぷくっと膨らませて聖剣を俺に突き返した。

「イオ‥‥‥無事でよかった。」

俺が突拍子もないことを言うので、イオは目をパチクリしている。無理もないだろう。


「イオ、確か水系も得意だったよね。今見えてるオアシスに水を注いでみて。」

「‥‥‥‥?お安い御用ですが‥。」


窪みの上に水色の魔法陣が作られる。

そこから滝のような水が黒い影に降り注いだ。


イオに幻覚を見せる魔法が解ける。

オアシスは消え、窪み‥‥いや、巨大なすり鉢状の穴があらわになった。

「ひぃっ!!」

穴の主、10mはある巨大なアリジゴクが、濡れた砂に足を取られてズブズブと沈んでいった。

「‥‥‥これが、見えていたのですか‥‥?」

「うん‥‥砂埃でよく見えなかったけど‥。キッモ。」


「‥‥私を引き止めるために投げたのですか?」

大きな瞳が聖剣を捕らえる。

「イオなら、拾ってくれるかなと思った。ありがとう。俺や聖剣のことを1番に考えてくれて。本当は水なんて、いらないんだろ?」

「‥賢司郎様の賭けは、勝率100%ですね‥‥。」

「イオありきだよ。」


イオの肩にぽんと手を置いて歩き出す。


馬鹿みたいだ。

余裕がないのは、こっちなのだ。頭が割れそうだ。


体が重力に任せて落下するのがわかった。

なんとも間の抜けたゲームオーバーだな。






「あ、目を覚ましましたよ!!ありがとうございます賢者さん!!」

「全くぅ‥。魔力ゼロの人間が砂漠に入って助かると思うのかね!」


俺の狭い視界の中に、茶髪のロリっ娘がいる。

「ここの賢者様が助けてくれたのです!」

「‥‥どうも、ありがとうございます。」


賢者様とやらはめんどくさそうにヒラヒラと手を振っている。

「良い良い。君ら合格じゃ。砂漠にアンドロイドが一体入ってきたと思うたらのぉ、感じとれぬ輩がいて、気になったのでな。」

「‥‥合格、とは?」

「アンドロイドならば、水はいらぬはず。それでも人間に水を与えようとするか。はたまた人間は相手がアンドロイドでも助けようとするか。試してみたのじゃ。」

目の前の賢者様はスクスクと笑って言った。

「お陰で面白いものが見れたわい。」


グネグネと曲がった木でできたベッドから上半身を起こす。

そこには砂漠などという不毛な土地ではなく、世界の、ありとあらゆる植物を集めて作ったような、カラフルな森が広がっていた。


「驚いたかね?砂漠は全てカモフラージュじゃ。ここは吾輩の作った研究室、誰にもみつかることはない。」


小さな小さな賢者は俺を凝視して意地悪く笑った。

「誰にも見つからぬ。神であっても、のぉ。」













如何でしたでしょうか。感想是非お願いしますね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ