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物理職皆無の世界の聖剣伝説   作者: 十字路 ミノル
3/8

物理職皆無の世界の聖剣伝説Ⅲ

ここから多分すごく遅くなりますがご了承ください。

コメントもぜひお願いしますね!!

第4話

勇者にあらず


「心強いお言葉ありがとうございます。では、一つ依頼させてもらえないでしょうか?」

「ものによるから言ってみてくれないか。」

ライがこれまで見せたことのないような満面の笑みを浮かべた。


「ヴァイヤに、僕の師匠がいるんです。革命を起こす機会を、ヴァイヤに潜入しながら待っています。僕が合図したらすぐにでもこの国を滅ぼしてしまうでしょう。そのくらい強い大賢者です。」

「なら、貴方が魔法で合図を送れば良いではないですか。」

ライが大きなため息をついた。


「それができないからお願いするのです。この国では、革命を予防するために魔法の出どころは全て監視されています。そうじゃなきゃわざわざ門番になりすましなんてしませんよ。」


これは一か八かの賭けだ。もうあとには引けない。

「それで、俺たちは何をすれば良い?」

「この国を脱出し、師匠にフラムスに攻め入るように伝えて欲しいのです。聞けば、賢司郎殿は魔力探知に引っかからないご様子。もちろんお礼はさせて頂きます。」

「乗った!!けど戻ってこれるか分からないから先払いで頼む!」

「もちろんです!よろしくお願いします!」

「うぅ‥‥話が早すぎます‥‥。」


こうして俺たちは早くも敵の本拠地に乗り込むことになった。


擦り切れた学ランはライに没収され、この世界の服と10万ルアット(1ルアットが1円に相当するらしい)と、脱出用のロープを貰って俺たちは夜のフラムスの街を歩いていた。


なんとかして、潜り抜けねば。

俺が死ねば全世界が死ぬのだ。

歩きながら、そんなことをずっと考えていた。


「賢司郎様も無鉄砲なことするのですね。もう少し慎重にご決断なさった方が良いかと。」

さっきからイオがずーーっと俺を叱っている。


「その通りだよ。でも俺にも考えがあってな。」

行動ひとつひとつに押しつぶされそうになるほどの責任が付き纏う。

でも。無難に生き抜いて勝てる相手ではないのだ。

あのウザ神の魔法を始めて見たときのことを思い出した。

「貴方は全人類最後の希望なんですからね⁈」

「そんなご立派なもんじゃないよ。あ、ほらあれがライの言ってた門じゃないかな?」


前方に、ライのいた門の3倍は大きな門が待ち構えていた。門番の兵(今度は本物のようだ)が数十人いる。

戦争中なのにこんなところに無駄な人員割きやがって‥

俺たちは近くの民家の影に隠れた。


「とりあえず、魔法使ったら確実にバレるだろうな。」

「そう考えて差し支えありません。魔力から考えてかなりの精鋭達のようです。」

「‥‥まだ詳しく聞いてなかったんだけどさ、イオちゃんはどう言う魔法が使えるの?」

「防御魔法、遠視魔法、攻撃系だと水、光系が得意ですが‥。あとちゃん付けは勘弁してください‥。」

「よし。考えついた。プランは3つだ。」

イオの前に指を3つ立てた。


「プランその1、あそこにいる奴らを全員倒して進む。」

「賛成しかねます。勝率がわかりませんし、聖剣の刃がこぼれてしまったら直す手立てがありません。」

「同意見だな。次、プランその2、あの門を壊してあいつらが動揺してるうちに逃げる。」

「これも良策とは思えません。あの門は短時間で壊せるかどうかわかりませんし、門に近づく前に仕留められるでしょう。」

「‥‥よし。じゃあやっぱり実行すべきはプランその3だな‥‥‥!」




「‥‥‥鋼鉄の門‥‥大きなかんぬきでロックされています。‥鍵はないようです。」

「遠視ありがとう。連中もこっちに近寄ってきたぞ。」

遠視魔法に反応した門番の足音が近づくのがわかる。さぁ、作戦スタートの合図だ。

門番が民家の角を曲がりかけるか否かのところで、イオが動く。

星の滴(スターダストシュート)!」

門番兵が倒れる。イオの放つ光で、周囲は昼間のように明るくなった。

「少しは片付いたようです!」

「よし。そのまま光り続けろ!絶対に死ぬなよ!!」


俺は民家の影を縫って門へと走った。

案の定門番が全員イオに引きつけられていて、門はガラ空きとなっていた。


自分の持てるありったけの力でかんぬきを持ち上げて、門から外へ出た。

門の外には門番が2人。

光がレーザーのように細い線となって降り注いでいる。

相手を切ることなく倒す方法が、ひとつだけ閃いた。

「ワンチャン‥‥これなら!!」

俺は聖剣を抜くと、溢れ出るイオの魔法の光を刃に反射させて、門番2人の目に照射する。

門番は目を押さえて悶絶しながら倒れた。

よし、準備は整った。



「イオ!!ミッションコンプリートだ!脱出しろ!」

俺は門を外から全開にして、これまで出したことのないような大声で叫んだ。

「了解しました!」

イオが人間とは思えないようなスピードでこちらに走ってくる。流石異世界の美少女アンドロイドといったところだ。

「残りはざっと15人です!」

「全員イオを追いかけてるな?全て計画通りだ。イオ、こいつの出番だぜ‥!」


門の内側から兵士の怒号が聞こえる。こちらに来る‥‥



「「せーーーの!!!」」


脱出用に支給されたロープを目一杯引っ張る。

するとどうだ、追ってきた兵士が全員引っかかって将棋倒しのようにパタパタと倒れていった。


作戦は大成功に終わった。


引っ張ったロープで兵士を全員縛った頃には、もう東の空が白みがかっていた。


「ふぅ‥‥初陣は大勝利だな!」

「‥‥‥恐れ入りました。ですが‥不可解な点もあります。なぜ夜襲に不向きな光魔法を選ばれたのです?」」

「光は闇をも強くする。アニメで悪役が言ってたんだよな。イオが光れば光るだけ、相手はそっちに引き寄せられて影に隠れた俺が目立たなくなるのさ。」


「かなり考え込んでいたのですね‥ご無礼をお許しください。」

「いいんだよ、別に。それに正直に言えば、かなりリスキーな作戦だったんだ。」

「え‥‥?あの3つの中では最善だと思いますが‥?」

「そもそも、ロープがあるのなら警備が薄い外壁から脱出するのが1番手っ取り早かった筈だ。でも、俺はそれをプランに入れなかった。」

「そこまで考えていて‥なぜ‥‥?」

「クーデターするなら、少しでも混乱していた方がいいだろう。朝起きたら門番がぐるぐる巻きにされてるんだからな。」

「当然といえば当然ですが‥全く考えつきませんでした。己の無知を痛感します。」

「なぁに、このくらいできなきゃ、俺は忍者とマリオとアニメの国から来たんだからな!」






如何でしたでしょうか。応援のほどよろしくお願いします!!

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