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物理職皆無の世界の聖剣伝説   作者: 十字路 ミノル
2/8

物理職皆無の世界の聖剣伝説 II

1を最後まで読んでくださった皆様ありがとうございます!!ご期待にそえるような2話になってたらいいなと思います!

第一章 第2話 


記憶―I


お祭り楽しかったなぁ‥

また‥一緒に行きたいなって絶対言うんだって


鏡の前で15回練習したのに言えなかったなぁ‥


次はいつ行けるのかな‥




次に目に飛び込んだのは隣を歩く君の目を見開いた顔と


迫ってくる二つの光。


何もかもわからないまま、君と引き裂かれた。











第一章 第3話


持つ者、持たざる者



「じゃあ、まず何をすべきだと思う?」

先を歩くイオに問うた。そろそろ夕日も沈む頃である。

「早くここの人に合流したいところです。日暮れ前までに町を探しましょう。今やってみますね‥」


そう言うとイオは急に止まり、硬く目を瞑った。


「えと‥何してるの?」

「人の持つ魔力を感じとることで町を探しています。私の魔力自体強くないので時間がかかりますが‥」

「おぉー!そんなこともできるんだ!!」

「‥‥‥東南の方向に人が沢山います。向かいましょう。」

そう言うとイオはスタスタと歩き出した。


「イオちゃんはすごいね!俺は魔力が無いらしいから、そう言うことが出来ないけど‥」

「‥いえ、私だけじゃなく、この世界の人ならば全員できることです。」


「あぁ‥じゃあ俺には無理だな。」

驚いた様子でイオが俺を見上げた。

「魔力が無い‥ですか?」

「うん‥‥あのウザ神がそう言ってた。実際魔力を感じとることもできないよ。やり方がわかんないだけかもしれないけど。」

「‥‥‥もしかして。」

イオがまた目を瞑った。


「‥‥イオちゃん?」

「‥‥‥この世界で魔法が使えないというのは、圧倒的に不利なこと。」

「うん‥‥。」

「ですが‥魔力が無い故に、貴方の存在が感じ取れません。この世界の人は、視覚以外で貴方を感じ取れない。」

「それって‥俺は、透明人間なの?」

「目ではみれるので、透明人間とまではいきませんが‥使いようによっては、かなり戦闘向きということになります。」

「マジか‥。俺は人と全く違うってことがこれまでなかったから、なんか自信ないな‥‥。」

「‥持って下さい。自信。」

「でもまぁ、そんなことができるならまだやりようはあるってことだな!」

俺はハイタッチのつもりでイオの前に手をかざした。

イオはおずおずと手を合わせてきた。

「しかし‥不利に変わりはありません。まず、距離を縮めないと刃が当たらない。」

「使いたくないんだけどな‥。」

「あと、この世界にはギルドもあるのですが、それは魔力によって登録されるので‥ギルドには入れません。」

随分と用語が増えてきた。イオは俺の表情を読み取ったのだろう。

「ざっくり言いますと、常に資金不足です。」


重たい沈黙が流れた。

「お金はなんとかするとして‥‥町は近そう?」

「はい。この道を抜けると町のようです。」


がやがやとした騒音が少しずつ聞こえるようになってくる。


目の前には、三階建のアパート並みの大きさの鉄の門。

それを取り囲むかのような鉄の壁。

その中から音は聞こえるようだった。


「ここの内側から反応しています。それも、おびただしい数が‥」

「そうか‥厳重に守ってるみたいだけど、入れてくれるかな?」

俺は鉄の門の前に歩み寄ると、強めにノックをした。


「誰だ。」

俺の隣で声がして、反射で俺は飛びのいた。

「‥‥っ、いつのまに‥?」

「多分ですが‥門番の兵です。瞬間移動魔法を使ったものと思われます!」

「はぁ⁈そんなこともできんのかよ‥‥!」


声のした方を睨め付ける。

そこには、黒にフードを目深にかぶった、痩せっぽちな男がいた。

「旅のものです。中に入れてもらえませんか?」

イオが恐る恐る訪ねる。

「‥‥ここらで旅をするものなどいない。浮浪者か逃げ出した奴隷階級の者だけだ。どちらにせよ、通すことはできない。」

「そんな‥‥」


イオが憔悴の表情を見せる。

「なぜだい‥‥あんな痩せた男、君なら倒せるだろう?」と耳元で囁いた。

「魔法攻撃しか存在しないのだから、痩せてるも太ってるも巨体も関係ありません。それに‥‥この門番はかなりの魔力を保有しているようです‥‥」


「言い訳でも考えているのか?消えないなら排除するぞ。」

そう言うと門番はその場から一歩も動かずに、巨大な魔法陣をその場に展開した。

「まずい!死ぬ気で避けてください!!」

「え?」

そんな間の抜けた返事をしてる余裕もなく、気がつけば俺とイオめがけて無数の火の玉が飛んできていた。

イオが咄嗟に俺に防御魔法をかける。


どうすればいい。最短で考えろ。さもなくば死ぬ。

魔法の使えない現代人が使うべきもの。


頭だ。頭と聖剣で勝ち残るのだ。


門番男はイオ1人に標的を絞ったらしく、イオは間一髪のところで火の玉をかわしている。

しかし、長くは持たないだろう。

考えろ。俺にできることを。


「イオ!!水って出せるか⁈」

「くっ、出せるには出せますが‥MPもそんなにないです‥‥」

「構わない!あいつに全力でブっ放て!!」

「わかりました!」

「はっ。火には水をなんてことしか考えつかないか?火力で押し切ってやる!」

火の玉がさらに大きさを増した。

高音の火の玉に流水がぶつかる。

ジュウジュウと言う音を立てて煙があたりに充満した。


「ちぃぃっ!こんな煙、吹き飛ばしてくれる!!」

男は地面に魔法陣を展開すると、そこから細い火柱が無数に出現した。

イオが熱さに顔を歪める。

あまりの高温に、蒸気も消えてしまった。


「どうした?煙を巻いて逃げるのかと思いきや、逃げる気力も失せたか⁈どうやらもう一人の男は上手く逃げ出したようだがな!」

「くっ‥‥賢司郎様‥」

フードのしたからギラギラ光る目が覗く。

勝ち誇った顔をしていることだろう。


しかし俺は逃げるような人間ではない。


蒸気に紛れて男の後ろを取る。

俺の存在は、目でないと分からない筈だ。


「動くな。これは最新式のマジックアイテムでな。触れただけで死ぬぜ。」


俺は背後から男の方を掴み、喉笛に聖剣を突きつけた。

「ぐぅっ‥‥いつの間に‥‥」

「降参するんだ。」 

イオは感心したように頷いていた。

「蒸気に隠れて背後に回るとは‥‥よく考え付きましたね。そのまま刺し殺していれば文句なしでした。」


俺は時々、この少女が恐ろしくなる。


「‥‥‥降参します。離してください‥‥。」

「お、やっとか。」

イオが回復した魔力ですぐにガッチガチに縛り上げる。

「門番さんよぉ、入れたくない人を排除ってのは少々物騒じゃねぇか?」


すると男は、首をぶんぶんと振ってフードを取った。

それは、綺麗な金髪の青年であった。


「参りました。ご無礼をお許しください。僕は門番なんかじゃないんです。」

「この国の人間ですね?命令します。一晩タダでこの国に泊めなさい。」

イオ‥‥お前がっちりしてるな‥‥

「僕は負けたんだ。わかりました。僕の家で良ければ‥」 


俺たちは青年を吊し上げながらこの国に入った。


「本当に、申し訳ございませんでした!」

青年の家とおぼしき場所で、青年は深々と俺たちに土下座した。

「入れてくれてありがとう。早速事情聴取するね。」

「‥‥私は宿と言いました‥‥。家に泊めろなどと‥‥」

「‥それは僕の独断です。この国の宿をはじめとするありとあらゆる施設は、兵隊が占領しているのです‥一度絡まれれば、厄介なことになりますので‥。」


「‥そうか。厄介事は確かに避けたい。それで、名前は?」

「ライと申します。」

「じゃあ、ライ。なんで門番のフリして自警活動してたの?」

「はい、お応えします‥。」


この国‥‥フラムスは隣国との戦争を繰り返す愚かな国です。


少しでも魔法が得意だと、すぐに徴兵されてしまうような、野蛮な制度がありまして。


僕だってこの国で一、二の炎系魔法使いですが、頑張って隠している状態です。瞬間移動魔法が使えるの、僕だけなんですよ、この国で。


すみません、話が逸れてしまいましたね。


僕には治癒師の姉がいます。

兵隊に取られてしまって、軍隊の訓練場で、怪我をした兵を治してあげるのが仕事だそうです‥表向きは。


裏では何をされているか‥想像に難くない。

たまに姉が家に帰ってくる時は、ずっと泣いています。

兵隊の奴らは人ではない!


兵隊の奴ら、国を守っているのは俺たちだ、と好き勝手するのです。だから僕の家に連れてきたと言う訳です。


それに、治癒師は貴重なので、国内での負傷者も一手に引き受けなければなりません。


国内で揉め事を起こすような奴を入れないようにして、姉の負担をなんとか減らしてやりたいと思い、数ヶ月前から自警活動をしていたのです。




「‥‥‥そんなことになってたのか‥‥。」

「隣国‥ですか。どこの国かわかりますか?」

「現人神を名乗る男が治めている、ヴァイヤと言う国です。領土と宗教が絡んだ厄介な戦争を、3年ほど続けています。」


現人神。


俺とイオはその言葉に即座に反応した。

「これって‥‥‥。」

「多分、そうです‥‥。」


俺はライにこれまでの経緯を全て話した。


以外なことにライは、「だから魔力が感じ取れなかったのですね」と落ち着き払って笑っていた。


「しかし‥‥困ったことになった。」

ライが突然深刻な顔になって話し出した。

「貴方方は、ヴァイヤの現人神を倒すことを使命としている。それはフラムスと同じ方針です。」

「それは‥‥別に困ったことに感じないけど?」 


ライは大変申し訳なさそうにこちらを見て言った。

「僕らは、有志で革命を起こすつもりだったのです。ですので、貴方方の味方は出来ないのです。もちろん敵対すると言う意味でもないのですが‥利害が一致しない。」

「利害なんてあとでいい。クーデターも成功させようぜ。」

「ちょ、賢司郎様ァ⁈」


慌てるイオににっと笑う。

「王国一つ変えられない野郎が世界救えるかよ。」












如何でしたでしょうか。アドバイス、酷評、有ればお褒めの言葉をよろしくお願いします!!

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