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勇者転生ライブリンガー  作者: 尉ヶ峰タスク
第六章:災いの源
156/168

156:ボクらの希望は!

「う、うう……なにが?」


 ボクは姉ちゃんを助けて、ミクスドセントハーモニーにいっしょに抱えられてたんだ。

 それで復活しかけの邪神をライブリンガーがやっつけようってなって、それでズドドンって……。


「そうだ! 姉ちゃんはッ!?」


 いっしょにいたはずの。邪神からやっとの思いで取り戻した大好きな人。その人が無事でいるのかが気になって、ボクはあたりを見回した。


「……大丈夫だ、ビブリオ……ホリィならこの通り……」


「ミクスドセントッ!?」


 心配いらないって、倒れた姉ちゃんのことを教えてくれるミクスドセント。だけど膝を着いて、瓦礫の中にボクらのいられる空間を作ってくれてるその体はボロボロだ。ひび割れだらけで、口元のマスクも割れてしまってるんだ。


「待ってて! いまボクの魔力を送るから!」


「すまないな。たった一撃でここまでやられるとは……」


「そんな……それはボクらを守ったからで……」


 そうだよ。いまもミクスドセントは斧を支えにして、ボクらを押しつぶしにきてるのから守ってくれてる。

 ボクらに構わないでいいんだったら、こんな風にはなってないよ!


「いや、合体……それも四体でやった上での全力の守りを突破されてしまってはな……不完全で封印をかけていたはず、だというのに力はかつてよりも増している……なんということだ」


「そんな……」


 ボクと姉ちゃんは無事、だけど昔よりずっと強くなってる邪神だなんて、どうしたら……いくらライブリンガーだって、無事に勝てるかどうか……。


「ライブリンガー! ライブリンガーはどうなったのッ!? まだ戦ってるんでしょッ!?」


 いっしょに戦ってくれてるボクらの友達。邪神との戦いでも先頭に立ってた友達に、ボクはライブブレスで呼びかける。


「……ビブリオ、良かった……目が覚めたんだね」


 でもすごい音といっしょに返ってきた声はつらそうで、とても勝ってる感じじゃない。それどころかいまにも負けちゃいそうな……。


「待っててライブリンガー! いま助けにいくからッ!!」


「いや、私のことはいい。それよりもホリィを守っていてくれ。頼むよ」


「そんな!? そんなのって!?」


 あんまりだってボクだけど、ライブブレスは静かになっちゃった。

 ライブリンガーがホントに危なくて、だからボクに姉ちゃんのことを任せて、少しでも安全なところにいっしょにって。そういうつもりなのは分かる。だけど、だけどさ……ボクにだって!


「……ビブリオ、いっしょに行こう」


「姉ちゃん!?」


 悔しさにうつむいてたボクに顔を上げさせてくれたのは姉ちゃんだ。

 自分の足で立って、ボクを引っ張って歩こうとした姉ちゃんだけど、すぐにふらついちゃった。

 慌てて支えて回復魔法を使うボクに笑い返すその顔は、疲れてはいるけれどいつものやさしいホリィ姉ちゃんのだ。


「ホリィ、しかし邪神はキミを狙っていて……そこへ出ていくのは……」


「いいえ、聖獣様方。本来の肉体を取り戻した今、もう私は邪神にとって八つ当たりか、ライブリンガーへの揺さぶり程度の意味しかありません。それよりも、今はライブリンガーを助けないと……」


 危ないって止めるミクスドセントに、姉ちゃんは首を横に振ってはっきりと言う。

 そうだよ。ライブリンガーにもしものことがあったら、結局は味方の減ったボクらが戦うんだ。だったらさ!

 そんなボクらの目に、ミクスドセントはひび割れた目を光らせてうなずいてくれる。


「……そうだな。次善の策などジリ貧に過ぎん! ミラージュハイド!!」


「了解!」


 呼びかけるのといっしょに力を放出したミクスドセントに合わせて、外からも温かい力が。その共鳴は、ミクスドセントを柱にボクらを取り囲んだ金属のドームを吹き飛ばしたんだ!


「ライブリンガーッ!?」


 そうしたら見えたのは邪神から出た腕ににぎりしめられてるライブリンガーの姿だった。

 おまけにボクらの勇者を握ったその手は指先がヘビの頭になってて、鋼の体に牙を突き立ててるんだ!

 それでマスクが壊れるくらいに傷ついていても、ライブリンガーはあきらめないで動く武器全部を使って邪神を攻撃し続けてる!


「おやおや? 贄が向こうからやってきたようね? お前たちも直に取り込んで、あるべき世界に戻してあげよう」


 邪神はボクらが出てきたのに気づいて、こっちにもライブリンガーを掴んでるのと同じ手を、姉ちゃんを乗せてた五つ首のヘビの小さいのをこっちに飛ばしてきた!


「誰が渡すものかッ!?」


 だけどそれをミクスドセントハーモニーが大斧を振り回して弾き飛ばす。

 だけど指をやってるヘビ頭から伸びてきた小さいのが、しつこくボクらをねらってくる。

 だけどそれはミラージュハイドが逆手持ちにした炎と氷のダガーで切り払ってくれた!


「そうだともッ! ライブリンガーを助けようって勇気ある子たちをなッ!」


 そうだろって目をチカチカさせてくる二人の勇士に、ボクたちはうなずき返して進むんだ!

 傷ついた勇士たちに助けられて、でもみんなを助けるためにボクの、ボクたちの出きることをやるんだッ!!


「苦痛にあえぎながらなんと健気な。そんな苦しみから解放してやりたいものだ」


 それで優しいつもりなのか! 勝手なことを言いながら邪神はボクたちが走るのを邪魔してくる。けれどライブリンガーを捕まえておけるだけの力がありながら、すぐにボクらを叩き潰したりはしないで。


「ひと思いにやらないこと、後悔させてやるんだからな!」


 ムカつきをぶつけてやりたい気持ちも足にこめてボクたちは前に。そんなボクらを見下ろした邪神からこらえきれないって風な笑い声が。

 それといっしょにボクらの正面に大きな塊が。だけどそれは弾いちゃダメなヤツだ。だってそれはボコボコにされてたマキシアームなんだから!


「ビブリオ、力を貸して!!」


「え? うんッ!?」


 どうしたらって、迷ったボクだけど、姉ちゃんに言われるままに合わせて魔力を出す。

 そうしたら姉ちゃんは胸のライブシンボルから大きな朝日の光を出すんだ。


「ライブリンガーに、力をッ!! 受け取ってッ!!」


 祈りの言葉といっしょに飛び出したまぶしい光は、飛ばされてきたマキシアームと正面衝突。そのまま包んで押し返していく。

 けれど迷いのないその行き先は邪神に掴まったライブリンガーで――


「何のつもりか。虚しく無駄な足掻きを……」


 そんなボクらの全力を邪神は鼻で笑って、ライブリンガーを邪気の檻で包んできた。だけど、そんな壁はまるで無いみたいに光に包まれたマキシアームはライブリンガーに重なるんだ!

 それでより強くなった輝きはにぎりしめてた邪神の手を粉々に吹き飛ばしたんだ!


「んなッ!? バカなッ!?」


「あなたが私の中に残した、創造の力……その全部で、私たちの希望を、創らせてもらうわ!」


 そうか。邪神と繋がったことで姉ちゃんの中にも同じ力が。だからすり抜けたんだ!


「人間ごときが、私の……神の力を……ッ!?」


 それが邪神には気に入らなかったみたいで、グニャリと体を歪めて一匹の大蛇の顔を見せる。そしてその口からにごった邪気の塊をボクたちに向けてはき出してきた!


 目の前いっぱいに広がったにごりに、ボクと姉ちゃんはお互いに体を寄せ合う。

 だけどすぐにボクらの目の前は光でいっぱいにぬり直されるんだ。


「私の友たちを、これ以上傷つけさせはしないッ!?」


 それはマキシマムウイングを超えて大きく、グランデよりももっと力強く。まるで太陽そのままみたいになったライブリンガーだ!

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― 新着の感想 ―
[一言] これから起きることを思い浮かべてニッコリ。
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