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勇者転生ライブリンガー  作者: 尉ヶ峰タスク
第六章:災いの源
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153:復活の鋼魔王

「……食らわせてやっても、お許しくださいとの泣き言も無しか……」


 巨大な金属飛竜の顔面に拳を突き入れながら、寂しげに呟く白銀と緑の鉄巨人。

 強壮強大な力を備えているだろう分厚い機体は、触れ合ったワイバーンの頭のせいで目立たないが、巨大戦闘形態の私と並ぶか凌ぐほどに大きい。

 巨大な翼を備え、トゲや刃で鋭角を増してより厳めしくなってはいるものの、その姿とその気配を私が間違えるはずがない!


「ネガティオン……! 復活を果たしたのかッ!?」


 身構えた私の声に、ネガティオンはニヤリと口元を歪めてこちらを見る。悶えるワイバーンは片手で抑え込んで。


「久しいなライブリンガー。見ての通りだ。以前のままの我だとは思わん方が良い。あえて名乗るならば、ネオネガティオンといったところか?」


 そう言い放つだけあって、見た目以上にその機体が放つ圧力は増している。

 全力で斬りかかったとて、以前のように通じるとは到底思えない。

 どう切り込むか。必殺の道筋を探りロルフカリバーを握り締める私に、しかしネオネガティオンは軽く笑い飛ばして視線を飛竜へと戻す。


「今からそう構えるな。お前の相手をする前にまだやることがあるのだからな……」


 そう言う彼のワイバーンを見る緑の目には哀しみと、その奥深くで揺らめく暗い怒りの色があった。


「ちょっと、ちょっとー! どういうつもりネガティオン!? アンタは人間を滅ぼして、わたしは力を取り戻す。そう言う話だのになんで邪魔するのよー!?」


「やかましい! それは貴様が我を送り出すのに勝手に言ったことだろうが!? 我は貴様の手下に下ったつもりも無ければ、我が配下を道具にすることを許した覚えもないわッ!!」


 インバルティアの物言いを、鋼魔王は一喝に切り捨てる。

 だがこれに対して邪神は言い返すでもなく、上から眺めているのみ。

 なんというか、奇妙な関係性を感じる。利害の一致から協調・同盟はしている。しているがしかし、互いにいつでも相手を出し抜こうとしていて、それを良しとしている。そんな雰囲気だ。

 そして仰ぎ睨んでいたネガティオンは、もう一度視線をワイバーンへ。


「……ふん! たわけが。甘言に踊らされたあげくに、死した後にまで使われおって!」


 吐き捨てるような一言に続いて、巨大な飛竜の頭が吹き飛んだ。ネガティオンが突き入れたままに腕をエネルギーカノンに変形、引き金を引いたのだ。それから首に胴と次々に砲撃で消し飛ばしていくのだ。


「まーひどーい! 部下の体を容赦なく消し飛ばして行くなんてー!」


「何を言うのかッ!? その必要を作った者が、何をッ!?」


 傍目には配下への惨たらしい仕打ちに見えることだろう。だが死の後も弄んで介錯する必要を生んだ者が非難するなど、どの口が!

 ネガティオンを庇うつもりは無い。だがつい我慢ならずに、グリフィーヌと声を揃えて叫んでしまった。


「ククッ……まさかライブリンガー、お前に擁護されるとはな。だが勘違いするなよ? 我はお前に味方するためにここへ来たのでは無いぞ?」


 部下であった者の機体を消し飛ばしたネガティオンは、顔にバトルマスクをセット。余波を帯びたカノンアームを私に向けて発砲する!


「そうだろうとも!!」


 だが私はそうくるだろうと構えていたロルフカリバーを振るい、破壊竜巻を帯びた刃で迎えうつ。


「やるではないかッ! よく備えていたッ!」


「お前にとっては、私こそが仇討ちを阻んだ敵だろうからなッ!?」


 重い手応えを強引に押し切った私の目の前には、結晶の刃を手に斬りかかるネガティオンが。これを切り返したロルフカリバーで受け、鍔競り合いに。

 こうして実際に刃で受ければ、ネガティオンがどれほどに力を増しているかを思い知らされる!

 受けた腕どころか機体が軋み、ロルフカリバーの帯びたエネルギーも、ほんのわずかにでも緩めれば押し流されてしまいそうだ。


「仇討ちといえば、お前にとってもそうではないのか、半身よ?」


「私にとっては違う! 友をいっしょくたにして仇呼ばわりになど、できるはずがないッ!!」


 挑発の言葉に切り返しながら、私は放出するエネルギーを振り絞る。

 だが鋼魔王は硬いマスクの奥から悠々たる笑みを溢すだけでびくともしない。


「リーフブリザードッ!!」


「おおっとッ!?」


 横合いからの炎と氷の木の葉吹雪を、ネガティオンは翼を一振りに打ち払う。

 それに合わせて私が剣を押せば、ヒラリと間合いを開けて――


「ライズダウンッ!! そしてライズアップグランデッ!!」


 この隙に私はグリフィーヌ、マキシローラーらと分離。マキシアームと合体する。


「なんと、ライブリンガーッ!?」


「グリフィーヌはミラージュハイドとビブリオの援護を頼む!! ここは私に任せてくれ!!」


 そうとも。敵はネガティオンばかりではない。

 ホリィを利用しているインバルティアも未だ空にいるのだ。ホリィ奪還はビブリオに任せたとはいえ、援護をしない手はない!


「それには及ばんぞ!!」


 しかしその私の戦力配置の案を、四色の光が五首の大蛇を撃って却下する。

 その出所はメレテ側の空。四聖獣が合体を果たしたミクスドセントハーモニーだ!


「来てくれたかッ!?」


「まったく、遅いぞッ!?」


「すまんな! だが邪神側は我々がやるから、夫婦めおとコンビは宿敵を抑えていてくれればよい!」


「言われずともだッ!!」


 合体聖獣からの提案の上がった戦力配置に、グリフィーヌは稲妻の剣を抜き放ってネガティオンへ切りかかる!

 これに合わせて私もロルフカリバーを叩きつけに!

 仲間が揃って任せてくれと言うのなら、私は遠慮無く私の役目を担いに行ける!


「おお。打ち合わせは終わりでいいのか?」


 対するネガティオンは両の腕から出したブレードで、挟み込む私たちの剣を受け止める。

 ああ、そうだ。打ち合わせはもう終わりでいい。だが攻めの手はそうでは無いぞ!

 空飛ぶグリフィーヌばかりか、グランデの私までやすやすと押し返すネガティオン。

 私はあえてこれに逆らわずに刃を流し、足のアンカーボルトを中心に旋回。合わせてパワーアーム先端のサークルソーを見舞う!

 これもまたネガティオンに滑らされ、勢いを流されてしまう。が、アームは一本ではない! 三の太刀のクラッシュクローが備えているぞ!

 合わせて翼を駆使したグリフィーヌのサンダーブレード二刀流が、ヒットアンドアウェイに逆側から襲っている。

 二対一。そして手数の差で、私のパワーアームがネガティオンの剣をキャッチ。グランデの超馬力で宙にある復活魔王の白い機体を引き寄せる。


「受けろッ!」


 私とグリフィーヌは声を揃え、ネガティオンへ剣を突き出す。

 この挟み撃ちのどちらに応じたとしても痛手は免れられないだろう!


「そうはいかんなぁ」


「……なに!?」


 だがネガティオンを掴んでいたはずの私のパワーアームが弾かれ、自由になったネガティオンがその場で回転。合わせて放たれたエネルギーが私たちを吹き飛ばすのだ。これに負けじと踏ん張りつつ、ふと視界に入った影を剣で払う。

 すると硬い音を立てて宙を舞うモノが。


「ふん。それがお前のもう一つの姿か。四つ腕とはなかなかに面白い」


 そう言うネガティオンの傍らには爪のようなモノが浮いている。あれは、機体の一部を切り離しているのか?

 あれで私のアームとグリフィーヌを弾いたと言うのか!?


「だが奇遇なことに、我もビットクローを得ているのでなッ!!」


 ネガティオンもただ復活しただけではないと。それを思い知らせようとばかりに、ネガティオンは翼を羽ばたかせてクローと共に踊りかかって来た!!

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱりぃぃぃぃ! しかもなんかパワーアップしてるぅぅぅぅ!!
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