便秘治療(3)(中学3年生5月)
排泄の描写があります。
火曜日、水曜日と、連日自宅で浣腸をして便秘を解消していた優香だったが、3日目となる木曜日の夜、夕食を終えると胃がムカムカしてきて、トイレに駆け込み、食べたばかりの食事を全て戻してしまった。
「ご飯……全部戻しちゃった」
青白い顔でトイレから出てリビングに戻った優香は、不安げな表情で目に涙をためて言った。
「気持ち悪い?」
「うん……。戻したら、少し治まったけど…」
「戻しただけ? 下してはいない?」
「…してない…。けど、ちょっと……ゴロゴロしてるみたい……」
不安げな顔で、下腹をさすりながら、優香は言った。
「今日は浣腸は休もうか……。あたたかくして、もう寝なさい」
その場では素直に頷いた優香だったが、自分の部屋に入ると、そのまま勉強机に向かった。
宿題もまだ終わっていないし、来週の火曜日と水曜日にテストがあるのが気になって、勉強せずに眠れる気分ではなかった。
それなのに、勉強机に向かうとすぐに、下腹に溜まったガスが、グルグルと大きな音を立てて主張をはじめた。
お腹が張って、気持ちが悪く苦しいだけでなく、ガスが動くたび、下腹から肛門にかけてズンと鈍い痛みと不快感が走った。勉強しなければと思うのに、お腹が重く、気ばかり焦って、何も頭に入ってこない。
優香はしばらく下腹をさすって痛みを紛らわせていたが、痛みは次第に強い便意を伴うようになり、結局トイレに駆け込むことになった。
ビュッーー!…ブリュブリュ…ビュッ。ぐちゅっ。ビュびゅっ。ぶーーーー。
便器に腰掛けた途端、緩い便が肛門から噴き出した。
水っぽい便に混じって、何度もガスが出て、お腹の張りは少し楽になったものの、ゴロゴロする下腹の不快感は治まらない。
「…うー……んーー…んーー!……うっ…うーーん!! はあ…はあ……うーーん!!」
優香は下腹をさすりながら、うめき声を漏らし、下痢を出し切ろうと強く息んだが、もう何も出なかった。
しばらく息んだ後で、諦めて立ち上がり、優香がトイレから出ると、そこには心配して様子を見にきた真斗の姿があった。
「…お腹の具合、かなりひどいの?」
下痢をしていることを察して、その状態を尋ねられた恥ずかしさで、優香が言いよどんでいると、真斗は言った。
「戻してるし、ひどい下痢もしてるのなら、食中毒かもしれない」
「…それは、大丈夫だと思う。いつもの、ちょっとお腹の調子が悪い時の感じだから…。ちょっと…お腹が張ってて……ゆるいけど、そんなにひどくはない……」
「そうか…。疲れたのかな。とにかく早く着替えて、今日はもう寝なさい。明日、朝から病院に行って診てもらおう」
まだパジャマではなく部屋着姿の優香に真斗が言うと、
「テストが近いし、明日は学校休みたくない…」
不安げな顔で、優香は答えた。
「無理をしたら余計に長引くよ。早く診てもらった方がいい。開院に合わせて行って診てもらったら、少し遅れるだけで学校も行けるから」
そう諭されて、優香は頷いたが、やはり来週のテストが気になり、ベッドに横たわりながらも、参考書を眺めていた。けれど、お腹の調子が悪くて、勉強にも身が入らない。
苦しい…。
激しい下痢ではないものの、お腹がゴロゴロしてすっきりせず、また便意に襲われてトイレに入ると、熱い肛門から少量の軟便が噴き出した。お腹には張りがあり、下痢のような痛みもまだ続いているのに、前かがみになって強く息んでも、もう何も出ない。
それなのに、ベッドに戻って参考書を開くと、またすぐにお腹がゴロゴロして催し、トイレにしゃがむと、出ない…。
そんなことを何度も繰り返し、優香は諦めて、電気を消して眠りについた。
翌朝。
優香は真斗に付き添われて、友井クリニックを受診した。
「火曜日、水曜日と夜に浣腸をして、体調は落ち着いていたんですが、昨日、夕食の後に戻してしまって…。下痢もしていたので、昨晩は浣腸は控えました。昨日の夜から今朝にかけて、何度も下しています」
真斗が説明すると、友井医師は優香にたずねた。
「下痢は昨晩から?」
「はい…」
「今も、まだ下ってる?」
「はい…少し…」
「昨晩から、何回くらい下してる?」
「何回もトイレに行きたくなって、トイレには10回くらい…。でも少ししか出なくて、寝ようとすると、またすぐに出たくなって…ゆるいのが少しだけ出て…。出ないのにお腹はずっとゴロゴロして…」
恥ずかしさを堪えて、優香は下腹をさすりながら、つらい症状を訴えた。
「吐き気は?」
「朝からは食べてないので戻してないけど、今も少しムカムカして気持ちが悪いです…」
診察台でのお腹の触診と聴診、直腸診の後、
「胃腸が弱っていますね。奥の方で詰まって、ガスも溜まって張っているのに、腸の動きが悪くて出せていない状態です。今週は、何か緊張するようなことがあったり、忙しかった?」
「…来週テストがあるので、今、勉強が大変で…」
「そう…。あんまり頑張りすぎないようにね。点滴をして、その後で一度高圧浣腸をしましょう」
「…こうあつ…?」
「お腹の奥の方まで届く浣腸だから、いつもの浣腸より大きくて、時間をかけてたくさん入れるけど、入れるのはお湯なので、お腹はそれほど痛くならないからね」
いつもの浣腸より、もっとたくさん入れると聞かされて、優香は恐怖で表情を強ばらせた。
それに、今日は下痢気味なせいで、直腸診で肛門を刺激されるだけでも、少しもよおしかけたのに、浣腸されたら我慢できそうにない…。
優香の脳裏に、もともと下痢をしている所に浣腸の処置を受け、我慢できずその場でポータブル便器に下してしまった、初めて受診した日の記憶がまざまざと蘇った。
「高圧浣腸をしたら、奥の方の詰まりも取れてスッキリするからね。浣腸でお腹を動かして、奥の方で詰まって悪さをしている便を出してスッキリしましょう。今日はこの後、学校に行くの?」
制服姿の優香に友井医師は尋ねた。
「はい。テストの直前なので休みたくなくて…」
「テストはいつ?」
「来週の火曜日と水曜日です」
「浣腸をした後、少し休んで、まだ吐き気があるようなら、吐き気どめの坐薬も入れましょう」
友井医師は、そう優香に告げると、今度は真斗に向けて説明した。
「坐薬は家で使う分も処方箋を出しておくので、吐き気が続くようなら、家でも使って下さい。8時間以上間隔をあけて、1日2回まで使って大丈夫です。肛門付近に便があるようなら、便を避けるようにして挿れてあげてください。直腸に便がたくさん溜まっていたり、お腹が張っているようなら、先に浣腸をして、お腹が落ち着いてから坐薬を挿れるように」
「佐伯さん、高圧浣腸の準備ができましたので処置室にどうぞ」
看護師さんに案内され、真斗に付き添われて、優香は廊下の奥の処置室へと向かった。