便秘治療(2)(中学3年生5月)
排泄の描写があります。
ブシューー! ブチュブチュッ、ビューーッブリュッ。
便器に座ると同時に、優香の肛門は、内側から押し寄せる便の勢いででこじ開けられ、濁流のような便を勢いよく便器へと噴射した。
「終わってもすぐに立ち上がったら駄目だよ」
真斗がそう声をかけてトイレから出て行くまでの間、肛門を閉じて排泄を堪えるのはもちろん、返事をすることも、そちらを向く余裕さえなかった。
全身から力が抜け、冷や汗が吹き出して、背中からむき出しのお尻へと伝っていく。
グルグルと激しく蠕動する腸に、全ての血液が集中してしまったかのように、顔からは血の気が引いて気が遠くなり、優香は霞む視界とおぼろげな意識の中、ただ下腹の痛みと、水便を噴射する肛門の熱さだけを感じていた。
はあ…はあ…はあ…。
苦しげに荒い呼吸を漏らしながら、優香は便器の上で上半身を伏せ、自分の両膝に腕をついて、そこに顔を埋めるような体勢になっていた。頭を下げているせいで、背後に突き出すようにしてやや上を向いた肛門からは、もう息んでも何も出ない。それなのに、腸はなおも激しく蠕動し、肛門もヒクヒクと痙攣するように、大きく開き続けていた。
「うぅぅ……んー……はあ…はあ…」
荒い呼吸の合間に、うめき声を漏らしながら、優香は悶え続けた。
コンコン、コンコン…。
何か物音が聞こえる。
それがトイレのドアをノックする音だと、朦朧とする頭で優香が思い至ったときには、もうドアは開けられ、便器の上に突っ伏したままの姿で、真斗に背中をさすられていた。
どれくらいこうしていたのだろう。
自分の姿の無様さに気づいた優香が、恥ずかしくなって身体を起こそうとすると、背中をさすっている手と反対の手をお腹側に差し入れて、真斗が身体を支えてくれた。
「まだ出そう?」
上半身を起こした優香の顔を覗き込みながら尋ねる真斗に、優香は無言で、力なく首を横に振った。
「あまり出なかった? 昨日も浣腸しているから、お腹の中に出すものもないのかな…」
「…今は、もう出ないけど、しばらくしたら、また出ると思う…。まだ…お腹がゴロゴロして、奥の方が重い感じだから…」
「いったんトイレから出て、横になって少し休もうか」
真斗は、シャワートイレのボタンを操作して、朦朧としながら便器に腰掛けている優香のお尻を洗い流した。
「お尻を上げられる?」
優香を中腰にさせ、濡れた尻をトイレットペーパーで拭ってやると、真斗は手を洗い、優香を抱え上げて廊下に出た。
そのまま部屋まで運ぼうとすると、
「また、急に出ちゃいそうだから、ここで寝る」
「ここって、廊下で?」
「うん」
「こんなところで寝たら、身体が冷えるし、ちゃん休めないからベッドで寝ないと。トイレに行きたくなったら、運んであげるから」
「…間に合わないかもしれない。……行きたいと思った時には、もう我慢できないくらい……急に出ちゃうから…」
診察台の上で両手と両膝をつき、便意に屈して小刻みに身体を震わせていた昨日の優香の姿と、むき出しのお尻から放物線を描くように勢いよく噴き出していた軟便、とっさに肛門を塞ぐように押し当てたオムツ越しにもはっきりと伝わった熱い下痢の感触が、真斗の脳裏に鮮明に蘇った。
「…じゃあ、ここで寝れるようにするから、ちょっと待って」
さっき浣腸をするために脱いで、廊下の隅に畳んで置かれていたパジャマのズボンとショーツの上に優香を下ろすと、壁にもたれさせるように座らせ、真斗は床に敷く物を取りにリビングに向かった。
汗で湿った身体を拭くためのタオルと、ブランケットと毛布を手に真斗が廊下に戻ると、優香はパジャマとショーツを履き直し、膝を抱えるようにして、壁にもたれて座っていた。
「身体が冷えないように汗を拭いて」
タオルを差し出し、優香が身体を拭っている間に、トイレの前の床に毛布を重ねて広げて横たわれる場所を作る。
毛布を敷いた上にタオルで枕を作り、身体を拭い終わった優香を仰向けに横たわらせて、ブランケットを掛けてやると、優香が言った。
「ありがとう…。もう動けるから、一人で大丈夫。部屋に戻ってて」
「いや、一緒にここにいるよ」
真斗はブランケットの上から、優香の下腹の辺りを、昨日友井医師がしていたように、のの字を描くようにしてさすった。
「触らないほうがいい…?」
優香は目を閉じて、ゆっくりと首を左右に振った。
半時間ほどそうしているうちに、優香は浅い眠りに落ち、微かな寝息を立てはじめていたが、不意に身体をピクンと震わせ、目を開いた。
と同時に、ギュルギュルギュルと、お腹が大きな音で鳴り響いた。
ブランケットをはねのけて、急いで起き上がろうとした優香の身体を抱え上げ、真斗がトイレに運んで便器に座らせてくれた。
「もう大丈夫だから、部屋に戻ってて…」
「…わかった」
真斗が背を向けると、優香はすぐにパジャマのズボンとショーツを下ろした。
そして、トイレのドアが閉まると同時に、
ブシューーっ…ビュッ!…ブリュッ…ブリュブリュリュー…。
熱い泥のような軟便が便器へと勢いよく滴り落ちた。