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修学旅行(1) 無情(中学3年生5月)

病院での浣腸と排泄の描写があります。

 優香が修学旅行へと旅立ったのは、合宿から帰宅し、0日ほど経った、5月の半ばだった。


 合宿から戻って以来、優香はお腹がゆるい下痢気味の状態が続き、あの浣腸で気を失ってしまった日を最後に、一度も浣腸をしていなかった。


 激しい下痢ではないが、日に何度か下していて、完全に元気とは言えないものの、浣腸への拒絶感がこれまで以上に強まった優香にとっては、浣腸しなくても排便できるなら、どんな状態でもよかった。

 幸い、お尻の具合も軟膏で落ち着いていて、ゆるい下痢便なら排泄の痛みもない。

 いつも下痢をしやすい生理期間と重なったことに加え、莉緒に教えてもらった便秘に効果があるというサプリメントや漢方のお茶をこっそり飲んでいたことも、お腹をゆるくしている原因だった。


 週に一度通院している友井クリニックも、生理中に直腸診をされることに抵抗があり、先週は診察を受けていない。注入軟膏は以前から多めに処方されていた分が残っているので、当分は処方してもらう必要もなかった。



 出発の前日、

「優香。浣腸しなくて大丈夫?

 今は苦しくなくても、旅行中に便秘で具合が悪くならないように、念のために、出発前に一度浣腸しておこう」

と心配する真斗の言葉も、「ちゃんと毎日出てるから平気」と突っぱねて、優香は浣腸から解放された満足感を味わっていた。


 よほどひどい下痢でなければ、ずっと下痢気味でもいい。

 このまま浣腸をしないで過ごせる日がずっと続いて欲しい……。


 しかし、優香のささやかな願いは叶うことなく、浣腸の宣告は、思ったよりもずっと早く下された。



 旅行の2日目の朝から、優香はすでに体調を崩しつつあった。


 日中は観光の予定がびっしりで、下痢をもよおしてもトイレに行ける機会は限られている上、ガスが溜まって苦しくても集団行動ではなかなか出せない。

 移動の疲れも重なり、お腹の痛みと張りは、どんどん強くなっていく一方だった。

 そして、下痢のせいなのか、排便を我慢し続けているせいなのか、下腹から肛門にかけて痛むようになり、ついに3日目の朝にはひどい腹痛で倒れてしまった。


 ちょうど別の生徒が階段で転んで腕を骨折してしまい、養護教諭が病院に付き添って不在だったせいで、優香は担任の木下先生に付き添われて、ホテルの近くの診療所で診察を受けることになった。


 幸い、診察室まで先生に付き添われることはなかったものの、腹痛を訴えた優香は、レントゲンの結果から、腸にびっしりとガスと便が詰まったひどい便秘の状態と診断され、無情にも浣腸の宣告が下されたのだった。


 修学旅行に来てまで、浣腸……。


 優香は、自分を待ち受ける恥ずかしく惨めな処置や、便秘で浣腸されたことを、木下先生に知られてしまうかも知れない恥かしさを思うと、絶望的な気持ちになった。


 それでも、このひどい腹痛を治さなければ、旅行を続けることも、家に帰ることもできない。

 優香は拒否することもできず、看護師さんに案内されるまま、診察室を出て、廊下の奥の「処置室」というプレートが掲げられた部屋に入った。


 部屋の中は薄いグリーンのカーテンで3つに区切られ、それぞれのスペースにベッドが置かれている。一番奥のスペースにはカーテンを半分開けたまま、若い男性がベッドの上で点滴を受けているのが見えた。


「佐伯さん。浣腸しますので、こちらへどうぞ」


 看護師さんの指示で入口横のスペースに入ると、別の看護師さんがワゴンを押して入って来た。

 ワゴンの上には、優香にとっては馴染みのある、医療用の浣腸と、浣腸処置に必要な物品が、ずらりと並べられていた。

 ゴム手袋、小分けの潤滑ゼリー、ペーパー、ビニール袋、防水シーツ、板状のオムツのようなシート、そして、グリセリンが詰まった大きく丸い膨らみから、長いノズルが伸びた浣腸器…。


「佐伯優香さん。

 これから、浣腸かけます。

 お腹に便がたくさん詰まってしまっているので、浣腸かけて、スッキリ出してしまいましょうね。 

 大きな浣腸だから、ちょっとしんどいと思うけど、頑張って。

 では、浣腸の準備していきますね」


 そう言いながらカーテンを閉めた看護師さんは、案内してくれた看護師さんよりも年配の中年女性だった。

 中年の看護師さんは、ベッドに防水シーツと板状のオムツシートを広げると、グリセリン浣腸器を手に取って、優香に見せながら説明した。

「これがグリセリン浣腸器。このノズルの部分を肛門に挿して、お尻から直腸に浣腸液を注入します。

 お尻に浣腸液をチューっと入れたら、すぐにうんちしたくなるけど、すぐに出したら液だけ出てしまって、肝心のうんちが出ないから、注入したら頑張って5分以上我慢しましょうね」


 自分がこれから受ける浣腸の処置を、まざまざと見せつけられる大きな浣腸器と、奥の患者さんにも筒抜けになる看護師さんの大きな声に、優香は顔を真っ赤にしてうつむいた。惨めさで、目には涙が浮かんでした。


「ズボンとショーツは脱いで、横のカゴに入れてください。

 脱いだら身体の左側が下になるように、この四角いマットにお尻をのせて、横向きに寝てくださいね」


 恥かしさをこらえて、看護師さんに背を向けてズボンとショーツを一気に下ろし、下半身は靴下だけの姿になった優香が、板状のオムツのようなシートの上にお尻がのるように、処置台に横になると、

「膝を曲げて、膝を抱えるように身体を丸めて。はい、お尻をぐっと後ろに突き出して」

 看護師さんは、また大きな声で指示した。


 必死で恥ずかしさを堪えて指示に従う優香に、追い討ちをかけるように看護師さんは言った。

「お尻をもっとしっかり、ぐっと突き出す」

 優香が恥ずかしげに、膝をさらに折って身体を丸めようとすると、

「膝を曲げるだけじゃだめよ。もっとちゃんと、お尻を後ろに突き出して!」

 看護師さんが、さらに大声で指摘した。


 いつものクリニックでは、お尻以外はタオルで覆って、露出が最小限になるようにしてもらっていたのに、そんな配慮もない。

「あの……タオルをかけてもらえませんか…?」

 勇気を出して訴えてみたが、

「タオル? すぐに済むから、かけなくて大丈夫よ。

 かけたって、すぐにめくるのよ」

 看護師さんは呆れたような口調で言った。

「でも……」

「お尻出さないと浣腸できないでしょう。お尻の穴から薬を入れるんだから!

 さあ、覚悟して。さっさと浣腸しないと、いつまでも便秘が治りませんよ。

 こんなに溜め込んで。これ以上詰まったら大変よ」

と、叱りつけられてしまった。


 優香は下半身が丸出しの状態で、恥ずかしさをこらえ、むき出しのお尻を背後にぐっと突き出した。


 家でもクリニックでも何度もしている、決して慣れることの出来ない大嫌いな浣腸のポーズ…。

 下半身を覆うものが何もないせいで、いつも以上に恥ずかしく、惨めに感じる。

 目をぎゅっと閉じると、溜まっていた涙が頬にこぼれた。


「では浣腸の準備していきますよー。

 お尻はしっかり突き出したままで、動かないでね。はい、肛門を確認します」


 また大声で宣言されて、丸出しのお尻の割れ目が、ゴム手袋をつけた看護師さんの手で、ぐいっと開かれた。

 お尻が容赦なく広げられ、肛門が外気にさらされる。そして、無防備な肛門に、冷たいゼリーが塗られていった。


「滑りやすいように、肛門の内部にもゼリーを塗ってマッサージしますね。

 お口を大きく開けて、ハッハッとお口で息をして」

 恥ずかしさをこらえて、言われた通りに口で息をしていると、息を吐くのに合わせて、看護師さんの指がお尻の穴にあてられた。そして、お尻の穴をこじ開けるようにして、奥の方までぐいぐいと指を挿し入れられ、お尻の中をグリグリとかき回される。


「うっ!……うぅ…」

 痛みと気持ち悪さで、優香が思わずうめき声を漏らすと、

「息を止めないで。肛門は閉めないよ。肛門の力を抜いて、お口を大きく開けて、ハッハッ」

 すかざす看護師さんに大きな声で注意されてしまった。


 肛門内までたっぷりとマッサージされ、ようやくお尻の穴から指が抜かれたと思うと、看護師さんは言った。

「肛門がほぐれて来たので、浣腸かけますね。

 これから、肛門から直腸に、ゆっくりと浣腸液を注入していきます。

 まず肛門に浣腸のノズルが入りますからね。お尻の力を抜いて、肛門を緩めてー」

 言い終わると同時に、お尻の穴にノズルの先端がピタリと押し当てられた。


「浣腸します」

 看護師さんは改めて優香に宣告すると、なぜかすぐにはノズルを挿入せずに一旦離した。

 そして、ノズルの先端で、優香の肛門を刺激するようにツンツンと突いた。

「……うっ」

 浣腸を覚悟して緊張している状態で、肛門を何度もつつかれ、優香はその度にピクンと身体を強張らせた。


「さあ今からお尻にノズルが入りますよー。

 肛門の力を抜いて、お口を大きく開けて。

 アーーと、お腹からしっかり声を出して」

 声を出すように言われたのは初めてで、優香は戸惑ったが、有無を言わさぬ看護師さんの調子に従うしかなかった。それに、浣腸は嫌だけれど、どうせ逃れられないのなら、早く済ませてしまいたい。


「…アーー」

「お尻に力を入れないで、お尻の穴は緩めますよー。

 うんちする時みたいに、うーんて気張ってみて」

 ベッドに寝た状態で息むことに戸惑い、うまく力を入れられないでいると、看護師さんにまた大声で指示された。


「うーーん! って気張って。

 うんちする時みたいに、しっかり、うーーんって気張ったら、お尻の穴が開いて楽に入るよ。

 うーーんって。

 口は閉じないで、アーってしっかり声を出しながら気張って!」

「…うーーん……あっ…アーー」

 恥ずかしいだけでなく、指示がよく飲み込めないまま、優香が必死でいきんでいると、肛門を押し広げるようにして、ぴったりと押し当てられたノズルの先端に力が、強い異物感とともに、直腸へと深く挿入されていった。


「うっ……うぅ…」

「はい、ノズルが入った。

 これから、浣腸液注入していきますよ。

 お尻の力は抜いたまま、もう一度大きくお口を開けて、お腹から声を出しましょうね。

 はい、アーーー!」


 大きな声を出す必要があるのだろうか……。


 奥の患者さんに聞かれるのも恥ずかしく、優香が小声で、

「アー…」

と声を出すと、

「浣腸液が全部入りきるまで、しっかり声を出してね。

 ほら、もっと大きく口を開けて。大きな声で、アーーー!」

と大きな声で注意されて、発声を促される。


「あ…アーー…」

 声を出すのに合わせて、お尻の穴から生暖かい浣腸液が急速に注入され、直腸を満たしていく。

 すでにガスと便でパンパンに張っているお腹に、大量の浣腸液を注入される苦しさと、声を出しながら浣腸される恥ずかしさで、優香の声は震えていた。

「…あぁー……ハアハア……あ…アー……」

「もう少し頑張って!

 ほら、アーーー。もうちょっとよー、全部入れてしまうからね。しっかり声を出してー、アーーー」

「…あー…あぁ……」

「はい、浣腸液全部入りました。

 じゃあ、お尻のノズルを抜くからね。抜いたら、ぎゅっと肛門を締めますよー。

 はい、締めて!」


 ノズルをぐるりと回転させて、肛門から勢いよく引き抜かかれる感触があり、優香は悲鳴をこらえて必死でお尻をすぼめた。

 看護師さんは肛門にペーパーを強く押し当てると、

「お尻を拭きますね」

と声をかけ、優香の肛門をぎゅっぎゅっと強く拭きあげた。


「浣腸液がお腹の中で効いてくるまで、脱脂綿をあてるので、しっかり我慢しましょうね」

 肛門を塞ぐように脱脂綿を押しあて、その上から指先で肛門をグリグリとマッサージしながら、看護師さんは言った。


 浣腸された上に、肛門をグリグリと強く揉まれる刺激で、便意がどんどん増してくる。

「…んー…うっ……うぅっ!」

 お尻の穴を強く刺激される度に、優香は恥ずかしさで顔を赤らめながら、堪えきれずうめき声を漏らした。


「しっかりマッサージしておくと、肛門がほぐれるし、固まっているうんちにもお薬が染み込んで、出やすくなるからね。

 ひどい便秘で固くなって詰まってしまっているから、固いうんちも全部スッキリ出るように頑張りましょう」

 看護師さんは苦しむ優香にそう説明して、グリグリと肛門のマッサージを続けた。


 ようやくマッサージが終わると、優香はお尻に脱脂綿を挟まれ、浣腸の処置を受けた格好のままで、我慢することになった。

 恥ずかしさに耐えきれず、耳まで真っ赤になりながら、

「あの……寒いです。タオル…」

と、もう一度お願いしても、

「もうちょっとだから我慢しましょう。もうすぐトイレだからね」

と却下され、丸出しのお尻を突き出した恥ずかしい格好で、耐えるしかなかった。


 そして、恥ずかしさだけでなく、浣腸をする前からすでに下しているお腹は、ギュルギュルと水っぽい音を立てながら激しく蠢いて、腹痛と便意はこらえきれないほど強くなっていた。


 優香は下腹を押さえ、身体を小刻みに震わせながら訴えた。

「もう…無理です!…出ちゃう!……うー……うぅっ!」

「あら、もう出ちゃいそう?

 じゃあ、ちょっと早いけど、そろそろいいですよ。

 起き上がって、脱脂綿はお尻に挟んだままショーツ履いて、ズボンも履ける?」

 優香は苦痛に顔を歪めながら、今にも爆発しそうな肛門を締めて、必死で起き上がってショーツとズボンを身につけた。


「それじゃあ、御手洗に案内しますね」

 処置室を出た優香は、浣腸を担当した看護師さんに先導され、体を丸め、下腹を庇うように両手を当ててさすりながら、一歩一歩を必死で進めて、待合室の隅のトイレへと向かった。


 待合室では、木下先生がソファにかけて待っていたが、苦しげに歩く優香の姿に気がついて立ち上がり、駆け寄ろうとした。

 すると、その様子を見た看護師さんは、

「付き添いの方ですか?

 患者さん、今浣腸をかけました。ひどい便秘で。

 これから御手洗に入りますけど、浣腸の後で、時間がかかると思うので、ここでお待ちくださいね」

と、よく通る声で説明した。


 木下先生はもちろん、待合室の人全員に、便秘で浣腸されて、これから排便のためにトイレに入ることが知れ渡ってしまった…。

「佐伯さん、こちらのトイレを使ってください。お尻に脱脂綿をあてているので、トイレには流さずに、個室の中のゴミ箱に捨ててくださいね」

 優香は、腹痛と激しい便意で青ざめていた自分の顔が、恥ずかしさで耳まで真っ赤に染まるのを感じながら、逃げるようにトイレに駆け込んだ。

 待合室に背を向けてトイレに駆け込む間、待合室の人たちの好奇の視線が、自分のお尻に注がれているように思えて、優香は視線を遮るように、強くドアを閉めた。


 お腹の状態は、一刻の猶予もなかった。

 急いで穿いたばかりの下着とズボンを下ろしてお尻を出し、脱脂綿を外して便器に腰掛けた瞬間。


 ピューーーーー。ブリュッ! ブシューー、ブリュリュリュリューーーッ、グチュグチュッグチューー。


 最初に浣腸液。その後で、浣腸液で溶かされたドロドロとした軟便が、勢いよく便器に落ちていった。


 そして、優香の目からは、大粒の涙が溢れていった。









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