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家族(2)(真斗)

浣腸の描写があります。

梨沙と真斗の主張は平行線を辿り、梨沙が出した結論は、二人の関係を終わらせたいというものだった。


「私には、あなたたちの関係が兄妹にしては近すぎるように思えて…。それがおかしいというつもりはなくて、家族観が合わないんだと思う」


店を出て、いつものように梨沙が乗る電車のホームで彼女と別れ、自宅に帰る電車に揺られながら、真斗は梨沙が言った言葉を何度も思い返していた。


真斗が家に着いたのは、23時を過ぎた頃で、優香はお風呂に入っているようだった。

ソファに腰掛けたものの、TVをつける気分でもなく、そのまま横になって何をするでもなく、しばらく天井を眺めるうちに、真斗はいつの間にか眠っていた。


真斗の眠りを覚ましたのは、足元で何かが動いた感触だった。


照明の眩しさと軽い頭痛に顔をしかめながら、ゆっくりと起き上がった真斗は、フローリングの床に座り込んでいる優香の姿に気が付くと、驚いて言った。


「どうしたの? そんな冷たい床に座ってたら、またお腹を壊すよ、座るならソファに」

「お兄ちゃんが酔っ払って寝てるから、座れなかったんでしょ」

「そうか…。寝てしまってた…」

自分がソファで寝てしまっていたことを、おぼろげに把握した真斗は、ぼんやりと重い頭をもてあますように、首をぐるりとまわした。


ふと、壁のカレンダーの今日の日付に、三つ目のバツ印がつけられているのが目に入った。


「ああ…今日は浣腸をする日だったね…。遅くなってごめん、今からしようか」

「大丈夫? 酔っ払ってない?」

「うん…。大丈夫だけど、コーヒーを1杯だけ飲むよ」


ほとんど食べずに飲んでいたせいで少し酔ったのか、まだ寝ぼけているのか、頭がぼんやりとする。

真斗は、優香が淹れてくれたインスタントのコーヒーをゆっくりと飲み干した。


真斗がコーヒーを飲み終えると、優香はトイレの前にバスタオルを広げ、グリセリン浣腸を洗面器で温めて準備をしていた。


グリセリン浣腸の容器が、すでに袋から出されているのに気づいて、

「もしかして、自分でしようとしてたの?」

と尋ねると、優香は黙って頷いた。


「お腹が張って苦しかった? 起こしてくれたらよかったのに」

「ううん。自分でできるかやってみようと思って。でもやっぱり怖くて無理だった…」

「前にも言ったけど、怖いと思うし、一緒に住んでいる間はいつでもしてあげるから、無理に自分でしようと思わなくていいよ」

「でも…来年になったらお兄ちゃんも社会人だし、いつまで一緒に暮らせるかわからないし…」

優香がそんな心配をしていたのは、意外だった。


「大学院に進むことにしたから、あと2年は変わらないよ。そのあと研究室に残るか、どこかに就職するか、今はまだ決めてないけど、優香が高校を卒業するまでは、一緒に暮らせるようにするから、心配しなくていい。その頃には、もう浣腸も必要なくなってるかもしれないし」

「そうなの…?」

「大学院の入試に落ちない限り、ね。まあ、まず落ちないし、大丈夫だよ」

「お兄ちゃんはそれでいいの? 私の世話があるからやりたいことができないとか、後回しにしてるとか…」

「そんなことないよ。やりたいようにやってるから、大丈夫だよ」

「本当…?」

「うん、本当だから、何も心配しなくていい」


だから、と真斗は続けようとして、そこに続く言葉を選ぼうとした。


だから、安心して、今のままの家族でいよう…?


「家族観が合わないんだと思う」という梨沙の言葉をでぐらついた、自分の価値観を立て直すために、こんな言葉を口に出そうとしているのだろうか。


真斗が少し沈黙したのち、再び口を開こうとしたとき、

「…お兄ちゃんは、彼女とかいないの?」

思いがけず、優香が聞いた。


「なんで? 急にどうしたの…?」

「泊まりがけでデートしたり、旅行に行きたいとき、ないのかなーと思って」

「今は、いないよ、最近までいたけど」

「どうして別れたの? 私に手がかかるから、その人との時間を取りづらいからじゃないの…?」

「そんなことはないよ…。これは俺がモテないだけの話だから、そんなことは気にしなくていい」

真斗は、動揺を隠すために口角を上げ少し笑って、

「さあ、いつまでも話していたら寝るのが遅くなるよ。そろそろ…」

と優香を促して、話を切り上げた。


優香は、バスタオルの上に横たわり、パジャマのズボンとショーツを下ろし、いつものように身体を丸めて、お尻をこちらに向けて突き出した。


真斗も、いつもしているように、優香の背後にひざまずくと、優香の太ももにタオルを広げた。

初めて浣腸をした中学1年生の頃とほとんど変わらず、小柄で華奢な体格だが、白い尻は少し肉付きがよくなって、丸みが増しているようだった。

不必要な露出を覆うのは、優香が寒かったり恥ずかしくないようにという理由ももちろんあるが、目のやり場に困るからでもあった。


「チューブを入れるよ」

と声をかけてから、左手で優香の尻を開き、露わになった肛門に触れてワセリンを薄く伸ばしてから、浣腸器の先端を押し当て、長いノズルを挿入していった。


目の前に半裸で横たわる優香の姿に、真斗はいつも、極力何も考えないように、必要最小限しか視界に入れないように努めきたが、今日は、その白い尻をじっと眺めていた。


華奢な体格と少女っぽい童顔のせいで子どもっぽく感じていたけれど、優香の母親も小柄で年齢よりもずっと若く見えることを考えると、優香の容姿はもうこれで完成されていて、大人になっても、体格も顔立ちも今と大きくは変わらないのかもしれない。


グリセリン浣腸器を握る右手に力を込めると、優香がゆっくりと息を吐く声と、

グチューーー。

というグリセリンの注入音だけが、深夜の静かな廊下に響いていく。


真斗は、アルコールのせいか、自分の呼吸がいつもよりも荒くなっている気がして、呼吸の音を優香に気づかれないように、意識してゆっくりと、静かに息を吐いた。


「浣腸液が全部入ったよ。チューブを抜くからね…」

優香に声をかけて、トイレットペーパーを添えながら、ゆっくりとチューブを抜き、お尻を軽く拭ってから、新しいトイレットペーパーで押さえる。

そして、優香の手を取って、自分で押さえさせると、太ももにかけていたタオルを広げて、艶かしい尻をすっぽりと覆うように掛け直した。


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