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新学期(3)(中学3年生4月)

クリニックを受診した翌日の日曜日。

優香はまた、一緒に勉強をする約束で、莉緒の家を訪れた。


新学期になり、優香は保健室登校を終え、放課後は部活動も再開したので、莉緒と直接会って話すのは春休み以来だった。


「体調大丈夫? 部活は早速忙しいの?」

貧血気味なのか、いつもよりも青白い優香の顔色を心配して、莉緒が尋ねた。


「うん…。運動部でもないし、激しい運動をするわけじゃないんだけど、気を使うからかな、久しぶりに参加したら、ちょっと疲れちゃって…。疲れると、大抵お腹を壊しちゃうの…」

「そうなんだ…。今も酷いの? 大丈夫?」

「そんなに酷い状態ではないから、大丈夫。ただ、お腹が痛くなるからあまり食べられないし、ちょっとだるくて…。昨日の夜に生理が始まったから余計になのかも。普段は便秘なのに、なぜか生理中はお腹を壊すんだよね…。お通じがあるのはいいけど、極端すぎて…。どうしてちょうどいい状態にならないんだろう…」

優香は、金曜日の夜から下痢が続いている下腹を、無意識にさすりながら言った。


「生理中にお腹が緩くなりやすいのは、ホルモンのバランスのせいらしいよ。下痢みたいになる人も結構いるみたい」

「そうなんだ。莉緒って賢いし、なんでも詳しいね」

春休みに一緒に宿題をしてわかったことだが、莉緒はこの半年間、ほとんど授業を受けず自習しかしていないにも関わらず、苦手な科目もなく、理解度が高いのだった。


「お腹のことは興味あるからね。それにうちの親は便秘なんて病気じゃないってスタンスだから、自分で調べてやっていくしかないの」

淡々と語る莉緒の背後の棚には、以前見た時と変わらず、サプリメントや、飲み薬、坐剤、イチジク浣腸の箱が整然と並べられている。


「自分で調べたり、薬も管理してるの偉いね。私は病院の先生の言うことを聞いてるだけだし、家でもお兄ちゃんに頼りすぎかも…」

「頼れる人がいるならその方がいいんじゃないかな。信頼できる先生なら、治療方針に従った方がいいと思うし。前に教えてくれた病院、最近も通ってるの?」

「うん、昨日も行ったよ。今は週1回受診するように言われてるから」

「そうなんだ。実は一昨日、保健室で恵理菜ちゃんと会って…。体調悪くて悩んでたから、優香が言ってた病院紹介したの。そしたら土曜日に行ってみるって言ってたわ」

「そうなの? 体調悪いって、お腹の調子?」

「多分、元は健康だったのに、浣腸の習慣のせいで、うまく出なくなってしまったみたい。それに、乱暴に浣腸されたんじゃないかなあ…。お尻が痛いって。傷になってしまったんじゃないかな。酷い傷じゃないといいけど…」


痔の辛さを味わったばかりの優香は、恵理菜の苦しみを思うと、胸が詰まってうまく言葉が出てこなかった。


「どうして……。健康なのに、それを台無しにするようなことをしてしまうんだろう…」

やっとのことで優香が言うと、

「健康な人は、病気の治療としては必要ないから、かえって性的な興味を掻き立てられたりするのかな。健康な人がみんなってわけじゃなくて、一部の人なんだろうけど…。でも怪我をしたり、具合が悪くなるような使い方は、恵理菜ちゃんにはもうやめてほしいな。全部が本人の希望ではないんだろうし…」

莉緒は言った。


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