保健室(1) 出会い(中学2年生3月)
排泄の描写があります。
月曜日。
優香はまだ暗い中、6時に起床して、パジャマのままリビングに入った。
土曜日の診察から、指示通りに便秘薬と緩下剤を飲んでみて、食後1時間を過ぎたくらいで便意を催すことが多いとわかり、8時に家を出るため、2時間前に起きて、朝食を摂ることにしたのだった。
便秘薬を飲み、優香がトーストを準備していると、真斗が起きて来た。
「おはよう」
「おはよう、起きてくれたの? 朝ごはんくらい、自分で準備できるのに」
「うん、早起きして読書でもしようと思って」
真斗は自分の分のパンもトースターに入れて、優香のためのホットミルクと、自分のコーヒーを入れ、手早くサラダとバナナも用意した。
ダイニングで向かい合って朝食を食べ終わると、優香はお尻の腫れを抑えるための消炎鎮痛剤を飲み、顔を洗って歯を磨き、髪型を整えて、着替え以外の身支度をした。
そのまま、パジャマのズボンとショーツを脱いで下半身だけ裸になり、注入軟膏を持ってお風呂場に入る。
パジャマの裾が濡れないようにたくし上げて結び、下半身をシャワーで洗い流してから、土曜日、真斗が買って来てくれた大きめの洗面器にお湯を張って、お尻から浸かった。
ゆっくりとお湯に浸かっていると、ズキズキしていた肛門の痛みが引いていく。
十分に温めた後、お湯から出て洗面器の傍にしゃがみ、肛門に軟膏を注入して、下半身をタオルで拭った。
お風呂から出て、もう一度パジャマを着てしばらくすると、お腹がギュルギュルと鳴り出した。そのまま少し我慢して、十分に便意が強まってから、優香はトイレに向かった。
ブリュリュー、ブチュブチュブチュブチュー。
少し痛みはあるものの、緩下剤がよく効いていて、クリニックで指導された通り、強く息まず、短時間に排便を済ませることができた。
シャワートイレで流してからトイレを出て、もう一度お風呂でゆっくりとお湯に浸かって排便後の痛みをとり、注入軟膏を使った。
学校ではシャワートイレを使ったり、お尻をお湯に浸せないことが不安だったが、先月も1週間学校を休んだばかりで、これ以上休むわけにもいかない。
真斗は優香が身支度をしている間に、木下先生に電話をかけ、優香の症状を伝えて、しばらく便秘薬と軟膏を使う必要があるため、気兼ねなくゆっくりとトイレを使えるように、午後の授業を保健室で受けさせてもらえるようにお願いした。
優香が痔のことをとても恥ずかしがっていて、周りに知られたくないと思っているので、クラスメイトには詳しい事情は口外せず、もし説明しなくてはならない場面があれば、午後に体調を崩しやすいから、とだけ説明してほしいと言い添えた。
登校後。優香は給食の後、荷物を持って、保健室に移動した。
保健室のドアを開けると、養護教諭の中原先生が待っていた。
「2年A組の佐伯優香です」と名乗ると、
「佐伯さんね。木下先生から聞いています。しばらく、午後の授業を保健室登校ね」
「はい…」
「隣の部屋が保健室登校用の教室です。授業中は監督の先生が交代でつくので、元の時間割に合わせて自習して、わからないことがあったら監督の先生か、あとで教科担当の先生に質問するようにね。自習時間中に体調が悪くなったら、いつでも監督の先生に声をかけて、こっちの部屋にきて休んだり、トイレも行って大丈夫よ。トイレは廊下に出てすぐのところにあるけど、行きにくいようなら、職員室の前にある職員用トイレを使ってもいいからね」
「はい…、ありがとうございます」
保健室を出た優香が、隣の教室のドアを開けると、そこには10組ほどの机と椅子が置かれていたが、座っている生徒は1人だけだった。
片手で机に頬杖をつき、気だるげな様子で文庫本を読んでいる美少女を見て、優香は思わず声をかけた。
「莉緒ちゃん…」