傷跡(3) 決壊(中学2年生3月)
下痢排泄の描写があります。
優香は3日分の緩下剤と便秘薬、排便後に使う注入軟膏を調剤薬局で受け取ると、隠すようにカバンの奥にしまい、帰宅するとすぐに自分の部屋に入った。
痔になってしまったなんて、恥ずかしくて誰にも言えない…。
薬は自分の部屋に隠して使うことにしよう。
特に、大量に処方された注入軟膏は、浣腸を連想させる形や使用方法のせいで、自分で目にするのも恥ずかしく、嫌な気持ちになるので、できるだけ目につかないようにクローゼットの中に隠した。
お腹は浣腸をした後特有のゴロゴロとした渋りがあるものの、夕食前、指示通りに便秘薬を飲んでも、特に便意が強まることはなかった。
お風呂上がり、脱衣所にしゃがんで、恐る恐るノズルをお尻に挿して軟膏を注入し、緩下剤を飲んで、優香は眠りについた。
翌朝。
起きてすぐに、枕元に用意していた水で便秘薬を飲んだが、やはり特に便意をもよおすこともないまま、登校の時間になってしまった。
不安な気持ちのまま、いつものように茉莉果と一緒に学校に向かった優香だったが、数分歩いたところで、前触れもなく急激な便意に襲われた。
下腹がギュルギュルと嫌な音を立てて急激に下り、押し寄せる下痢便の勢いは、すぐにでも肛門をこじ開けて溢れ出してしまいそうだ。
一刻の余裕もなさそうな状況に、優香は目についたコンビニでトイレを借りることにした。
「ごめん…、ちょっとトイレに行きたくなっちゃって…。あそこのコンビニで借りるから先に行ってて」
「具合悪いの? 大丈夫?」
「ううん、大丈夫だから」
「外で待ってるよ」
「時間がかかって、遅れたら悪いから、先に行ってて」
優香は平静を装って言ったが、いつもより早口で焦っているような口調に、茉莉果は状況を察したのか、
「わかった…。じゃあ、先に行ってるね」
と言って、心配そうな表情を浮かべながらも、その場を立ち去った。
茉莉果と別れた優香は、駆け込みたいのを必死で我慢しながら、早足でコンビニに入った。
あと少し…。
冷や汗を浮かべながら必死で肛門を閉め、どうにか店内のトイレまでたどり着いた優香は、ドアノブを思い切りひっぱって個室に駆け込もうとした。それなのに、ドアが開かない。
非情にも、ドアノブの目印が使用中を示す赤い色になっているのに気づいた優香は、顔から血の気が引いていくのを感じた。
どうしよう…。
このまま待つか、我慢して家まで戻るか。
優香はお腹をさすり、便意を紛らわせるためにその場で小刻みに足踏みをしながら、一刻も早くドアが開き、トイレが解放されることを祈った。
しかし、何度もドアをノックをしながら、トイレの前で3分ほど待ってみたものの、一向にドアが開く気配はなかった。
近くには、他にトイレを借りられそうなお店はない。諦めて家まで戻るしかなかった。
家まで数分。
コンビニのトイレを諦めて店を出た優香は、そろりそろりと自宅に向かって歩き出した。走って戻りたいのに、お腹に刺激を与えないように、お尻の穴が開かないように、と気づかうと、走るどころか、普段よりもゆっくりとしか歩けない。
必死で肛門に力を込めながら、小股で歩いていた優香だったが、
プシューッ……ブリュッ…!
家までもう少しというところで、堪えきれず、ガスに混じって少量の軟便が漏れ出してしまった。
熱くしめった肛門がヒリヒリと痛む。
泣き出したいのをこらえ、必死で家へと向かう優香の足取りは、ショーツを汚した軟便が足に伝わないように気遣って、ギクシャクとした不自然なものになっていた。
マンションのエントランスを入り、エレベーターを待つ間、優香は脚をぎゅっとクロスさせてお尻をきつく締め、これ以上の噴出を抑えようと必死だった。
エレベーターの階数を示す数字がゆっくりとカウントダウンするのを、もどかしく見守りながら、全身に冷や汗が噴き出していく。
6・5・4
あと少し…。
と思ったところでカウントダウンが止まり、エレベーター内のカメラの映像を映すモニターには、4階で扉が開き、ベビーカーを押した女性がゆっくりと乗り込んでくる様子が映し出された。
「あ、あぁー……」
思わず絶望の声を漏らした時、緊張の糸が切れた肛門からは、また軟便が漏れ出していた。
ブッ!…プシューッ…ムリュムリュムリュー
さっきよりも緩く量も多い軟便が、ヒリヒリした痛みと熱を伴って肛門から噴き出し、お尻の割れ目とショーツを汚していく。優香はただ立ち尽くすしかなかった。
エレベーターの扉が開き、若いお母さんがベビーカーを押しながらゆっくりと降りてきて、エントランスの方へ立ち去るのを呆然と見送ってから、優香は我に帰ってエレベーターに乗り込み、階数ボタンを押した。
お尻にべったりと張り付いた生暖かい下痢便が気持ち悪く、炎症を起こしている肛門はもちろん、お尻全体がむず痒い。
ズシリと重いショーツから軟便をこぼさないように、そろそろとエレベーターを降りて廊下を進み、どうにか自宅にたどり着いて玄関のドアを開けると、ちょうど大学に出かけようとしていた真斗と出くわした。
「あれ、忘れ物?」
何か返事をしなければと思いながら、頭が真っ白になる。
そして、
「あ、ああーー!!」
ブリュッブリュッ、ブリュブリュブリューーーーーーーー。
身体をぶるっと大きく震わせたかと思うと、優香は玄関で立ち尽くしたまま、泥状から液状へと変わっていく大量の下痢便を、切ない悲鳴とともに噴射していた。