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コンクール前日(1) 発熱(中学2年生2月)

浣腸の描写があります。

 優香が練習に打ち込んできた吹奏楽コンクール前日の土曜日。

 真斗は優香が練習中に熱を出したという連絡を受け、学校に駆けつけた。


 優香は木下先生の上着を借りて羽織り、不安そうな顔で涙を浮かべて、保健室の椅子に座って真斗を待っていた。

 保健室には、暑いくらいにストーブが焚かれているのに、優香は震えている。

「昼食後に具合の悪さを訴えたので、熱を計ると39度5分の高熱で…」

 木下先生が真斗に説明した。

「ご迷惑をおかけしました。すぐに病院に連れて行きます」

 真斗は優香に自分のコートを脱いで羽織らせ、木下先生の上着を返しながら言った。

「もし明日、体調が戻れば」木下先生はその望みが薄いことは予感しながら言った。

「学校に7時半集合で、バスに乗ってコンクール会場に向かいます」

「わかりました」

 真斗が答えて優香を見ると、

「熱があっても平気です。演奏できます。絶対に行きます」と、涙を流しながら訴えた。

 優香だけが演奏するソロの長いパートがあり、優香が欠席すると、みんなの演奏に致命的な迷惑をかけてしまう。

「コンクールよりも、身体が一番大切だから、今日はもう帰って休みなさい。もし明日も熱が下がらないようなら、今回は残念だけど…」

 木下先生の言葉にしゃくりあげて泣き出した優香を連れ、真斗はタクシーで友井クリニックに向かった。


 クリニックで、熱で赤らんだ顔で、目には涙を浮かべ、

「明日はソロパートがあるので、休むわけにいかないんです」と訴える優香を、友井医師は、

「できるだけのことはします。頑張ろうね」と言って励ました。


 診療台での問診と聴診、直聴診の後、優香は長時間にわたる処置を受けるため、真斗に付き添われて診察室から奥の処置室に移され、ベッドの上で点滴を受けた。

 点滴の途中で、浣腸の準備を整えたワゴンを押して、看護師さんがやって来た。

「佐伯さん。今から浣腸します。お腹に便が溜まって悪さをしているので、浣腸で出してしまってスッキリしましょうね」

と優香に声をかけ、付き添いの真斗が座る椅子とベッドの間のカーテンを引いていった。


「膝を立てて、腰を少し浮かせられるかな?」

 熱で朦朧としている優香に、看護師さんが問いかけた。

 高熱でだるい身体に力を入れて、優香がどうにか腰を持ち上げると、腰の下に枕のようなものがあてられ、少し浮き上がったお尻の下には、摘便の時に使った四角いオムツのようなシートが広げられた。

 身体を覆っていた毛布は大きなタオルに交換され、

「汚さないように、脱いでおきましょうね」

 タオルの下で、看護師さんの手でスカートとショーツが脱がされていく。


「膝を曲げていて下さいね」

 仰向けのまま足首を持ち上げられて、両膝を曲げた姿勢をとらされ、赤ちゃんのオムツ替えのような体勢になる。

「左手で膝を抱えるように押さえていてね」という看護師さんの言葉に従い、薄いタオルの下で膝を抱えた優香は、救急病院で坐薬を入れてもらった時と同じ体勢で、浣腸を受けることになるのだと悟った。


「少しタオルをまくりますね。脚をもう少し開いて」

 優香が抱えている膝のあたりまでタオルがまくり上げられ、明るい電灯の下で、お尻の穴がむき出しになる。

 いつもの浣腸以上に恥ずかしいポーズだったが、どうすることもできないまま、体勢のせいで少し緩んだお尻の穴に、冷たい潤滑ゼリーが塗られていった。

「お尻からチューブが入ります。お口を開けて、ゆっくりお口で息をしてくださいね」

 グリセリン浣腸器の少し膨らんだチューブの先端を、優香のお尻に向けながら、看護師さんは言った。


 ゴム手袋をつけた看護師さんの手と、長いチューブが伸びる大きな浣腸器がお尻に近づいたと思うと、お尻が左右に大きく広げられ、むき出しになったお尻の穴に浣腸器のノズルがピタリと押し当ててられた。お尻の穴を広げるように、長いチューブが少しずつお尻の中に入ってくるのがわかる。

 横向きに寝た体勢では見えていなかった浣腸の手順が、いつもよりもはっきりわかるせいか、肛門の異物感も恥ずかしさも、いつもの何倍にも感じられた。


 長いチューブが直腸の奥まで挿し込まれて、ストッパーが肛門にぴったりとあたる感触の後で、

「チューブが入ったので、今からお薬注入しますね。お腹を楽にして、もう一度お口を開けて、息を吐いてー」

 優香が口から息を吐くのに合わせて、看護師さんがグリセリン浣腸器の丸い膨らみに力を込め、浣腸液が少しずつ直腸に注入されていく。優香の様子を観察しながら慎重に浣腸の処置を進める看護師さんの視線が、自分の顔とお尻に交互に注がれているのを意識すると、優香は一層恥ずかしくなって、一刻も早く、この恥ずかしく、つらい時間が終わることを祈った。


 グチュ…グチュ…ブチューー。

 浣腸器の膨らみがだんだんとへこみ、看護師さんの手で何度も握りなおされて潰されていく。

「後少し…はい、お薬全部入りましたよ。チューブを抜きますね」

 ようやく浣腸液の注入が終わって、お尻の穴からチューブが抜かれていく。


 シュポンっ…。

 チューブの先端がお尻の穴から抜かれると、その先端に便が付着して茶色く汚れているのが見えて、優香は恥ずかしさと嫌悪感で、思わず目を反らした。

 いつも家でお兄ちゃんに浣腸してもらっている時にも、こんな汚れがついてしまっていたのだろうか…。


「お尻を拭きますね。しばらく押さえます」

 自分ではどうすることもできないまま、お尻の穴を拭われて、ペーパーをぎゅっと押しあてられる。


「はい、もう足を下ろしてもいいですよ。このまま、お薬が効いてくるまで、少し我慢しましょうね」

 足を下ろし、タオルをかけて直してもらうと、優香のお腹はすぐにギュルギュルギュルと音を立てながら下り始め、思いをめぐらせる余裕もなくなっていった。


 もう、出ちゃいそう…。

 早く起き上がらないと、トイレまで我慢できなくなってしまう。


 必死でお腹をさすり、腹痛と便意の限界を訴えようとする優香に、看護師さんは、

「足を広げて、膝を立てて、少しお尻を浮かせてくださいね」

と声をかけた。

 指示に従うと、仰向けのカエルのような情けない姿になる。

 恥ずかしいが、拒否することもできずに従うと、再びタオルがめくられ、覆うものもなく惨めな体勢の下半身があらわになった。


「差し込み便器をあてますね」

 看護師さんは淡々と言って、ワゴンの下段に用意していた白い差し込み便器を、むき出しの優香のお尻にピッタリとあてがった。飛び散るのを防ぐためか、股間には重ねたトイレットペーパーが垂らされる。

驚いて言葉を失っている優香に、タオルを掛け直しながら看護師さんは言った。


「我慢できそうなら、もう少し我慢してから出しましょうね」

「…ここでは、できません!」

 優香は涙声になりながら、必死で訴えた。

 タオルで覆われているとは言え、ベッドの上で排泄などできそうにないし、カーテンのすぐ向こうには真斗の気配もある。

「お尻の下に差し込み便器をあてているから、ここでして大丈夫よ。お腹に力を入れやすいように、ベッドを起こしますね」


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