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手紙(1) 最後の浣腸(中学2年生10月)

浣腸、排泄の描写があります。

 10月。

 優香は週に一度のペースで通院して、診察と浣腸の処置を受けていた。

 時々、彩奈たちの会話と笑い声が蘇り、自分の受けている処置は、人に知られたら好奇の目で見られるものなのだと改めて自覚し、恥ずかしく惨めな気持ちと、誰かに知られてしまったらどうしよう、という不安に苛まれた。


 それでも毎週通院をして治療を続けていたのは、浣腸しないと体調を崩してしまうことを、自覚していたからだった。

 クリニックで浣腸をしてもらうと、毎回泥のような便が大量に出て、やはり自力では十分に排便できず、詰まってしまっていたことがわかる。

 浣腸の後しばらくはお腹が渋って苦しいけれど、それが治まった後はすっきりとして身体が軽かった。それに以前は、気を張っている平日は平気なつもりでも、疲れが溜まる週末に高熱を出してしまうことが頻繁にあったのに、定期的に浣腸をするようになってからは、週末もほとんど寝込まなくなっていた。


 そして、去年お腹をこわして倒れてしまった体育祭の季節が、またやって来た。

 今年は無事に帰宅できたものの、吹奏楽部の出し物もあって疲れ切っていた優香は、夕食も摂れず、久しぶりに熱を出してしまった。身体がだるく、特にお腹がずっしりと重くて、鈍い痛みもあった。


「お腹が痛いなら、浣腸してスッキリしようか。身体も楽になると思うから」

 真斗は言って、いつものようにトイレの前の廊下にバスタオルを広げ、ワセリンやトイレットペーパーなど、浣腸に必要なものを揃えて、洗面器にお湯を張って浣腸器を温めた。以前に処方されて残っていた、最後の浣腸だった。


「さあ、準備ができた」

 真斗にそう促されると、優香は素直にパジャマのズボンとショーツを脱いで、廊下に敷かれたタオルの上に、倒れ込むように横たわり、身体を丸めてお尻を突き出した。


 無防備な姿で横たわる優香の腰から太ももにかけてを、真斗がフェイスタオルで覆ってくれた。

 お尻だけが露出するようにタオルが半分捲り上げられ、

「お尻にワセリンを塗って、浣腸器のノズルを入れるからね」

 お尻が開かれて、肛門を広げるようにマッサージしながら、ワセリンが伸ばされる。そして、浣腸器のノズルが押し当てられ、気持ち悪い感触とともに、ゆっくりとお尻の中に長いノズルが挿入されていく。


「うっ…」

 優香はいつものように苦痛の声を漏らした。

「力を抜いて……ノズルが入ったよ。今から薬を入れるからね。口を開けて、ゆっくり息を吐いて…。はーー」


 真斗が念入りに温めてくれたのか、この前解熱の浣腸をしたときよりは熱が低いのか、お尻から入ってくる浣腸液は温かく、身を委ねていると不思議と心地よかった。

 しかし、そんな穏やかな時間は長くは続かず、ノズルが抜かれると、すぐに腸がギュルギュルと暴れ出し、いつものように激しい腹痛と便意がやって来た。


 この前、熱を出して浣腸したとき、我慢に失敗して廊下で粗相してしまったので、今回は優香のお尻にはしっかりと真斗の手が添えられていた。

「押さえているから、しっかり我慢しようね」

「んー…」

 ギュルギュルとお腹が鳴り、優香の白い額に脂汗が滲んだ。

「そろそろ起き上がろうか」


 真斗は優香の顔を覗き込み、そう声をかけて、トイレットペーパー越しに、優香の肛門を塞ぐように添えた手にぎゅっと力を込めながら、身体を起こすのを助けた。そして、そのまま優香を支えてトイレに運び、優香が無事便座に腰掛けるまで見守った。


 真斗がトイレから出てドアが閉められた途端、優香は激しく下した。

 熱で腸内の水分も奪われているのか、いつもよりも硬く、乾燥した粘土のような便が、熱い肛門から溢れ出し、激しい雨だれのように、ポチャンポチャンといくつも連続して便器の水面を打ちつけていく。

 腹痛に呻き、激しい排泄と熱で荒い息を漏らしながら、優香は腸内に溜まった便塊を出し切ろうと、必死で息んだ。最後は熱い泥のような便が大量に噴き出し、激しい排泄を終えた肛門にはヒリヒリとした灼熱感が残った。


 浣腸後、長い排泄を終えてトイレから出た優香の身体は、ぐっしょりと汗ばんでいた。

 お湯で絞ってもらったタオルで身体を拭き、新しいパジャマに着替えると、優香はすぐに深い眠りに落ち、朝まで目を覚ますことはなかった。


 よく眠ったせいか、翌朝には熱も下がり、重かった身体も回復していた。


 昨日、早めに浣腸してもらってよかった…。


 お尻を丸出しにして突き出し浣腸される、あの体勢の惨めさと恥ずかしさ。

 お尻の穴を広げてチューブを挿され、お尻から薬を注入されることへの嫌悪と抵抗感。

 そして、その後の激しい便意と戦う我慢のつらさ、苦しさ…。


 どれも嫌なことばかりだけれど、それでも我慢して浣腸をした方が身体の調子が良いことを、優香は改めて実感した。



 月曜日。

 学校に出かける支度をしている優香に、真斗が声をかけた。

「今日はクリニックの日だね?」

「うん、帰りに寄る」

「先生にお願いして、また浣腸を処方してもらおうか。熱を出したり急にお腹が痛くなったときに使えるように、家にいくつか常備しておいた方がいいから」


 家にあった浣腸を使い切ってしまったので、もらっておいた方が安心だと優香も思ったが、自分から浣腸を処方してくださいと言うことが恥ずかしく、言えそうになかった。

「うまく説明できないから、説明する手紙書いて」

「浣腸」と言いたくないだけだったが、優香はそう真斗に頼んだ。


 優香の登校時間が迫っていたので、真斗は、手近にあった用紙とボールペンで手早く手紙を書き始めた。

 お世話になっております、という一文から始め、時間外診療のお礼と、優香の発熱に以前処方された浣腸を使い、効果があったこと、家にあった分を使い切ったので、今後の備えとして何回分かの浣腸を処方してもらいたいことをしたためると、友井医師に渡すようにと言って優香に持たせた。



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