初めての治療(中学2年生7月)
摘便の描写があります。
下痢止めがよく効いたようで、プールから帰宅した後、優香のお腹は下痢も痛みも治まって、落ち着いていた。
夕食には、真斗が用意して行ってくれた好物のグラタンを残さず食べたが、下痢がぶり返す様子もない。
ただ、お腹の動きが鈍く、重いような感覚と、少し張っているような苦しさがあった。プールでの疲れもあり、優香はその日、早々にベッドに入った。
翌朝。
お通じがなく、下腹にズシンとした重みと張りを感じた優香は、部活を休んで、友井クリニックを受診することにした。
茉莉果には、改めて昨日のお礼を言って、心配をかけないよう、薬のおかげで体調は回復したけれど、念のため今日は部活を休むと連絡した。
友井医師の診察を受けるのは、約2ヶ月ぶりだった。
「久しぶりだね。お腹はどうですか?」
「最近は、調子がよかったんですけど……。
昨日、プールで遊んでいたら、冷えたせいか、お腹が痛くなってしまって……下して……。
お腹を壊している感じで、痛くて、何度もトイレに行きたくなるのに、少しずつしか出なくて……。
それで、友達がくれたお薬を飲んだら、下していたのは治ったんですけど、その後…、お通じがなくて、お腹が重くて、張っている感じで……」
「そう。せっかくプールに行ったのに残念だったね。
お腹を診るので、診察台に」
勝手な判断で薬を飲んだことを咎められるかと思っていた優香は、ホッとして診察台に横になった。
友井医師は、優香のお腹の触診と聴診を終えると言った。
「友達にもらった薬は、どんな薬だったかわかる?」
「…下痢止め、って言ってました」
優香は恥ずかしそうに答えた。
「そうだね。薬の作用で、お腹の動きが止まってしまっている。
昨日は、外でお腹を壊してしまって、仕方がなかったと思うけど、強い下痢止めの薬は、健康な人でも便秘になってしまうことがあるから、普段は極力飲まないようにね。
下痢をしたら、薬で無理に止めずに、全部出し切って、できるだけ安静にして、
中には治療が必要な下痢もあるから、何日も下痢が続いたり、普段とは違うような痛みや便の時は、早めに受診するようにね」
「はい…」
「直腸診をします」
いつもの指示で、横向きに寝て身体を丸め、お尻を突き出して直腸診を受ける優香に、友井医師が声をかけた。
「昨日、お腹を壊している感じなのに、あまり出なかったと言ったけど、なぜだかわかる?」
「運動会の日、お腹が痛くなった時みたいに…、詰まってしまっているから…?」
優香は、恥ずかしそうに顔を赤らめて答えた。
「自分でもちゃんと分かっているね。
そう、便秘の硬い便が大きな団子のようになって出口が詰まってしまっている状態で、下痢になったので、詰まった便の隙間から、少しずつ緩い便が漏れ出ていたのが、昨日の下痢とお腹の痛みの原因です」
優香は顔を赤らめたまま、頷いた。
「プールでお腹が痛くなる前までは、お腹の張りや詰まりはなかった?」
「はい…」
「以前に心配していた通り、慢性化した便秘で、直腸が鈍くなってしまって、自分では詰まりや便意に気づきにくくなってしまっているね。
まずは栓になってしまっている塊を取り除きましょう。
固まってしまって、もう浣腸しても出せないので、摘便をします」
テキベンという、初めての響きに、優香はキョトンとした。
よくわからないけど、浣腸しなくて済むなら、その方がいい。
「ちょっと辛いと思うけど、頑張って出してスッキリしようね」
友井医師は優香にそう言うと、看護師さんに指示を出しながら、摘便の準備を進めた。
優香のお尻の下には、四角いオムツのようなシートが敷かれ、お尻の穴には改めて潤滑ゼリーがたっぷりと塗られていく。
「今から、摘便と言って、肛門から便を掻き出す処置をします」
便を、掻き出す…?
驚いている優香に、
「怖くないからね、リラックスして、口で息をして。
お尻をほぐします」
そう言いながら、友井医師は優香の肛門をマッサージしていった。
「んーー…」
グルグルと円を描くように、肛門とその周りが丁寧にほぐされていく。
「内側からも、少しほぐします。口を大きく開けて、息を吐いて」
息を吐くのに合わせて、ゴム手袋をつけた指先が肛門に挿入され、肛門の内側もグリグリとマッサージされていった。
優香は肛門を揉みほぐされる恥ずかしさと、経験したことのないくすぐったいような感触と異物感に、身体を強張らせた。
「力を抜いて。口で息をしてね」
入念なマッサージが終わると、直腸診のように、優香の肛門から直腸深くへと指が挿し入れられた。
「うっ! うぅーー……んーー!」
直腸診の時よりも激しく、お尻の中を掻き回すように指を動かされ、優香は痛みと気持ち悪さで、思わず苦痛の声を漏らした。
「しんどいけど、少しの間我慢して……はい、息んで」
息む…!? ここで?
人前で排泄しろと言われているのに等しい指示に、優香は消えてしまいたいほど恥ずかしかったが、肛門の刺激と異物感に耐えられず、
「うーーーん」
うめき声をあげながら息んだ。
お尻にピリッとした痛みが走り、硬くなった便を排便する時のような感じがして、お尻の穴からスポンと指が抜かれた。
指先を拭う、カサカサという音が聞こえる。
優香には自分の背後でされていることは見えなかったが、漂うにおいから、自分の便が掻き出されたことがはっきりとわかった。
「出口を塞いでいる大きな塊を崩して、少しずつ掻き出していくので、時間がかかるけど頑張ろうね」
浣腸どころではない恥ずかしく辛い処置が、まだしばらく続くと知って、優香の目に涙が浮かんだ。
「もう一度指を入れるので、お尻の力を抜いて、口で息をして」
「はーー……はあ…はあ…」
「はい、息んで」
「うっ…! ううーー…」
友井医師が根気よく摘便を続ける間、優香は何度も苦痛の声を漏らした。
「もう少しだから頑張ろう……はい、息んで」
「…うぅ…んーー!…」
何度となく肛門に指を抜き差しされ、ようやく肛門付近に詰まっていた便が掻き出された時には、優香の顔はよだれと涙でぐしょぐしょに濡れてしまっていた。
看護師さんに顔とお尻を拭ってもらった後、さらに奥に詰まった便を出すために、優香に浣腸の処置が告げられた。
「出口を塞いでいた便は掻き出しました。
これで出しやすくなったので、浣腸して、奥の詰まりを出してしまおうね」
摘便を終えたままの姿勢でぐったりと横たわった優香のお尻が、今度は看護師さんの手でぐっと開かれた。
「では、浣腸していきますね。お尻にノズルが入りますよ」
潤滑剤でぬるりとしたノズルの先端が、摘便で緩んだ優香の肛門に押し当てられる。そして、直腸の奥へとノズルが挿し入れらていく。
ストッパーが肛門にあたる固い感触の後で、
「はい、ノズルが入ったので、お薬注入していきますね。
お口で息をして、ゆっくり吐いて。はーー」
息を吐くのに合わせて、生暖かいグリセリン浣腸液がお尻から注入され、直腸を満たしていく。
「後半分ですよ。はーー。ゆっくり息を吐いてー。…はい、お薬の注入が終わりました。ノズル抜いていきますね。……はい、お尻を締めてー」
お尻を拭ってもらいながら、優香はすでに強い便意を催し、白い額に脂汗を浮かべて、顔を苦痛でゆがめていた。
摘便で直腸と肛門が刺激されていたのと、体力を消耗していたことが重なり、浣腸後、ほとんど我慢できずに、優香は看護師さんに訴えた。
「もう……出ちゃいそうです! トイレに……」
「まだ浣腸のお薬を入れたばかりで、今出してしまうと便が出ないままお薬だけ出てしまうので、もう少し我慢しましょうね。
しっかり出ないと、もう一度浣腸をやり直しになりますよ」
もう一度浣腸…。
優香は恐怖と惨めさで涙を浮かべながら、ヒクヒクと開きそうになる肛門を、看護師さんにぎゅっと押さえてもらって、限界まで我慢を続けた。
ようやくトイレに行くことを許され、看護師さんに支えてもらってトイレに入った優香は、倒れこむように便器に座り、昨日の下痢に改めて襲われたように激しく下した。
摘便でかなりの量の便を掻き出してもらっていたはずなのに、優香の肛門からはまだ、大量にドロドロの便が溢れ続けた。摘便の刺激のせいか、浣腸後のお尻の灼熱感も、いつもより強く感じる。
ようやく便が止まった後も、激しい排泄の疲れと肛門の痛みで、優香はしばらく立ち上がることができずに、便器の上で前かがみになってうめき続けた。
いつも以上に憔悴した様子でトイレから戻った優香に、
「つらかったでしょう。よく頑張ったね」
友井医師は声をかけ、
「これからは、こんなに詰まってしまう前に、週1回通院するようにね」と言った。