下痢止め(中学2年生7月)
少しだけ、下痢、排泄の描写があります。
駆け込んだ3度目のトイレでも、優香のお尻からは、ガスと熱い水様便が少し出ただけだった。強く息んでもそれ以上は出ず、腹痛はおさまらない。
どうにか、トイレから出て茉莉果の元に戻った優香だったが、そこでまた腹痛が強くなったかと思うと、貧血のように目の前が真っ暗になり、お腹を押さえたまま、その場に倒れ込んでしまった。
「優香!?」
茉莉果に抱き起こされ、一瞬気を失いかけていた優香は、意識を取り戻した。
「救急車呼んでもらう?」茉莉果の言葉に、
「…そんな大げさな…。ちょっとお腹壊しただけだから、大丈夫だよ。格好悪いよね…、下痢で倒れちゃうなんて」
優香は、努めて明るく答えようとして、思い切って普段は使わない「下痢」と言う言葉を人前で使った。
「やっぱり、お兄さんに迎えにきてもらったら…?」
茉莉果は心配そうな表情で言った。
優香もそうしたかったが、真斗は出かけているので頼れない。
「今日は夜まで出かけてるから、無理だと思う…」
「そっか。うちの親も今日は出かけてるし…。うちに戻って薬持ってこようか。よく効く下痢止めがあって、お腹痛い時に飲むと、すぐよくなるから」
今のお腹の状態では、自転車など乗れそうにない。優香は茉莉果に薬を持ってきてもらうことにした。
「じゃあ、すぐに着替えて、薬取りに戻るね! 優香はゆっくりでいいから着替えて、入口のあたりで待ってて」
茉莉果を見送ったあと、優香はまたもよおして、トイレに駆け込んで水着を下ろした。
着替えを済ませ、茉莉果を待つ間、優香はプールの入口のベンチとトイレを5回往復していた。
便意に襲われてトイレに駆け込むのだが、座って息んでもガスと便が少し出るだけ。立ち上がってトイレを出ると、また下しそうになって、トイレに駆け込むことの繰り返しだった。
お腹の痛みは、ひどい下痢の時と同じなのに、量はほとんど出ない。
優香は、自分の症状が、運動会の後で嘔吐してしまった時と似ていることに気づいた。
あの時も、お腹は痛いのに出すことができずに苦しみ、友井クリニックに運ばれて浣腸してもらって出したのだった。
ようやく茉莉果が戻ってきて、優香は茉莉果が持ってきてくれた錠剤を飲んだ。
下痢止めを飲んで慢性の便秘が悪化するのが心配だったが、このままでは家に帰ることもできないし、飲むしかない。
茉莉果の言った通り、下痢止めはよく効き、薬を飲んで30分ほど休むと、優香の下痢はおさまった。
二人はまた自転車に乗って帰宅した。