表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/130

プール(中学2年生7月)

下痢、排泄の描写があります。

梅雨の間、ジメジメとした気候のせいか、優香はお腹を下しがちだった。

病院のお世話になるほどのひどい下痢ではないものの、軟便が続き、少し疲れたり、脂っこい食事をとると、その日の夜は、腹痛と下痢に襲われた。

それでも、学校の授業も部活動も、GW明けからは休むことなく出席でき、便秘で苦しむ日々よりは、優香は調子が良いようだった。


7月。

梅雨が明けると、ようやく下痢も落ち着き、夏休み最初の日曜日、優香は自宅から自転車で15分ほどの市民プールに遊びに来ていた。夏休み中も部活動は行われていたが、日曜日は練習が休みになるので、プールに行く計画を茉莉果と立てていたのだった。

午前中、プールを楽しんだ優香だったが、お昼にカップラーメンを食べ、再びプールに入ってしばらくすると、自分のお腹の不穏な雰囲気に気がついた。

プールで冷えたのが良くなかったのか、梅雨時の不調がぶり返したように、お腹がゴロゴロと下り始めていた。


「ちょっとトイレに行ってくるね」平静を装い、茉莉果に声をかけると、

「あ、私も行こうかな」と茉莉果は無邪気に答える。

この調子だと、無様な音を立てたり、臭いもひどいかもしれないのに…。

優香は一緒に行くという茉莉果の申し出を断りたかったが、そうすることもできずに、揃ってプールサイドのトイレに向かった。


トイレに向かう間、優香のお腹の具合は、ひどくなる一方だった。

もう走ってトイレに駆け込みたいくらいなのに、茉莉果と一緒では、そんなみっともない行動もできない。


あと10メートル、あと5メートル…。

自分を励ますように、胸の内で唱え、どうにかトイレにたどり着いた優香は、3つあるトイレの個室が全て埋まり、さらに順番を待っている人も1人いるのを見て、顔の血の気が引くのを感じた。

ギュルギュルギュル〜。

優香のお腹が音を立てる。

優香は茉莉果に聞かれまいと、必死でお腹を抑えた。

その時、強い便意に襲われ、優香はとっさに脚をクロスさせ、肛門を強く圧迫して堪えた。

必死で耐えながら、茉莉果の話に上の空で相槌を打つ。


「優香、どかした…?」

様子がおかしいことに気づいた茉莉果が優香の顔を見ると、顔は蒼白で、脂汗が浮かんでいる。

そして、脚をクロスさせたまま、両手をお腹にあてて前かがみになり、こみ上げる便意に肩を振舞わせいた。

「大丈夫? もしかしてお腹痛いの?」

優香は、苦痛で顔をしかめ、頷いた。

「我慢できる?」

優香がもう一度頷こうとした時、個室のドアがあいた。あと一人…。

すると、お腹を押さえて切羽詰まった優香の姿と、茉莉果とのやり取りを見ていた列の先頭の女性が、

「大丈夫? よかったら先にどうぞ」と個室の順番を譲ってくれた。

「…ありがとうございます」

お礼もそこそこに優香がドアを開けると、和式トイレだった。

3つの個室のうち、端の一つが和式、後の2つが洋式のようだ。和式は苦手だったが、洋式が開くのを待つ余裕はない。

優香は濡れて身体に張り付いた、セパレートの水着を急いで下ろすと、和式便器をまたいでしゃがみこんだ。


ブッー!

座った瞬間、思いがけず大きな音を立ててガスが出てしまって驚いたが、周りが騒がしいので、個室の外には届いていないことを祈って、優香は下腹に力を込めた。

ブリュッ。びゅーーーー。

水のような便が少し出ると、腹痛はあるものの、一旦便は止まった。

しばらくしゃがみこみ、下痢が止んだことを確認した優香は、個室を出た。


個室から出ると、自分の用は済ませたらしい茉莉果が、

「大丈夫? 落ち着いた?」と声をかける。

頷いて洗面台に向かい、手を洗いながら鏡に映った自分の顔を見て、ひどい顔してる、と優香は思った。

もともと、少し青白すぎる優香の顔は、青ざめて真っ白になり、唇は紫だ。


「冷えちゃったのかな? プールサイドで少し休もっか」

茉莉果の声に頷きながら、プールの方に戻りかけたところで、優香は急激な便意に襲われた。もうすぐにも出てしまいそうな様子に、優香は取り繕う余裕もなく、

「ごめん! やっぱりトイレに戻る」

茉莉果に声をかけ、さっき出てきたばかりのトイレに駆け戻る。

幸い、今後は空いていた洋式の個室に入ると、優香はまた水着を下ろした。

ブッ。ブリュッ。プシューーーッ。

また大きな音でガスが出て、形のない便が勢いよく溢れたが、またすぐに止まった。

冷え切った身体の肛門だけが熱い。

ハアハアと、優香は声を漏らしながら、下腹に力を込めた。

「…んーー」

お腹が痛くて、下痢をしているのは確かなのに、便は思ったほど出ずに、出した後も腹痛は治らない。

優香は思わず声をあげながら息んだが、それ以上は出なかった。


諦めた優香がトイレを出て茉莉果の元に戻ると、

「大丈夫? 随分ひどいの?」

茉莉果の問いかけに、優香はぐったりと頷いた。

「ちょっと待ってて」

茉莉果はそう言うと、熱いお茶を買ってきてくれた。


ゆっくりとお茶を口に含む優香に、茉莉果が言った。

「少し休んだら帰ろうか。自転車乗れそう? お兄さんに迎えにきてもらう?」

中学生にもなって、お腹を壊したくらいで迎えにきてもらうわけにはいかない…。

それに、真斗は今日は夜まで出かけていて、家にいなかった。

「大丈夫。自転車で帰る」

そう答えた優香だったが、数分もしないうちに、また便意に襲われることになった。


「ごめん、もう1回行ってくる」

優香は心配そうな茉莉果を残して立ち上がると、トイレに駆け込んだ。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ