合宿へ(2) 金曜日の直腸診(中学2年生4月)
直腸(肛門)診の描写があります。
金曜日の部活が終わり、茉莉果と一緒に下校した優香は、お互いの家の分かれ道となる交差点で手を振り、いつものように「また明日ね」と言って別れた。
茉莉果と別れた後、優香は家ではなく友井クリニックに向かうと、看板の電気を落とした薄暗い入口を入った。
受付も灯りを落とされ、奥の診察室に伸びる廊下の灯りと、カーテンから漏れる診察室の明かりのほかは、非常口を示す緑色の表示だけが灯っている。
「先生、こんばんは。佐伯です」
「どうぞ」
優香はカーテンを開けて診察室に入った。
合宿中に腹痛になることを心配して、先週診察をお願いしたものの、今週の優香は、珍しくほぼ毎日便通があった。
診察は必要ないのではないかと思い直し、朝からキャンセルのつもりで電話をかけたのだが、
「合宿前なので、調子が良く思えても、念のために診察しておきましょう」
と電話口の友井医師は言った。
「こんばんは。夜に来るのは3週間ぶりかな。お腹はどうですか?」
「今週は、ほとんど毎日、ちゃんと出ています」
電話で相談したのと同じように、優香は答えた。
「詰まった感じも、張りもない?」
「はい」
「診察するので、奥のベッドへ」
いつものように診察台に仰向けになって、お腹を出して診察を受ける。
トントンと指でお腹を押さえるように診察され、聴診器がお腹にあてられていく。
「直腸診もしますね」
と友井医師が言った。
今日は、お腹の診察だけで終わるかもと期待していた優香は、がっかりしながらも、いつものようにお尻から診察を受ける準備をした。
診療時間内の時は、看護師さんが用意を整えてくれるけれど、夜は友井医師しかいないので、自分で準備をすることになる。
友井医師が優香に背を向けて、ゴム手袋をつけ、指先に潤滑剤を塗って、直腸診の準備をする間に、優香は制服のスカートとショーツを脱ぎ、診察台の脇に置かれたカゴに入れて、お尻にタオルをかけ、左を下にして横向きに寝る体勢になった。
「直腸診しますね」
友井医師が、優香に声をかけて、お尻の方からタオルがめくられ、突き出したお尻がむき出しになってスースーする。
「力を抜いて、口で息をして」
ぬるりと、お尻の穴に気持ち悪い感触があり、
「うっ…」
と、優香はいつも、口呼吸のために開けている口から、うめき声を漏らしてしまう。
そのあとは、お尻の中を探られる気持ちの悪い感触と、恥ずかしさ、惨めさに、ただ黙って堪えるのだった。
「本当に、詰まっているような感じや、痛みはない?」
背後から友井医師が、少し厳しい口調で聞いた。
浣腸が嫌で、嘘をついていると思っているのだろうか…。
「はい、ありません」
優香が答えると、お尻からシュポンと指が抜かれ、指を拭うカサカサとした音の後で、友井医師は言った。
「便秘が癖になって、直腸が拡がってしまって、感覚が鈍くなっているね」
優香は何を言われているのか分からず、横たわったまま首の方向だけ変えて、友井医師の方を振り返った。
「直腸にかなり便が詰まっています」
「でも今週は毎日出ていて…」
「出ているつもりで、出し切れていなくて、肛門付近で大きな塊になってしまっているよ。浣腸して出しましょう」
思いがけない浣腸の宣告に、優香は言葉を失った。
「浣腸したら、便がたくさん溜まっていたことがよくわかるよ」