便秘治療(12)(中学3年生5月)
下痢排泄、坐薬の描写があります。
翌朝。
優香は6時半ごろに一つ目の吐き気どめの坐薬、30分おいた7時過ぎに二つ目、熱冷ましの坐薬を入れてもらい、8時前に家を出て、いつものように茉莉果と一緒に登校した。
坐薬を入れても、まだ少し熱があって身体がだるく、登校中は茉莉果にも体調が悪そうなことを心配されたものの、テストが始まると、集中しているせいか、だるさもなくなって気分が冴え、準備不足で不安に思っていたわりには、良い得点がとれそうな手応えがあった。
テストは半日ずつ2日間で実施されるので、その日は午前中で学校が終わり、優香は帰りに友井クリニックで点滴をしてもらってから帰宅した。
学校にいる間は、気を張っているせいか体調も戻り、家に帰ったら明日に備えて勉強を頑張ろうと思っていたのに、帰宅する頃には疲れが出て、結局帰宅後はベッドに横たわり、参考書を数ページめくったところで、いつの間にか眠ってしまっていた。
数時間うとうととした後で、優香は腹痛で目が覚めた。
よろよろと起き上がり、ギュルギュルするお腹をさすりながらトイレに駆け込む。
便器に腰掛けた途端、
クチューーーーッ……ブチュ…ブチューーー……ブリュッブリュリュ…。
熱を持った肛門から、ゆるい便がこぼれていった。
疲れたのかな…。
優香は、熱を帯びて荒い吐息を漏らしながら、直腸でうごめくものを出し切ろうと必死に息んだ。
数分にわたって、息を荒げながら、何度も息み続け、最後には水のような便とガスを絞り出すと、まだすっきりせずに痛む下腹をさすりながらベッドに戻った。
その後、優香はまた熱が上がってきたのをゾクゾクする背中で感じながら、布団にくるまって少し眠り、夕方、帰宅した真斗に、吐き気止めと解熱の坐薬を、時間を空けて順に入れてもらった。
坐薬が効き始めると、熱は下がって寒気も治まった。少し具合が良くなった優香は、ベッドに起き上がり、部屋に運んでもらったお粥を口にしたものの、食べ終わって少し横になると、またお腹がギュルギュルしてきて、トイレに駆け込んで、お粥も未消化のまま下してしまった。
「下痢がひどいようだから、今日は浣腸はやめておこうか…。脱水になると、また熱も上がってしまうから、水分はちゃんと摂って、しっかり寝て」
ぐったりとした様子でトイレから出てベッドに戻った優香は、そんな言葉とともに、枕元にスポーツドリンクを置いてもらって、早々に眠りについた。
幸い、夜中に腹痛に襲われることはなく、深い眠りに落ちていた優香は、朝方、布団をめくられる気配で目を覚ました。
手際よく、横向きにされて、坐薬を入れるために、パジャマとショーツが腿まで下ろされる。汗で湿った背中と、剥き出しになったお尻が冷たい。
「ごめん。起きてしまった? すぐに済ませるから眠ってて…」
ささやくような真斗の声が耳元で聞こえて、乾いたタオルで背中とお尻の汗が拭われていった。
そのまま、ぐったりとして身をまかしていると、膝を曲げてお尻を突き出すポーズにされて、お尻が左右にぐっと割り開かれ、お尻の穴が外側から異物でぬるりとこじ開けられた。冷たく硬い坐薬の感触に、優香は思わずブルっと身を震わせた。
「気持ち悪い? すぐ済むからね…」
夢うつつに聞いている間に、お尻の穴をぎゅっと押さえて拭われる感触があり、再びパジャマと温かな布団で身体が包まれる。
「もう大丈夫だよ」
いつの間にか仰向けに寝かされていて、熱のせいでぐにゃりと歪んだ天井が見えた。
眠ったという感覚もないまま、気がつくと、またパジャマとショーツを下ろされ、むき出しになったお尻が冷たい。
「まだ寝てていいよ」
ついさっきも聞いたように思うのは、夢なのか、昨日のことなのか。
熱でぐるぐると回って見える部屋の壁を眺めながら、ぼんやりとした頭で思いを巡らせ、吐き気止めの坐薬の後で、今度は熱冷ましの坐薬を入れられる番なのだと思い至った。
「楽にして…」
そう言われて、身体の力を抜いているつもりでも、目が覚めて感覚が冴えてきたせいか、坐薬はさっきよりも冷たく、摩擦で痛く感じる。
優香はぎゅっと目を閉じて、大きく開いた口からハアハアと何度も短く息を吐き、必死で痛みと異物感に耐えた。
優香に坐薬を施した後、真斗は洗面所で入念に手を洗った。潤滑剤に使ったワセリンを片付けて、優香の汗を拭ったタオルを洗濯機に入れ、洗濯の準備をする。そして、リビングに向かおうとした時、優香の部屋のドアが開いて、パタパタとトイレに駆け込んで行く音が聞こえた。
バタン、と勢いよくトイレのドアを閉める音が響いた直後、
ブリュッ!!……ブチューーービチビチビチ…ビチャっビチャっ…ブリュリュリュリューーーー。
激しく下している音と、ハアハアと苦しげな息遣いが、廊下まではっきりと聞こえてきた。
けたたましい下痢の排泄音が続き、つかの間の静寂を挟んで、また一層大きく、廊下中に響き渡る。
たっぷりと10分以上、そんな状態が続いた後、ようやくトイレを流す音が聞こえて、青ざめた顔の優香が、ヨロヨロとトイレから出てきた。
「どうしよう……お薬…出ちゃったみたい」
真斗の顔を見るなり、優香は涙を浮かべて言った。
「お腹が痛くて…トイレ我慢できなくて……。出ちゃうって気付いて時には、もう……下痢と一緒にトイレに落ちて、流れちゃった…」
不安げな表情で言う優香の目から、みるみる涙がこぼれて行く。
抱き寄せるようにして、おでこに手をやると、当然のことながら熱はまだ少しも下がらず、おでこはじっとりと汗ばんで、熱いままだった。
「大丈夫だよ。出てしまったのは一つだけ?」
「うん…多分…」
「じゃあ、吐き気どめは、もう直腸で溶けて吸収されているんじゃないかな。解熱剤は入れたばかりで出てしまって、吸収できていないから、お腹の具合が落ち着いたら、もう一度、解熱剤だけ新しいのを入れ直そう」
優香の顔を両手で包むようにして、指先で涙を拭ってやりながらそう言うと、優香は泣き顔のまま黙って頷いた。
「坐薬を入れたら、30分はトイレを我慢しないといけないけど、お腹はもう大丈夫そう? まだ下しそうな感じなら、もう少し落ち着いてからにする?」
「もう大丈夫…」
優香はそう即答したが、真斗が新しい坐薬とウェットティッシュ、ワセリンを用意して廊下に戻ると、優香はまたトイレにこもって、激しく下している最中だった。
ブチューー…ブリュッ……ブリュッ…ビュッ……ブチューーー……グチュッ
さっきより勢いは弱まったようだが、一層水っぽくなった下痢の排泄音と、苦しげな荒い息遣いが聞こえてくる。
時刻は7時50分。いつもならもう朝食を食べ終え、身支度をしている時間だった。
優香もそれを自覚しているらしく、ようやく排泄音が止んだと思うとすぐに、トイレを流す音と手を洗う音がして、焦った様子でトイレから出てきた。
「大丈夫…? まだ出そうなら」
真斗が言いかけるのを遮るように、
「お願い、早くお薬入れて! もう時間がないから」
懇願するように優香は言った。
「じゃあ、ここでしようか。和式トイレみたいにしゃがんで、ズボンと下着を下ろして、お尻を出して」
横たわってお尻を突き出すのとはまた違う恥ずかしさがあったが、ためらっている時間もない。
優香は言われた通り、ズボンとショーツを一気に下ろしてお尻を出すと、和式トイレにまたがる格好で廊下にしゃがんだ。
「もう少し脚を開いて、お尻を持ち上げるようにできる?」
恥ずかしさをこらえて、両膝を開き、頭をかがめて、肛門が上を向くようにお尻を高く突き上げ、坐薬を入れやすい体勢になる。
「口から息を吐いて…」
ハーハーと、ゆっくり息を吐くと、体勢と呼吸のせいでゆるまったお尻の穴に、ぬるりとした感触があって、その後で硬く冷たい坐薬の先端が押しあてられた。
「うっ…!」
下痢で敏感になっている肛門を坐薬で刺激され、優香はうめき声を漏らした。
「…んー…うぅ…」
お尻の穴を外側からこじ開けて入ってくる異物が気持ち悪く、反射的に息んで出してしまいたくなる生理現象に逆らうように、指先まで一緒に、ぐっと奥のほうまで挿し入れられる。しばらくそのまま押さえられた後で、ゆっくりと真斗の指が抜かれ、
「ゆっくり立ち上がって」
お尻をティッシュで押さえてもらいながら、ゆっくりと膝を伸ばして腰をあげると、肛門に感じていた硬く冷たい坐薬の異物感が、直腸の奥の方へと入って行くのがわかった。
中腰の状態で壁に手を添えてもたれかかり、後ろに突き出したお尻をティッシュでしばらく押さえてもらった後、
「もう大丈夫かな…。少しの間、座って休んで」
と声をかけられ、お尻をそっと拭われた。
「もう準備しないと遅れちゃう」
「じっとしていないと、また坐薬が出てしまうよ。まだ熱でふらついているし……。木下先生には体調が悪くて少し遅れるって連絡しておくから」
「駄目! 茉莉果と一緒に登校する約束してるから、もう行かないと。遅刻はしないから、先生にも言わないで!」
朝から坐薬を入れているとか、その上、下痢で坐薬が出てしまって、もう一度入れ直す羽目になって遅刻するとか、もうこれ以上恥ずかしいことを木下先生に伝えられたくない……。
浣腸も坐薬も、されるのはもちろん痛くて恥ずかしくて苦痛だけれど、そんな治療を受けていることを知られるのも、同じくらい恥ずかしくて惨めな気持ちになるのだった。
優香は急いでショーツとズボンを引き上げた。そして、まだ坐薬の痛みと異物感が残る肛門をぎゅっと締めて、制服に着替えるため、そろそろと小股で自分の部屋へと向かった。