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便秘治療(11)(中学3年生5月)

直腸診、坐薬、浣腸の描写があります。

 ちょうど1時間目の授業が始まる頃、優香は友井クリニックの診察台に横たわっていた。


 朝から入れた坐薬が効き始め、吐き気は治まっていたが、お腹が張って痛みがあり、熱は38度6分に上がっていた。

 診察の後、体調が良くなったら学校に行くつもりで着てきた制服の前をはだけ、スカートのホックを緩めて腰の辺りまで下げ、お腹を出す。


 ポッコリと張った下腹に友井医師の手が添えられ、おへその横をぎゅっと押されると、

「…ん…んーー!」

 優香は痛みと苦しさで苦悶の表情を浮かべ、うめき声を漏らした。


「昨日は、お家で浣腸はした?」

「…はい」

とだけ答えて、恥ずかしそうに顔を赤らめて目を伏せた優香の返事を補うように、真斗が続けた。


「夜9時頃に浣腸しました。その時は便もガスもたくさん出たんですが……。あまり食べられないのに、すぐにまたお腹が張ってしまうようで…」

「便の状態はどうでした?」

「お腹の調子があまり良くないのか、ゆるい軟便がたくさん出て、最後の方は水下痢のようで、かなりゆるい状態でした」


 昨日、トイレの中まで付き添って介抱してもらったので、排泄の様子を把握されているのは当然のことではあったが、改めて真斗の口から生々しく排泄の様子を説明されるのを聞くと、恥ずかしさで気が遠くなりそうになる。


「直腸診をしますね」

 覚悟していた言葉が告げられる。


「こちらにお尻が向くように横向きになってください」

 看護師さんの指示で身体の向きを帰ると、腰のあたりにタオルが広げられ、

「失礼します。ちょっとお尻を出しますね」

 手際よくスカートがめくりあげられて、ショーツが下ろされる。

「膝を曲げて、お尻を突き出して」


 タオルがめくられると、お尻がスースーして、自分だけ丸出しのお尻を突き出した惨めな姿で、真斗や友井医師や看護師さんに見守られているのだと、はっきりと思い知らされる。


「ちょっと冷たくなるよ」

 背後から友井医師の声がして、お尻の穴にひんやりとしたゼリーの感触が染み込む。

「口から息を吐いて」

 何度経験しても慣れることのできない異物感に、

「ううっ…!」

 優香は思わず苦痛の声を漏らしてしまう。


「力を抜いて楽にして……はい、いいですよ」

 友井医師の指がお尻から抜かれる時、思いがけず、

 プーーッ!

と大きな音を立ててガスが出てしまい、優香はハッとして身体を強張らせた。


 みんなが見ている前で、大きな音を立ててオナラをしてしまった…。

 みんなの目の前で、丸出しのお尻を突き出した、こんな恥かしい格好で…。


「すみません…!」

 恥ずかしさで耳まで真っ赤になって謝る優香に、

「大丈夫だよ。ガスが溜まっているところに、お尻から診察したので苦しかったでしょう」

 友井医師は優しく言った。

「ガスで随分張っているので、溜まったガスを出してしまいましょう」


 出すって、ここで…!?


 友井医師の言葉に驚いている間に、優香の肛門は、ゴム手袋をつけた指先で、左右に押し広げるように大きく開かれた。

 そして、もう一方の手でお腹をマッサージするように押さえられると、意思とは関係なく、優香の肛門からはプスプスとガスが漏れ出した。


 プシューーーーーーーーープスプスプスプス……プスっプスっプスーーーーーっ


 肛門を大きく広げられているせいか、さっきのような大きな音は出ないものの、ガスが出ていることははっきりと分かり、ひどい臭いも広がっていく。


 みんなの前で、丸出しのお尻を突き出して、ひどい臭いのオナラをしている。それも何度も何度も続けて大量に…。


 プスーーーーー…プっ……プスっ…プスっ…


 ガスの勢いが弱まり、お尻とお腹に添えられていた医師の手が離された。

 恥ずかしさで真っ赤になったまま呆然としていると、看護師さんがそっとお尻を拭って、下着をあげてくれた。


「吐き気をこらえようとしたり、食欲がないのに無理に食べようとして、無意識に空気を飲み込んでしまっているんでしょう。それがお腹に溜まって張りの原因になっています。それから、今は毎日浣腸を頑張っているので直腸には詰まりが無くなっているけれど、お腹のもっと上の方、S状結腸という辺りにも詰まりがあって、そこは今も便秘の状態なので、詰まった便からガスが発生して、腸にガスが溜まりやすいんです。ガスが溜まると腸の動きが悪くなって便秘が悪化して、溜まった便からまたガスが発生するという悪循環なので、ガスは我慢しないでしっかり出すようにね」


 そう言われても、人前で我慢しないで出すなんて出来ない…。


 優香が黙り込んでいると、友井医師は続けた。

「学校では出しづらくて我慢してしまう時もあると思うけど、できるだけ休み時間にトイレでしっかり出すようにして、溜め込んでしまわないように。それから、不安で呼吸が速くなると空気をのみ込みやすくなるから、気持ちをゆったりさせて。不安になったら、意識して、ゆっくりお腹で息をするようにね。ガスを出すためにも、お家では毎日浣腸をして、便を詰まらせず、しっかり出せるように頑張りましょう」

「…はい」

「点滴をするので、お昼は無理に食べずに腸を休めて、夜もおかゆで。明日からテストだったね?」

「はい。だから明日、明後日は休めなくて。今日もできるだけ休みたくないんです…」

「今日は無理せず、学校は休んで、おうちでよく寝ること。熱がつらいようなら、解熱の坐薬も使いましょう」

 学校を休むように言われたことと、また坐薬を処方されるショックで優香は涙ぐんだ。


「……熱を下げるお薬は、前に使ったとき…お腹をこわしてしまって…」

 コンクールの日に坐薬を使って熱を下げた後、トイレまで間に合わないほどの激しい下痢に襲われ、オムツを使うしかない状態が何日も続いたことは、優香のトラウマになっていた。


「解熱の坐薬の作用でお腹をこわしたというよりは、もともと身体の調子が良くなくて、頑張りすぎた反動が下痢の症状に強く出たんだと思います。優香さんの場合は、腸が弱いので、どうしても弱いところに症状が出やすいからね。解熱の坐薬を使わなければ下痢にならないというわけでもないので、今回はテストもあるし、熱が38度以上でつらかったら早めに坐薬を使って下げましょう。安易に解熱剤に頼りすぎるのも、坐薬の乱用も確かに良くないですが、今はまず3日間、しっかり坐薬を使って、一旦体力を回復させましょう」


 黙り込んだ優香に変わって、真斗は「はい」とうなづいてから尋ねた。

「吐き気止めの坐薬と一緒に使っても大丈夫でしょうか? 吐き気もひどくて、朝と晩に吐き気どめの坐薬を挿れているので…」

「同時に使うときは、先に吐き気どめを入れてあげて下さい。30分ほどで溶け出して吸収されるので、30分以上おいてから熱冷ましの坐薬を入れてください。夜は、おかゆを食べたらしばらく様子を見て、ひどい下痢をしていなければ、浣腸もしてください。ガスが出てお腹が楽になるので」



 夕方。

 真斗は吐き気と熱でベッドでぐったりとしている優香に、まず吐き気どめの坐薬を施した。


 熱で朦朧としている優香の身体を、浣腸するときのように横向きにして、パジャマのズボンとショーツを太ももまで下ろす。膝を曲げて尻を突き出した格好にさせ、白く柔らかな尻肉を開いて、露わになった肛門をほぐすように、指先にとったワセリンを薄く伸ばしていく。そして、ワセリンのせいでぬらぬらと光る肛門のすぼまりに、坐薬の先端をピタリと押し当てる。


 熱のせいで荒くなっている呼吸に合わせて、坐薬を少しずつ肛門に押し込もうとすると、

「うっ……ひっ……冷たい…」

 眠っていると思っていた優香が、不意に声を出した。

「いや! 気持ち悪いよう…。出したい…」

 冷たい坐薬の異物感が不快なのか、尻をモゾモゾとさせながら、泣き出しそうなか細い声で訴えた。


 いつもなら黙って堪えているつらさを、熱で朦朧としているせいで今は口に出したのだと思うと、意地らしくて、いっそう愛おしくなる。

「気持ち悪いね……。薬が溶け出すまで、ちょっとだけ我慢しよう。溶けたら楽になるよ」

 そう言ってなだめながら、指先を少しずつ肛門深くへと挿し入れる。十分に押し込んで、坐薬が戻らなくなるまで押さえてから、ゆっくりと指を抜いて、ワセリンでべっとりと汚れた肛門をティッシュでそっと拭った。


 汚れた指をきれいにしてから、膝の辺りまで下ろしていたショーツとパジャマのズボンを一旦脱がせ、下痢に備えてパンツ型のオムツを足首から通して穿かせた。腰を持ち上げて、臍を覆う位置までオムツのギャザーをしっかりと引き上げ、すっぽりとオムツを覆うようにズボンを履かせて布団をかけると、優香はぐったりと目を閉じていた。


 その後も、真斗は優香の看病を続けた。

 医師の指示通り30分置いて、今度は解熱の坐薬を入れるため、再び布団をめくりあげた。履かせたばかりのオムツを下ろし、汚れていないことを確認すると、そのまま熱冷ましの坐薬を施す。

 優香はよく眠っているのか、今度は坐薬を挿し入れた瞬間に、くぐもったようなうめき声をあげただけだった。


 熱冷ましの坐薬を入れて1時間ほどすると、汗でぐっしょりと濡れたパジャマを着替えるのを手伝って、少し熱が下がって目を覚ました優香におかゆを食べさせた。そして2時間ほど経った頃、また眠っている優香のオムツを少し下げて下痢をしていないのを確かめると、ベッドに寝かせたまま浣腸をした。


 ベッドを汚さないように、腰の下にビニールシートを広げて、その上にタオルを重ねる。優香の身体を抱き上げて横向きに寝かせ、ギャザーを広げてオムツを膝の辺りまで下ろすと、目を覚ました優香が小さなうめき声をあげた。


「……んー」

「寒い? 今から浣腸するからね。すぐに済むから寝てたらいい」


 露出させた尻を広げ、肛門にワセリンを伸ばしてから、ゆっくりとチューブを挿し入れて、浣腸液を少しずつ注入する。かすかに眉をしかめて目を閉じている優香の表情を見ながら、容器の丸い膨らみをゆっくりと潰していく。何度か握り直し、膨らみがすっかりへしゃげたら、直腸まで深々と挿し入れていた浣腸器のチューブをゆっくりと抜く。


 用意していたトイレットペーパーで肛門を拭って、オムツを元通り穿かせるために腰を少し持ち上げると、

「…うー……お腹痛い……出ちゃう…」

 優香が苦しげな声を出した。

「今、浣腸したところだから、今出したら薬だけ出てしまうよ。お腹の中で浣腸液が効いてくるまで、もう少し頑張ろう」

 声をかけて励ましながら、ウエストのギャザーを広げるようにして、オムツをしっかりと引き上る。そして、オムツの上から肛門を押さえ、もう片手で腹をさすって、我慢するのを手伝った。


 目をぎゅっとつむって小刻みに震え、首筋に鳥肌を立てて腹痛と便意を堪える優香の姿に胸を痛めながら、どうにか3分ほど我慢させた後で、抱き上げてトイレに運んでオムツを下げ、便器に腰掛けさせてあげることができた時には、安堵した。


 熱で身体の水分が失われているせいか、水のように緩かった昨日とは違って、固そうな便がポトンポトンと雨だれのように便器に落ちていった。

 長く激しい雨だれの音が止むと、しばらくの間、屈み込んだ優香の口元から漏れる苦しげな息遣いとうめき声だけが静かなトイレに響いた。


 バチャッ! ブリュブリュリュリュリュブリュッーーーブシューーッ…


 突然、静寂を破り、腸の奥にあった軟便とガスが優香の尻から吹き出し、便器の水面へと激しく叩きつけられていった。


「…ハアハアハア……んーー…んーー」

 息を荒げ、うめき声をあげて苦しむ優香の傍にひざまずき、

「苦しい…? 全部出してしまったら楽になるよ。頑張れ……」

 真斗は優香の身体を支え、下腹をさすり続けた。


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