便秘治療(8)(中学3年生5月)
排泄と坐薬の描写があります。
コンコン…コンコン……。
繰り返されるノックの音で、優香は目を覚ました。
枕元の時計を見ると、9時を過ぎている。
7時半には起きて勉強をしようと、アラームをセットしていたのに、寝ぼけたまま止めてまた眠ってしまったらしい……。
ノックの音に答えようと、口を開きかけてたところで吐き気を催し、枕元に嘔吐してしまいそうになるのを、咄嗟に口元を押さえて、必死でこらえた。
「まだ起きなくていいの? 開けるよ」
と言いながら部屋を覗き込んだ真斗は、優香の様子を見て驚いて言った。
「戻しそう? 今洗面器を取ってくるから」
横向きになり、口元に洗面器を当ててもらい、
「…エッ……ゲェーーー…」
背中をさすりあげてもらいながら、必死で閉じていた口を開くと、お腹の奥の方から、獣のうなり声のような低い音が出る。
しかし、胃の中には何もなかったのか、吐瀉物はなく、逆流した酸っぱい臭いの空気が口から漏れ、洗面器には糸を引くような唾液が、口元をつたってべっとりと落ちただけだった。
それでも、胃が痙攣して、目に涙を浮かべて華奢な身体を震わせ、何度もゲエゲエとえずき続ける優香の様子からは、食べ物はおろか水分も受け付けないであろうことは明らかだった。
真斗はしばらく優香の背中をさすっていたが、少し様子が落ち着いてきたのを見ると、手を止めて、冷蔵庫の坐薬を取りにキッチンに向かった。
「このまま坐薬しような」
坐薬とワセリンを手に、急いで優香の部屋に戻った真斗が、そう声をかけて布団をめくろうとすると、
「……先に、トイレ……」
ようやく洗面器から顔を上げた優香はか細い声で訴えた。
抱え上げてトイレまで運んでもらい、便器に腰をおろした優香は、真斗がトイレから出るのを待って、ゆっくりとパジャマのズボンを下ろし、汚さないように脱いでしまって、洗面台の脇の棚に置いた。
ズボンの下に履いていたのはショーツではなく、具合が悪いときに使っているパンツ型の紙オムツだった。
昨晩、寝る直前に浣腸をしたので、寝ている間に残っていた便が漏れ出してしまわないように、念のためにオムツを履いて眠っていたのだった。
そして、優香は目が覚めた時から、自分の股間の冷たく湿ったオムツの不快な感触に気づいていた。
ゆっくりと中腰になり、恐る恐るオムツを下ろしていくと、オムツがずっしりと重いのがわかる。膝の辺りまで下ろして中を見ると、やはり、寝ている間に漏れ出したゆるい便で、オムツはグチュグチュに汚れていた。
そして、無残に汚れているのはオムツだけでなく、優香の身体もお尻を中心に足の付け根や腰の方まで、べっとりと軟便まみれになってしまっていた。
トイレットペーパーでぬぐい取ろうとしたが、お尻についたゆるい便は拭おうとするほどに、広範囲に広がっていく。トイレットペーパーを大量に使って何度も拭い、シャワートイレも使ったが、汚れている範囲も広く、それだけではきれいになりそうになかった。
気持ち悪い……。
長時間便にまみれていたせいで、肛門はピリピリと痛痒い。
優香は不快感をこらえ、パジャマを汚さないように、一旦新しいオムツを身につけた。そして、込み上げる吐き気と涙を堪えて、何度もえずきながら、脱いだオムツに広がっている軟便をできるだけトイレに流し、汚れたオムツはゴミ袋に入れて片付けた。
優香がようやくトイレから出ると、なかなかトイレから出てこない優香を心配して、真斗が廊下で待っていた。
「お腹、こわしてるの?」
「……ううん、大丈夫……。昨日……浣腸した残りが……出ちゃって……。シャワー浴びてくる」
「一人で大丈夫?」
優香は頷いてお風呂に向かうと、パジャマの上を捲り上げ、むき出しになった下半身を、シャワーで洗い流した。
湯気の中に、汚れたお尻の臭いがプンと広がって、また吐き気がこみ上げるのを、飲み込むように堪える。
ボディソープで腰からお尻、太もものあたりまで、特に肛門はヒダの1本1本まで念入りに洗ってから、きれいに洗い流し、優香はバスタオルで身体を拭った。
パジャマを着て部屋に戻り、もう一度ベッドに横たわって、坐薬を入れてもらうために、履いたばかりのショーツとパジャマを腿まで下げてお尻を晒す。
覆うものもない、むき出しのお尻を突き出す恥ずかしさは変わらないが、少なくとも身体の外側はきれいに洗ったばかりなので、そう思うと少しだけ気が楽だった。
「気持ち悪いけど、少しの間我慢しようね。口で息をして……」
べっとりとしたワセリンの感触の後で、肛門に挿し入れられる硬くて冷たい坐薬と、坐薬よりももっと抵抗のある真斗の指の感触を必死でこらえながら、優香は目を閉じて、軽く開いた唇からハアハアと何度も息を吐いた。