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便秘治療(6)(中学3年生5月)

嘔吐と坐薬挿入の描写があります。

 点滴が終わると、優香は処置室のベッドに横たわったまま、友井医師の触診を受けた。


「高圧浣腸はしんどかった?」

「……お腹は……そんなに痛くなかったんですけど、途中から気が遠くなって、意識が飛んでしまって……」

「体力が落ちているようだから、もうしばらく、このまま休んでいきなさい」

「でも、2時間目が終わるまでには学校に行きたいんです……」

「無理したらよくないよ。ほどほどに頑張るのはいいけど、焦ったり、根を詰め過ぎないようにね。緊張で気を張り詰めた状態が続くと、お腹にもよくないから」

 しぶしぶ頷いた優香に、友井医師は続けた。

「給食は食べられそうなら食べてもいいけど、無理して食べずに、脂っこいものは避けて。坐薬が効いて吐き気が治まってきたら、水分を少しずつ摂るようにね。今日はもう浣腸は済ませてお腹はきれいになったので、家では浣腸しなくていいから、よく休んで。明日からはまた、頑張ってお家での浣腸を続けてください」

「……はい」


 つらくて恥ずかしい浣腸の治療が、いつまで続くのだろう…。


 優香の気持ちが伝わったように、友井医師は続けた。

「今は浣腸の刺激で、腸を強制的に動かして排泄しているから、しんどいと思うけど、直腸に便がつまりにくくするために必要な治療だから、しばらくは毎日浣腸を頑張って。詰まりにくくなったら、排便も今より楽になるし、浣腸する量や回数も少しずつ減らしていけるからね。夜になって、吐き気がぶり返すようであれば、おうちでも坐薬を使って。明日になっても吐き気がひどくて食べられなかったり、下痢をするようなら、明日も来てください」


 30分ほど休んで、高圧浣腸の疲れから少し回復した優香は、ようやく学校に向かうことができた。

 坐薬が効いてきたのか、吐き気は治まり、高圧浣腸で腸の奥の方の詰まりも取れたようで、お腹の張りと不快感もスッキリして、体調は随分よくなっていた。

 学校まで送ると真斗が言うのを断って、優香は足早に学校へと向かった。


 登校後もお腹は落ち着いていて、食欲も少し戻り、給食も口にすることが出来た。


 よかった。

 お腹も下っていないし、この調子なら来週のテストも大丈夫そう……。

 安心したのもよかったのか、お腹の具合は安定して、帰宅後も吐き気に襲われることもなく、夕食も食べることが出来た。


 これなら、もう坐薬を入れなくても大丈夫そう。

 吐き気から解放され、すっきりした気分でいた優香だったが、冷蔵庫を開けるたびに、扉の内側に立てて保管された「坐薬」「肛門から入れる薬です」と大きく赤い字で印字された薬の袋が目に入り、今朝の恥ずかしくつらい治療が脳裏にまざまざと蘇った。


 もう治療のことは忘れてしまって、何食わぬ顔で過ごしていたいのに、真斗に「気分は悪くない?」「下痢はしていない?」と何度も確認されるのも気まずく、「もう治ったから、大丈夫」と、やや邪険に答えていた。


 夕食を食べた直後も、吐き気に襲われることなく過ごした優香だったが、短い食休みのあと、宿題に取り掛かると、また少し気分が悪くなってきた。トイレに駆け込むほど強い吐き気ではないものの、胸がムカムカして気持ち悪い。


 どうしよう、これ以上吐き気が強くならないうちに、坐薬を入れたほうがいいのかな……。


 お風呂場からはシャワーの音が聞こえ、真斗は入浴中のようだった。

 優香はキッチンに入り、冷蔵庫を開けて、坐薬の入った紙袋をおそるおそる取り出した。

 ひんやりと冷えた白い袋を開けると、銀色のパッケージに包まれたロケットのような坐薬がずらりと並んで入っている。


 この尖っている方をお尻の穴にあてて、押し込むんだ……。


 怖い。こんな怖くて恥ずかしい薬、本当は使いたくない……。

 けれど、痔の治療では注入軟膏を自分で使えていたのだし、坐薬も入れられるだろう……。

 優香は坐薬の包みを一つ切り取って握りしめると、トイレに入った。


 便器の前にしゃがんで、注入軟膏を使うときのように、和式トイレにまたがるような体勢になり、坐薬を取り出して、重ねたトイレットペーパーで根元をつまみ、試行錯誤しながらも、どうにか尖った方をお尻の穴に押し当てた。


 大丈夫かな…。

 優香は少しためらいながら、思い切って、坐薬を押さえる指先に力を込めた。


 痛くて気持ち悪いよお……。

 坐薬の先端は、緊張して固く閉じた肛門に跳ね返され、ただ気持ち悪く肛門を刺激するだけだった。

 泣きそうになりながら、何度も坐薬を肛門に押し当てて、最後は突き刺すような覚悟で、痛みをこらえて強く力を込め、どうにかお尻に押し込んだ。そのまま、坐薬が飛び出さないように、トイレットペーパー越しに肛門を強く圧迫する。


 冷たくて痛くて、気持ち悪い……。

 出したいよお……。


 お尻がモゾモゾして気持ち悪かったが、肛門を押さえたまま立ち上がると、坐薬の固い感触が少し奥の方に動いたようだった。


 よかった、入ったみたい……。


 優香はホッとして、入念に手を洗うと、部屋に戻った。


 坐薬の効き目が出るまで休もうと、ベッドに横になってみたが、吐き気はすぐには治まらず、それどころかどんどん強くなる。

 ついに酸っぱいものが喉まで込み上げてきて、優香は急いで起き上がると、口元を押さえてトイレに駆け込んだ。


 ドアをちゃんと締める余裕もなく、床に膝をついて便器に向かって屈み込んだ途端、

「グエーー……ゲボっ…ゲエエエ……ゴボボボ……ゲエーーーッ………」

 さっき食べた夕食が、未消化のまま便器へと勢いよくこぼれ落ちていった。


「…エッ…ゲェッ……あぁー!……だめ! あぁ……ゲエエーーーッ……」

 優香は嘔吐しながら、お尻の違和感に気づいて、突き上げる嘔吐の合間に、思わずお尻に手をやって短い悲鳴をあげた。

 嘔吐で腹圧がかかった拍子に、息むように下腹に力が入ってしまい、さっき四苦八苦して入れたばかりの坐薬が、ぬるりと肛門から飛び出してしまったのだった。


 お尻の穴にべっとりした不快な感触があった。

 気持ち悪い……。早くお薬を入れ直さないと……。


 優香は顔を便器に向けてかがみ込んだまま、ズボンとショーツを膝まで下げてお尻を出した。

 そして、肛門から飛び出してしまった坐薬を摘むために、トイレットペーパーに手を伸ばしたところで、また吐瀉物が込み上げてきて、便器を抱えるようにかがみ込んだ。


「…エッ…! ゲェッゲエエエーーー…」



 風呂場から出た真斗は、廊下に出た途端、優香が嘔吐するゲエゲエという声と、漂う吐瀉物の臭いに気づいて、扉が開いたままのトイレへと向かった。


「大丈夫か?」

 声をかけながらトイレに近づくと、開いたドアの隙間から、床にしゃがみ込み、便器に顔を埋めるようにして嘔吐する優香の姿が目に飛び込んできた。嘔吐しているだけでなく、ズボンとショーツを膝まで下ろし、下半身が剥き出しになった哀れな姿だった。


 咄嗟に吐き下しだと思い、急いで洗面器を取りに風呂場に戻り、

「下しそう? 戻すのは洗面器に出したらいいから」

 優香の身体を持ち上げて便器に座らせようと声を掛けると、吐き気の苦しさのせいか、泣き声になりながら優香は言った。


「…違うの……。さっき…吐き気のお薬使ったんだけど…うまく入らなかったみたいで……。気持ち悪くなって、戻して……そしたら、お薬、出ちゃって……」


 優香の言わんとすることを察して、丸出しになった下半身に目をやると、優香の白いお尻の割れ目には、肛門から飛び出してしまった坐薬がべっとりと張り付いていた。

 挿れてすぐ出てしまったらしく、坐薬はほとんど溶けずに、元の弾丸のような形をとどめている。


「ああ、そうか……。大丈夫だよ。まだ溶けていないから、このままもう一度挿れ直したら大丈夫だからね。今してあげるから、そのままでちょっと待って」


 洗面所に置いてあるワセリンを手にトイレに戻り、

「そのまま、もう少し脚を開いて、楽にして」


 真斗はしゃがみこんで、便器にもたれかかっているせいで、自然と後ろに突き出した格好になっている優香のお尻を開いた。お尻にべったりと張り付いている坐薬をトイレットペーパーでつまみ上げ、肛門にワセリンを伸ばす。


「坐薬を挿れ直すからね。お尻を緩めて、口から息を吐いて」

 声をかけながら、少し柔らかく崩れながらも、まだ尖った形を保っている坐薬の先端を、固く閉じた肛門の窄まりの中心に押し当てて、ひだの奥にグッと押し込んだ。


「うっ……!」

「坐薬が戻らないように、少しの間、このまま押さえるからね」

 そのまま、指の第一関節のあたりまで、少しずつ肛門に挿し入れる。


「うっ…… うぅっ……」

 苦痛の声を漏らす優香の背を、汚れていない左手でさすりながら、なだめるように声をかける。

「口で息をして、力を抜いて楽にして……こうして押さえないと、また出てきてしまうから、気持ち悪いと思うけど、少しだけ我慢して…」


 胃の中のものを出し切ってしまったせいか、突き上げるような嘔吐は止まり、優香は自分の嘔吐物の臭いが立ち込める中、便器に身体を預けた姿勢で、大きく開いた口からハアハアと息を吐き、肛門に感じる気持ち悪さと恥ずかしさに耐えていた。


 汗で顔にべっとりと張り付いた髪を、さらに濡らすように涙が伝い、便器へと溢れ落ちていった。







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