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便秘治療(5)(中学3年生5月)

排泄と坐薬挿入の描写があります

 ポータブル便器にしゃがみ込んで排泄している優香の姿を覆うため、看護師さんは、手早くベッドの周囲を囲むカーテンを引いた。


 優香は薄いカーテンで閉ざされた空間で一人、長時間にわたる激しい排泄に苦しんだ。


 ぶしゅーーーーーーー。ブリュッブリュッブリューーーーーーっ、グチュちゅちゅーーーーーーーー。


 土石流のように大量の便壊が勢いよく肛門を通過した後で、注入された水分と、直腸や、そのもっと奥の詰まりが一緒になって、肛門からは今まで経験したことがないほど大量の水便が、激しい勢いでポータブル便器に向けて噴き出していく。


「はぁはぁはぁ……うっ…ぅ…はぁ…はぁはぁ…」

 グリセリン浣腸と比べると、熱く疼くような下腹の痛みは少ないものの、いつ終わるともわからない排泄の激しさと、それにともなう肛門の痛みで、優香の息遣いは次第に荒く苦しげになり、合間には何度も悲痛なうめき声を漏らした。


「んーー……うっ…! はぁはぁ…ううっ……うっ…うっ…うっ…」


 注入された水分を出し切ったのか、排泄の勢いが徐々に弱まり、ようやく水便が止まったと思っても、直腸は絞られるように痙攣を続け、自分の意思とは関係なく何度も何度も強く息んでしまう。開ききった肛門に力が入るたび、肛門から直腸にかけて、熱く鋭い痛みが走った。


 そうしているうちに、またお腹の奥から泥のような便が押し寄せ、疲弊した肛門をさらに痛めつけながら、勢いよく噴き出すと、ポータブル便器を激しく打ち付けて、バチャッバチャッと水っぽい音を立てた。



 激しい排泄に苦しむ優香と薄いカーテン一枚を隔てて、真斗は友井医師に相談をしていた。


「実は、今週の火曜日にも、家で浣腸をしている最中に、軽い過呼吸の発作を起こしたんです。その時はすぐに治まったんですが。体調や学校の勉強についていけなくなることに不安があるようで、それが余計に体調に悪影響になっているように思えて……。お腹の治療と合わせて、一度、心療内科や精神科を受診した方がいいでしょうか…?」

「お腹の不調は、精神的な要因もありますからね……。ただ、抗不安薬や精神神経系の薬は、強い便秘の副作用があるものも多いのと、まだ中学生なので、当面は便秘の治療に専念するのがいいと思います。今は辛くても、しばらくは毎日浣腸を続けて、太く詰まりやすくなってしまっている腸をリセットしてあげるのが最優先です。詰まりがなくなって腸の状態が良くなってくると、浣腸での排便も今ほどは苦しくなくなるし、浣腸も毎日は必要なくなります。苦しんでいる便秘が改善していくのを実感できれば、不安も次第に和らぐでしょうし」


 優香の耳に入らないように、低い小声で話す二人の会話を、優香の激しい排泄音とうめき声が何度もかき消した。


 ブチュッ……ブチュブチュ…ブリュッ……ブリュッーー……ブシューーーーーーーー。



 ホースから勢いよく散水するような、長く激しかった排泄音が、次第に断続的になり、水っぽいガスの音が何度か響いた後で、ようやくカーテンの向こうが静かになった。


「佐伯さん、お腹は落ち着きましたか? 入りますね」

 少し開けたカーテンの隙間から優香の様子を伺う看護師さんに、優香が力なく頷くと、

「お尻を拭いてきれいにしますね。ゆっくり立ち上がって。ベッドに両手をついて、足を大きく開いて、膝は軽く曲げて。お尻を天井に向けるように、こちらにグッと突き出してください」


 ああ、また……。


 以前、恥ずかしさのあまり、お尻を拭いてもらうのを断って自分でやろうとして、「菌がつくから」と看護師さんにたしなめられたことが脳裏によみがえり、優香は黙って従った。


 抗っても聞き入れられないのなら、強く抗うほど、余計に恥ずかしく惨めな気持ちになるだけだ……。


 指示された通り、ベッドに寄りかかるようにして両手をつき、軽く膝を曲げて、看護師さんに向かってお尻を高く突き上げるような、無防備で無様な体勢になる。


「もっと脚を大きく開いて、お尻をぐっと上げてくださいね」

 恥ずかしさを堪えて、脚を大きく開き、膝を曲げて、お尻をさらに高く突き上げる。


 突き上げたお尻が、ゴム手袋をはめた手で左右にぐっと押し広げられると、肛門が外側から大きく開く、恥ずかしくて不快な感触に襲われる。

「しみてないですか?」

 強い痛みはなかったが、白々とした処置室の灯りの下で、便まみれに汚れた肛門を晒し、優しく拭き清めてもらっていると、惨めさと恥ずかしさと申し訳なさが一緒になってこみ上げ、優香は必死で嗚咽をこらえた。


「はい、きれいになりました。服を着ていいですよ。点滴をしながらしばらく休んで、まだ吐き気が強いようなら、坐薬を入れますね。ベッドで横になってください」

 看護師さんの声に、ベッドに寄りかかっていた身体を起こそうとした時、優香は貧血に襲われた。目の前が急に暗くなったと思うと同時に膝の力が抜け、再びベッドに倒れこんだ。


「大丈夫!?」

ベッドに手をついて倒れこんだ優香の身体を支える看護師さんに、優香は薄れそうな意識の中、便意がぶり返したのを感じて、必死で声を出して訴えた。

「…また出そう!……あぁっ…! 出ちゃう!!」

 看護師さんに支えてもらいながら、再びポータブルトイレに座った瞬間、優香は緩みきった肛門から、水のような便を噴射させた。


 ブチュッ……ブリュッ……ブリュッーー……ブリュッブリューーーー。


 看護師さんにお腹をさすってもらいながら、朦朧とした意識で排泄を続けた優香だったが、長い排泄の間にゆっくりと貧血から回復し、大量の水様便を出し終えた頃には、意識もはっきりして、顔にも少し血色が戻ってきた。


「すみません…もう大丈夫です」

「ゆっくりでいいですよ。もう出なさそう? じゃあ、もう一度お尻をきれいにしましょうね。ゆっくり立ち上がって…」

 

 優香は看護師さんに支えてもらいながら、ベッドまで戻り、再びお尻を突き上げて汚れを拭ってもらうと、脱いでいたショーツとスカートを身につけて、ベッドに横たわった。


 看護師さんは、優香の横で、浣腸の処置で使ったワゴンとポータブル便器を手際よく片付けると、点滴の準備を始めた。


 覚悟していたことだが、点滴を受けながら一層吐き気が強くなった優香は、そのまま坐薬を入れられることになった。

 排泄が終わり、開けられていたカーテンを再び閉めながら、

「坐薬を入れたら、1時間ほどで効いてきて、吐き気が治まりますからね」

 看護師さんは慰めるように言った。


 身体に掛けられていた薄い毛布が足元からめくり上げられ、

「失礼しますね」

 ショーツが太ももまで降ろされて、足首を持ち上げられる。

「点滴をしていない方の手で、膝を抱えていてくださいね」

 看護師さんの声に従うと、むき出しになったお尻がベッドから浮き上がり、覆うものもない肛門が、少し屈んだ看護師さんの方を向いて持ち上がる。

「吐き気どめのお薬、坐薬なのでお尻から入れますね」

 姿勢のせいで少し緩んだお尻の穴に、硬く冷たい坐薬の先端が押しあてられると、優香は緊張で身体を強張らせた。


「お尻の力を抜いて、お口で息をしていたら楽ですよ。お口でハアハアして」

 ゆっくりと息を吐くのに合わせて、看護師さんの坐薬を持つ手にぐっと力が込められ、優香の肛門には坐薬と、ゴム手袋をつけた看護師さんの指先が深く挿し入れられた。

「うっ……ん…、んーー…」

 堪えようとしても、お尻の冷たさと気持ち悪さで、思わずうめき声が出る。

「お尻が気持ち悪い? お薬が出てしまわないように、ちょっとだけ我慢して、このままの姿勢で少しだけじっとしていましょうね。そう、お口でハアハアしてね」

 看護師さんはそう言って、優香の肛門に指を挿し入れたまま、挿入した坐薬が戻ってこないように押さえ続けた。


 看護師さんの視線が、自分の顔とお尻の両方に注がれているのがわかる。

 泣いたら駄目だ…。そう思うのと裏腹に、恥ずかしさと惨めさが募り、優香の頬には涙が伝っていった。


「はい、もう坐薬入ったので大丈夫ですよ。ゆっくり足を下ろしてください」

 ようやく指が抜かれたお尻の穴にティッシュが添えられ、軽く圧迫するように拭われる。

 看護師さんの手でズボンとショーツをあげてもらいながら、優香は自由になった右手で頬の涙を拭った。


 看護師さんは、優香に掛けた毛布を整えなおすと、ベッドの脇のカーテンを開けた。

「すぐにお薬が効いてきて、楽になりますよ。お薬が肛門から飛びださないようにだけ気をつけて、しばらくは動かないで、じっとしていてくださいね」




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