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便秘治療(4)(中学3年生5月)

高圧浣腸、排泄の描写があります

 看護師さんに処置室の入口まで案内され、中の様子が目に入ると、優香は思わず足を止め、部屋に入るのをためらった。


 処置室自体は、以前にも点滴をするために入ったことがあり、ベッドとその横に用意された点滴のスタンドも見覚えのあるものだ。

 しかし、以前と違うのは、少し背の低いスタンドがもう一つ用意され、そこになみなみと液体が入った、瓶のような容器が吊るされていることだった。そして、スタンドの脇に置かれたワゴンには、スタンドの容器につなげると思われる長いゴムのようなチューブが、潤滑ゼリーや、ペーパーなどど並べて置かれていた。チューブの先には先端が丸くなった細長い棒のようなノズルが取り付けられていて、あの棒の部分をお尻の穴に挿し入れられるのだろうと、容易に想像がついた。


 そして、嫌でも目に飛び込んでくるのは、ベッドに広げられた防水シートと、その上の、ちょうどお尻がくるあたりに重ねられた、大きくて四角いオムツのようなマット、さらにベッドの脇に蓋を開けて用意されているポータブル便器だった。


 優香が部屋に入るのをためらって、入口で尻込みしていると、真斗が、

「必要な処置だから、早く入ってしてもらおう」

と諭すように声をかけ、優香の肩を抱いて処置室に入るように促した。


 優香が意を決して処置室に足を進めると、看護師さんは、

「佐伯優香さん。まず、高圧浣腸の処置からしていきますね」

と、優香に声をかけた。

 優香は恐怖と恥ずかしさで押し黙っていたが、看護師さんは、優香の意志など関係なくもう浣腸は決定事項だというように、

「今から高圧浣腸をします」

と改めて宣言して、

「浣腸の処置の間も、付き添われますか?」

と真斗に確認した。


「いてもいい?」

 優香が不安げに頷くのを見て、

「はい、ここで付き添います」

 真斗は看護師さんに答えた。


「では、これから高圧浣腸をするので、スカートと下着は脱いで横のカゴに入れてください。脱いだら、こちらにお尻が向くように、マットの上にお尻をのせて、横向きに寝てください」

 優香が指示に従ってスカートとショーツを脱ぎ、下半身を露わにしてベッドに横たわると、看護師さんはすぐに、優香の腰にタオルを掛けて、お尻から太ももを手際よく覆った。


「少しめくりますね。お尻をぐっと突き出して」


 お尻の部分だけタオルがめくり上げられ、露わにされたお尻の割れ目が、ゴム手袋をつけた看護師さんの手で大きく開かれる。

「少しひんやりしますよ」

と声をかけられて、お尻の穴には、ゼリーがたっぷりと塗られていく。


 何度も経験している、いつもの浣腸の準備だった。

「お腹をゆったりさせて、お口で息をしていてくださいね。はい、お尻にノズルが入ります」


 肛門が押し広げられ、いつもの浣腸器よりも太いノズルが、直腸にぬるりと挿し入れられた。


 痛くて、気持ち悪い…。

 肛門の異物感に、優香は顔を歪めた。


「微温湯を注入していくので、お腹を楽にして、お口で大きく呼吸してくださいね。はーーー」

「…はーー」


 指示の通りに口から大きく息を吐くと、生ぬるい液体が、お尻からお腹へと入ってくる。


 これも、いつもの浣腸とそれほど変わらない感覚だったが、違うのは注入される量だった。


 息を吐くたびに、液体がどんどんお腹の奥へと入っていく。

 いつもなら、もう注入を終えて、お尻のノズルを抜かれている頃になっても、液体の勢いは止まらず、息を吐くたびに、直腸のもっと奥深くまで、タプタプと満たしていくようだった。

 それでいて、いつものグリセリン浣腸と比べると、腹痛や便意は緩やかで、我慢する苦しみは、今のところ少ない。


 我慢に必死になっていないせいで、優香は、いつも以上に、自分の受けている処置と、自分の姿を強く意識することになった。


 丸出しにしたお尻を突き出して、お尻の穴にノズルを深々と挿し込まれた惨めな姿。

 そんな姿も、恥ずかしさと苦痛で歪んだ顔も、お兄ちゃんと看護師さんに、じっと見守られている。


 排泄するためのお尻の穴から、逆向きに薬を流し込む、浣腸という恥ずかしく異様な行為。

 浣腸をしないと、自力で排便もできずに、すぐ溜め込んでしまう、非力で情けない身体。

 その上、浣腸液の注入が終わった後に、トイレまで我慢できずに漏らしてしまうのを心配されて、オマルが必要な小さな子供のように、ベッドのすぐ横にはポータブル便器まで用意されている……。


 この前、浣腸した時に粗相してしまったから、用心されているのだろうか。

 それとも、この大量の浣腸をされると、誰でもトイレまで我慢できずに、その場で排泄してしまうのだろうか……。


 どちらにせよ、トイレに行けずに、ここで排泄してしまう可能性があるのだろう……。

 せめて、この前のように、ベッドやシーツを汚さないようにしないと……。


 思いを巡らせている間も、お尻からの注入は続き、勢いが弱まる気配もない。


 お腹はどんどん張って苦しく、重くなり、吐き気も強くなってきた。

 あとどのくらい注入が続くのだろう……。

 せめて、2時間目には間に合うように登校したいのに、この長い浣腸の後に待ち受ける、苦しく長い排泄の時間。

 その後には、まだ時間がかかる点滴の処置と、その上坐薬まで……。


 お尻に浣腸や坐薬を入れられることへの嫌悪感、遅刻や欠席が増えることへの焦り、勉強やテストへの不安が、混じり合って押し寄せる。


 恥ずかしさと気持ち悪さを我慢して、浣腸に耐え、坐薬を使ったら、吐き気も治まって体調が回復するのだろうか。


 でも、吐き気が治まったとしても、坐薬のせいでまたひどい下痢になってしまうかもしれない。


 下痢が止まらず、勉強やテストどころではなくなって、学校どころか自力でトイレにも満足に行けずに、また何日もベッドの上で、オムツに下痢を垂れ流し続けることになってしまったら……。


 辛く惨めなだけでなく、今年は受験だって迫っているのに、また何日も学校を休んで、授業にもついていけなくなってしまう……。


 それにあの時、ひどい下痢がようやく治まった後には、すっかり体力が落ち、おまけに痔まで発症してしまって、長い間恥ずかしい診察と治療が続いて、普通の学校生活も、部活もできなくなって……。


 ようやく治ったと思ったのに、またひどい下痢をして痔がぶり返して、あの頃のような、座っていることさえつらい状態に逆戻りしてしまったら……。


 次第に、お腹の苦しさだけでなく、呼吸も苦しくなってくる。


 優香はもっと空気を吸い込もうとして、速い呼吸を繰り返した。


「はあ…はあ……はあはあはあ……はあはあはあはあ…ヒッ…ヒッ…」


 ああ、この感じは…この前と同じ……。


 優香が薄れそうな意識の中で思い至ったとき、

「ヒッヒッヒッ…ヒッ!…ヒッ!……ヒ!!!」

 自分の声とは思えないような、動物のうめき声のような呼吸音が口から漏れ、身体が痙攣するように震え出した。


「佐伯さん、落ち着いて。お腹から、ゆっくり息を吐いて」

「うぅ……うっ…ヒッヒッヒッ!…ヒッ…ヒッヒッヒッヒッヒッ…うぅ…」


 看護師さんが急いで高圧浣腸のコックを締めて注入を止め、優香に声をかけた。

「もう一度ゆっくり吐いて……少し吸ったら、ゆっくり吐いてー」

「ヒッヒッヒッヒッ……ハッ……ハッ…ハー…ハーーー」

「大丈夫よ。少し吸って…ゆっくり吐いて」

「ヒッ…ハッ……ハア…ハア…ハア…ハア…」


 優香の様子が少し落ち着いてきたのを見て、看護師さんは、

「すぐに先生をお呼びするので、このままでお待ちください。直腸にノズルが入っていて、動くと危ないので、じっとしていてくださいね」

 口を大きく開き、まだ少し苦しげに呼吸をしている優香と、心配げに優香の顔を覗き込みながら、背中をさする真斗に声をかけて、診察室へと急いだ。


 友井医師が駆けつけたときには、優香の呼吸はほぼ落ち着き、苦しみの涙と涎でグシャグシャになっていた顔も、真斗に拭ってもらって、きれいになっていた。


 友井医師はスタンドに吊るされた微温湯の残量を確認し、優香のお腹に手をあてて様子を確かめながら尋ねた。

「苦しい? もう少し我慢できそう?」

 優香は苦しげに顔を歪めて、首を横に振った。

「じゃあ、もう出してしまおうか」


「浣腸はこれで終わります。ノズルを抜きますよ。はい、お尻をキュッと締めて」

 看護師さんが優香のお尻にトイレットペーパーを添えながらノズルを抜き、脱脂綿で肛門を圧迫した。

「お尻をぎゅっと締めたまま、ゆっくり起き上がりましょう」

 片手で優香の肛門を圧迫しながら、看護師さんは肩を貸すようにして、優香が起き上がるのを助けてくれた。


 起き上がると、腹圧がかかり、一気に便意が強くなって肛門に押し寄せる。

 優香は全身に鳥肌を立て、苦痛で顔を歪めながら、微温湯でパンパンになったお腹をさすった。


「ゆっくりトイレに腰掛けて」

 看護師さんに支えられて、ポータブル便器に腰を下ろすと同時に、優香の意思とは関係なく肛門が大きく開き、激しい滝のように、大量に注入された水分と、腸を満たしていた硬い便塊とが混じり合って噴き出した。







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