2018年4月24日 リセット
目を開けると、美波が手を握ったままこっちを見ていた。
「え・・・いまのって・・・」
圭一は何が起きたのかまだ理解してなかった。
「一度戻ったらもう同じ場面には戻ることは出来ません。リセット出来るのは1回だけなんです。」
美波は話続けた。
「最初に見せないと信じてもらえないと思って・・・」
圭一は美波の手を振り払った。
「なんだよ今の!一体何言ってんだよ!」
周囲の人がこっちを振り返るくらい大きな声をあげた。
だが美波は圭一から目を離さない。
その美波の目を見た圭一は、美波の言葉・圭一が今見た家族の日常が真実だと感じた。
「帰るね・・・」
圭一はくるりと美波に背を向け歩き始めた。
美波は何も言わず、立ち去る圭一をそのまま見続けた。
家に帰った圭一はベットに横たわった。
天井を見つめたまま、美波に見せられたものが夢とは何か違うことを感じていた。
「なんだったんだよ・・・」
電気を点けず、真っ暗な部屋の中で圭一は考え続けた。
(ピロンっ)
ポケットからスマホを取り出した。
正志からだ。
「詳細よろ」
圭一はベットにスマホを軽く放り投げた。
「あいつ・・・こっちの気もしらないで。」
何かを察したのかは分からないが、その後正志からの
連絡はなかった。
電気を点けることなく天井を見つめたまま、圭一は眠りについた。