TS症になった少年の乳房発育記録。
ある日突然、男が女になる謎の病気――TS症。
主なA型、B型、C型ではなく特殊な乳房発育型のTS症になってしまった少年が男に戻るため、巨乳化に抗う話。
コイカツというゲームのキャラメイクで作成した藍川 真之介 https://twitter.com/tsfbe8343/status/962254833578229761 を元に書いた作品です。
ピピピピ・・・ピピピピ・・・・・
目覚ましの音が聞こえ、手を伸ばすが身体がやけに怠い。
体調を崩したのか、大量にかいた寝汗の不快感と身体の違和感。
引っ掛かりを感じつつも起き上がって、身体の怠さの原因を思い知った。
動揺しつつも夢かと疑ったり、叫んだりはしない。
何故なら、心当たりがあるからだ。
友人や同級生にもちらほらいたけど、まさか自分がTS症になるとは・・・。
――少年の身体は女になっていた。
TS症はある日突然、男が女になる謎の病気だ。
初めて確認されてから既に30年以上経つのに、未だに症状が分かっただけで原因や治療法は見つかっていない。
現代では思春期の少年の7人に1人は発症するためそれほど騒がれることもなく、興味本位なのか罹りたい!という奴もいたりする。
そんな珍妙な病気に罹ってしまったというわけだ。
すぐに病院で精密検査を受けた結果、予想どおりTS症ではあったのだが・・・よりによって乳房発育型のTS症だった。
TS症にはインフルエンザのように主にA型、B型、C型がある。
発症すると身体が女性化し、それぞれA型ならAカップまでB型ならBカップまで肉体の発育に合わせて胸が緩やかに成長していき、胸が規定のサイズまで成長すると男に戻る。
そして自分がなってしまったのは上記の3つに当てはまらない特殊な乳房発育型である。
この型だけは通常のTS症と違って胸のサイズが決まっておらず、胸が成長しきるまで男に戻れないのだ。
困ったことに基本的には胸の成長期は平均3~4年と結構長く、それ以上続くこともある。
人によってはすぐに成長がおさまって早く戻れることもあったりするらしいが、当然その逆で成長が全くおさまらないこともある。
もしも、全く成長がおさまらなかった場合、とてつもなく厄介なことになる。
この乳房発育型TS症はほかのTS症と違って唯一、男に戻れない可能性があるのだ。
もし適性があって巨乳化していき大きくなり過ぎた場合、身体がそれに順応してしまうのか男に戻れなくなってしまうのである。
一番大きかった人でGカップで戻れたという事例があるが、Eカップで戻れなかった事例もあり、どれくらいの大きさまでならば戻れるかも分からない。
結局のところ具体的な治療法があるわけでもないので、胸の発育具合を記録しながら様子見するしか対処法がない。
入院などはもちろんなく、定期的に病院で経過観察すること以外はこれまでと同じように日常生活を送るしかないのだ。
国からの補助金も出るし、学校側も対応してくれるので生活面はどうにかなるだろうが、精神面はそうもいかない。
自分の身体といえども女になってしまった身体を見るのは興味がありつつも少し恥ずかしいし、いくらほかにも発症者がいるといっても周りの目が気になってしまう。
しかし、そんなことお構いなしに制服の採寸などやらなければならないことがたくさんあるせいで落ち着く暇もない。
どちらにせよ発育具合を確かめるためにも、スリーサイズを測らなければならないのだ。
どうあがいても避けて通ることはできないとメンタルが削られつつサイズを測っていった。
まず問題のバストサイズだが、乳首はツンとなっているがまだまだ小さくAAカップ程度。
しかし男の胸とはやっぱり違うようで布に擦れると痛みを伴うし、微かに柔らかさを感じる。
この胸がこれから大きくなっていくと思うと今から憂鬱でしかない・・・。
ウエストは昨日まではなかったくびれがあるのがなんだか不思議な感じだ。
ヒップは元のサイズが分からないけどウエストに余裕ができたズボンが少し窮屈なことから考えて少なからず大きくなっているのだろう。
全身としては身長が少し低くなったこともあってか全体的に縮んだ気がする。
この感じだと普段着は多少大きいかもしれないが、そこまで問題なさそうである。
制服も多少大きめのを購入すれば、ある程度成長しても余裕があるはずだ。
問題は下着、特にブラジャーだ。
そもそも症状的にどこまで大きくなるか分からず、ブラジャーをつけること自体にも抵抗がある。
できることなら着けたくないが、擦れると痛いし悪目立ちしてしまうだろう。
結果的に胸のサイズがAAだったこともありタンクトップタイプのものを着けることになった。
・・・のだがそのブラトップは、すぐにお役御免となってしまった。
胸の成長スピードが想定外に早かったのだ。
TS症になってから1週間ほどが経ったところで急に胸が張ってるような感覚に襲われるようになった。
経過観察の際に相談してみるとそれはどうやら成長痛だそうで、じわりじわりと止まることなく質量が日を追うごとに増えていった。
胸がズキズキと痛く張ってるような日々が続いて、発症してから僅か2週間で胸は明らかにふっくらと丸みを帯び始めてAカップほどになっている。
まだ成長し始めたばかりだが自分におっぱいが付いてるのが実感できてしまい、どこか現実感のないような複雑な気持ちになり落ち着かなかった。
そしてその後も成長スピードは全く緩むことなく成長し続け、2ヶ月足らずで胸は立派に乳房と呼べるほどに発育してしまった。
発症してからまだ3ヶ月も経ってないのにCカップ・・・1月ごとにしっかりと1カップずつサイズが上がっていた。
このペースで成長していれば、すぐに手遅れになってしまうだろう・・・。
急激に成長するのは乳房発育型の場合は稀にある症例らしいが、ここまで早いのは前例がないそうでお医者さんも困惑している。
もちろん、一番困惑しているのは僕自身だ。
こんなに短い期間でここまで急激に胸が成長するとは思わなかったし、ブラトップでは心もとないのか動くたびに揺れる感覚を味わってしまって気が気でない。
そして普段着の胸の辺りがパツパツになってしまって苦しい。
ズボンも窮屈だし、新しい服やら下着やらを購入しなければならない。
またもややらなければならないことがたくさん出来てしまったが、この調子で成長してしまうと男に戻れなくなるのが目に見えているのが何よりも問題だ。
何かしらの手を打たねばならない。
まずは胸の成長を抑えたり、止めたり、小さくする方法はないだろうか?とネットで調べてみることにした。
だが探し方が悪いのかヒットするのは大きくする方法ばかりで、数少ない見つけた情報も運動と避けると良い食べ物ぐらいであった。
正直、大きくするための方法にも運動と書かれていたため不安ではあったが、とりあえず胸も脂肪の塊だし運動すれば痩せるのではないか?と考え直し有酸素運動をすることにした。
試しにランニングをしてみようと外に出たのだが、これが失敗だった。
すれ違う人の視線がちょくちょく胸の辺りに集中していることに気付いてしまったのだ。
それに胸が揺れて正直かなり痛い・・・。
結果的に視線を避けるように胸を抑え込みながら、縮こまって帰るはめになった。
これでは長続きなどするはずもない。
どうにか解決する方法はないかと考えた結果、視線対策と揺れ対策としてサラシを巻いてみることを思いついた。
圧迫することで成長が抑えられるのでは?という単純な考えもあってだが、試してみる価値はあるはずだ。
悪戦苦闘しながら何とかサラシを巻いていく。
巻き慣れてないこともあり、ずいぶんと時間がかかってしまったが小さくなるように願いながら巻いたかいもあってか、息苦しいが見た目はかなりマシになった。
ブラジャーの代わりにもなっているし、手間はかかるが精神的な抵抗も少ない。
そんなわけで、しばらくサラシとランニングを続けて様子を見ることにした。
サラシとランニングを続けて3ヶ月。
確かに成長速度は少しマシになった気がしないでもないが、胸の成長自体は一向におさまらないままだ。
成長速度がマシになっただけならば努力した甲斐があるのだが、実際のところは胸はほとんど痩せていないのにアンダーはちゃっかりと痩せて細くなってしまい、むしろブラのサイズは相対的に上がってしまった。
お医者さん曰く、胸が揺れないことで脂肪が燃焼されるのを防いでしまい結果的に胸の脂肪だけ残ってしまったのでは?とのこと。
サラシで抑えつけていれば圧迫されるし、サウナのように痩せるかも!と思いきや、とんだ逆効果である。
どこまで胸が大きくなったら戻れなくなるのかは厳密には分からないけど、戻れた事例で最も大きかったのがGカップ。
なのに自分はたったの半年でEカップにまでなってしまっている。
ブラジャーを嫌でも着けないといけないサイズになってしまったのだ。
お医者さんもかける言葉が見つからないのか定期健診の際もどこか気まずそうにしている。
その態度がそんなつもりはないのだろうが、まだ戻れるはずという願いを否定されているようでやりきれない。
こうなったら、意地でも発育を止めてやる・・・!
・・・と意気込んでいたもののお察しの通り、発育はおさまりませんでした。
現在の胸の大きさはHカップ・・・戻れた事例も女性の平均も軽々と超えている。
必死に大きくならないように努力していたが、結果はこうである。
それこそ中学の間は怪しいサプリに頼ったり、運動や断食など、かなりの無理をしたこともあって多少大きくなりつつもどうにかEカップを維持していた。
だがEカップのまま卒業できてしばらく経ち、高校生になったし胸の成長期もそろそろ終わっただろうと油断していたところ、再び成長が加速しだして見事にF、Gカップを軽く通り越してHカップに。
抑制されていた成長が一気に襲いかかってきたかのような発育っぷりだったのだ。
どうにか成長を抑えようとしても、飢餓状態にでもなっているかのように食べたそばから栄養が胸に集まり蓄えられる、高校生だというのにまるで育ち始めのような勢いは止められなかったのである。
しかももう既に戻れるのか怪しいというのに、その勢いから考えて胸の発育はまだおさまりそうにない。
ふと脳裏によぎった、おそらくTS症で男に戻れなかった最も大きい胸のサイズの事例として記録されるという現実からは目を背けるしかないのであった・・・。




