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サイバーQ  作者: 石渡正佳
サイバーQ2 サイバーポリティクス編
61/66

28 WRM声明3

 我々はついに、全世界同時的な電脳無政府主義革命サイバナルコレヴォリューションを成就させる時期が到来したと、世界のすべての政府とすべての人民に向けて宣言する。

 とくに民族統一を成し遂げた統一コーリア共和国政府と朝鮮人民には賛辞を贈る。たとえ他国の傀儡に墜したのだとしても、民族の悲願を成し遂げたことは賞賛に値する偉業である。しかしながら、歴史は残酷である。この統一は平和へのゴールではなく、戦乱へのスタートにならざるをえない。なぜなら我々の望む革命は、民族の統一でもなければ、国家の樹立でもなく、国家の解体だからである。

 その意味で、我々が革命の端緒として選んだ日本政府と日本人民の活躍ぶりは、特別の感慨をもって称賛している。なぜなら日本政府と日本人民は、我々の挑戦を真摯に受け止め、我々の期待した以上に我々のD兵器がもたらした未曾有の危機に果敢に抵抗し、首相の短期交代というお家芸によって指導者を無能力化しながら苦難を見事に克服し、そして我々の期待したとおりに、国家解体の過程へと、明確な意思と希望を持って歩み始めたからである。

 そこで我々は朝鮮と日本、氷河期には海を渡ることができ、さらに古くは地続きであり、言語的、文化的、歴史的、自然的、地政学的にみて共通性が大きく、DNAの交雑も進んでいる両国の人民と政府に、とっておきのD兵器を贈ることにした。これは両国にとってもっともなじみのある災害、そして世界に類例のない災害、すなわち梅雨前線と台風の相互作用がもたらす複雑な災害である。この二つの気象現象が重なるとき、両国にはしばしば豪雨がもたらされた。たとえば2018年7月の豪雨では、1000ミリを超える豪雨が西日本全域に一週間にわたって降り続いた。まさに天が破れたような豪雨だった。日本人は古来から激しい天変地異を神風と呼んで、あたかもそれを吉事としてきた。まさにこれから我々が贈ることになるD兵器こそは神風である。

 我々は梅雨前線の位置と台風の進路を完全に支配している。これはジェット気流と太平洋高気圧によって決まる気象現象である。ジェット気流はヒマラヤ山脈の気温に、太平洋高気圧は南太平洋の水温に、ひいてはそれぞれの日射によってコントロールされる。

 我々は任意の地域に任意の規模の豪雨をもたらすことができ、同時に任意の地域に好天をもたらすことができる。晴雨、明暗、陰陽は、我々の意のままである。

 災害はしばしば朝鮮と日本の両国の歴史を決定してきたと言われるま。二度にわたる元と高麗の連合軍による日本侵攻(元寇)を阻止したのが台風だったことは、両国の人民にはよく知られている。実際には戦況はそんなに単純ではなく、第一次元寇で台風が迫ったとき、すでに連合軍は撤退中だった。第二次元寇では台風で被害を受けた連合軍はなお大軍を率いて戦闘を続けている。神風は吹いたけれども、日本は神風だけで勝ったわけではない。さらに第三の元寇と言われる李氏朝鮮時代の外寇では、実際には吹かなかった神風が厭戦状態だった朝鮮軍撤退の口実にされている。神風は両国の人民にとって受け入れやすいように捏造された伝説に過ぎない。

 しかし、今回は違う。神風は絶妙のタイミングで吹き荒れ、歴史の方向性を変えることになる。災害兵器に見舞われた都市、すなわち神に選ばれし都市から革命が起こり、革命はたちまち両国を席巻し、全世界へと波及するだろう。その都市がどこかは、今後の気象現象が明らかにするだろう。

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