27 ジャパンコントロールパネル
中国とロシアは密約を反古にして朝鮮統一を承認せず、むしろ統一コーリア共和国政府を米傀儡政権と批判した。北朝鮮という緩衝地帯の消滅によって、中露と米(朝鮮)は国境を接することになった。北朝鮮の地政学的位置は、かつてロシア帝国領と大英帝国領インドの緩衝地帯としてアフガニスタンが建国された事情と同じだった。米軍が旧北朝鮮領に進駐したことを受けて、中国人民解放軍は西日本国から撤退させた師団を中国東北部の遼寧省に展開し、コーライストによる国境侵犯に備えた。ロシアは対朝鮮では目立った動きはせず、権力の空白が生まれた西日本国政府に秘かに接近した。
中国の呼びかけで、中露米朝は、済州島で四国会議を開催した。一週間に及ぶ交渉で、中露は朝鮮半島からの米軍の撤退を条件に統一コーリア共和国を承認することに同意した。日本の四国分離独立についても協議されたが、結論は出ず、JCPの設置が決まった。JCPは、アメリカ人3人、中国人3人、ロシア人3人、朝鮮人1人の10人で構成された。JCPで協議されるべき日本問題は、領土問題、歴史問題、憲法問題(安保問題)、原発問題の四問題に集約された。
秘かに開催されたJCP閣僚級準備委員会で、この四問題に対する四国の方向性が示された。
領土問題について、ロシアは樺太と千島諸島全島の領有権の再確認を求め、日本の四国分離独立承認は北海道の割譲が条件だと主張した。中国は尖閣諸島と沖縄諸島全島の領有権の再確認を求め、日本の四国分離独立承認は九州及び奄美諸島の割譲が条件だと主張した。
朝鮮(統一コーリア共和国)は独島(竹島)の領有権の再確認を求め、日本の四国分離独立承認は対馬諸島の割譲が条件だと主張した。NSA(新アメリカ合衆国)はこれらの再確認と割譲要求のすべてを拒否した。
歴史問題については、中国が南京大虐殺について、朝鮮が従軍慰安婦について、天皇談話による確認と謝罪を求めた。また朝鮮は、天皇が渡来朝鮮人(百済人)の末裔であり、日本はそもそも朝鮮王(高麗王)の支配下にあった属国であると主張したが、米中露三国は見解を保留した。
憲法問題(安保問題)については、中露朝の三国が、日本国憲法が自主制定憲法であって旧USAの押しつけではなかったこと、日米安保条約及び日米地位協定は違憲であり遡及的に無効であること、自衛隊は違憲であり速やかに解散して武装解除を徹底することの確認を認め、NSAは憲法の来歴を除いてすべて拒否した。
原発問題については、中露朝の三国が、日米原子力協定、日仏原子力協定の破棄、全原発の即時停止及び可及的速やかな廃炉を求め、NSAがすべてを拒否した。
このほか、中国は日本の通貨円を人民元に吸収すると主張し、米露朝の三国が拒否した。




