24 UXO
波風前首相から天京のDBを信託されたカムイ斗米は、暗号国家共同体UXOのサブステーツ(準国家)として、天京を樹立した。天京は都市ではなく、日本国の正統な承継だった。
UXOには多数の準国家が定義されており、誰でも任意の準国家の準国民となることができ、多重準国籍も自由とされた。新たな準国家を定義することも自由であり、一人準国家なら定義と同時に自ら準元首となることができた。準国民が二人以上の準国家には準憲法による準元首選出のルーチンが必要とされた。ロボット、サイボーグ、AIシステムは、一定の機能を有すれば準国民になることができ、自然死による除籍がないことを除いて、自然人の準国民と一切の差別を受けなかった。
UXOないしその準国家は暗号税を定義することができた。この税は暗号徴収でなければならず、滞納に対する制裁は準国籍剥脱とされた。UXOは国土を持たない代わり、準国土を定義することができた。準国土とは、実際に存在する土地の上の仮想の国土である。準国土は準所有、準占有、準売買、準信託、準賃貸、準抵当の対象とすることができた。ただし、権利の登記は暗号登記となる。暗号が複数ある時は、古い登記から順位が付けられた。東京駅のような象徴的な土地にはたちまち数千の暗号登記が重複することになった。暗号登記は現実登記に何らの影響も及ぼさず、ただ現実登記が消滅した時にのみ現実的な意味を持った。
UXOないしその準国家は暗号通貨と暗号市場を定義することができた。暗号通貨には為替と金利を定義でき、暗号市場には物流と決済を定義できた。納税、国土購入、通貨交換、市場取引をするには、暗号通貨の価値を評価できる一定以上の信用のある担保を要するとされ、この信用は現実不動産、現実金融資産又はUXOが指定するタックスヘイブンの現実口座でなければならないとされた。
UXOないしその準国家の国民は、XOサークルその他のネットワークを介して現実的交流ないし身体的交渉すなわち売買春をすることができた。準国民間の売買春は、VL(ヴァーチャルラヴ、仮想恋愛)又はPL(プシュードラブ、疑似恋愛)と呼ばれた。VL又はPLは無差別に誰とでもでき、UXOの元首となったカムイ斗米やモデルカーヤも例外とされなかった。
UXOはこの売買春を介して、準国民ではなく実国民を増やすことができた。そしてここが準国家と実国家の接点でもあった。この意味でUXOの家族は売買春家族だった。
UXOを実国家に準国家(仮想現実国家)を重ね合わせた複合現実国家と考えることもできた。これは複合現実ゲームが国家システムに発展したものである。一つの実国家に複数の準国家を重複して重ね合わせることもできたし、実国家とは無関係に準国家だけを定義することもできた。日本の国土の上に日本とは無関係な無数の国家が樹立できると考えればいい。
UXOは世界のあらゆる国に準国家を樹立した。準国家の数は有に1億を超えさらに増えていった。その中です天京が存在感を増していったのは言うまでもない。波風の理想の国はUXOの中に実現されたのである。




