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サイバーQ  作者: 石渡正佳
サイバーQ2 サイバーポリティクス編
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21 カムバックトーキョー

 東日本国の国土は旧北海道、東北、関東である。このうち北関東以北は、縄文時代まで遡れば蝦夷もしくはアイヌ文化圏だった。このためもあり、独立以前は蝦夷州と呼ばれていた。東日本国の初代大統領は四州知事会議に参加した加倉井豊蝦夷州知事ではなく、東京国初代大統領の兎見遥だった。これは四州知事会議においてすでに既定方針だった。

 東日本国の国旗は旭日旗である。ただし旧日本(陸海)軍旗や旧日本(陸海空)自衛隊旗の旭日旗とは異なり、閃光が渦状に巻いている。このため渦旭旗とも呼ばれる。

 凋落著しい首都東京は人口でも経済でも文化でも名古屋、大阪、福岡に及ばない。治安も悪く、全国最強の治安維持を誇った旧警視庁は見る影もない。

 政治的には北海道郡(郡都札幌)、東北郡(郡都仙台)、関東郡(首都東京)の三郡三都体制を取り、各郡各都市の独自性を重んじる地方分権であり、首都東京の政府機能は必要最小限度である。実際にも三郡は一枚岩ではなく、札幌は親ロシア、仙台は親EUである。東京は元々親米だったが、兎見市長は反米であり、強いて言えば親英(親豪)である。なお、イギリスはEUから脱退した後は反EU(反独仏)であり、旧USAもNATOから脱退した後は反EU、このうちUSCA(中米)とUSWA(西米)は反英でもある。

 東日本は全体としては民主的な国だが、東京市だけは後任の市長を置かず、大統領直轄府とし、兎見大統領が独裁的な権限を振るっている。兎見が東京国独立を宣言して以来、TRA(東京革命軍)が東京の治安警察を兼ねており、東日本国となってからもTRAは存続している。

 東日本国軍は四国最強と言われる。とくに北海軍(旧陸上自衛隊北海道方面軍)は、装備面では新日本国軍富士機甲師団に劣るものの、実戦経験では勝るとされている。また戦略研究本部は旧陸海空自衛隊統合幕僚本部のDNAを承継しており、対中露戦略の要衝となっている。

 経済は地域によって多様性がある。北海道郡は農林水産業経済、東北郡は電子工業経済、関東郡は文化風俗経済である。とくに東京は今なお世界最大級の風俗街を三つも有している。歌舞伎町、銀座・新橋、上野・淺草・秋葉原である。東京の人口の男女比は2対3で女性が多く、女性の平均年齢は35歳である。これは風俗嬢が多いからであり、東京市長から東日本国大統領までに成り上がった兎見遥も、公称ではモデル出身だが、実際にはアキバ系風俗嬢出身で、SLQサディスティックランパブクィーンと呼ばれていた。

 東日本国首都となって以来、東京はようやく復興の兆しが見えてきた。兎見大統領はカムバックトーキョーをキャッチコピーとして、強力な東京再中心化政策を実施した。その目玉は新日本国の移動機械産業(2輪車、4輪車、6翼ドローン)に対抗したウォーキングタウンである。ACDS(脱毛舞踏病)対策のために整備したバイオスフィアを発展させ、生活(L)、仕事(W)、余暇(R)、安全(S)、環境(E)を自己完結させる徒歩圏のクラスターで旧東京市全域を覆い尽くす未来都市の建設に着手したのだ。旧新宿副都心も、旧六本木ヒルズも、旧スカイツリーもドームで覆われ、その景観は都市梱包芸術の最高傑作と評された。一方、歌舞伎町、銀座・新橋、上野・淺草・秋葉原の風俗街はあえてリスクが高いまま保存して観光地とした。

 カムバックトーキョーは成功し、ようやく東京に富裕層、大企業、外資が戻り始めた。

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